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■他を圧倒するロータリーの走りで走り屋を魅了したリアルスポーツ
1978(昭和53)年3月30日、マツダのロータリースポーツ「サバンナRX-7」がデビューしました。価格は最も安いモデルで170万円でした。
リトラクタブルヘッドライトを採用したエアロダイナミックな洗練されたスタイリングと、ロータリーエンジンらしい力強い走りで、一世を風靡する人気モデルとなりました。
●マツダが進めたロータリー車のラインナップ展開
1967年、マツダは世界初の量産ロータリーエンジン搭載車「コスモスポーツ」を発売し、世界中に衝撃を与えました。最高出力110PS/最大トルク13.3kgmを発揮する10A型(491cc×2ローター)ロータリーエンジンを搭載したコスモスポーツは、圧倒的な動力性能を誇りました。
マツダはその後、ロータリー搭載車のラインナップ展開を図ります。「ファミリアクーペ」「ルーチェクーペ」「サバンナ」「コスモAP」、そして登場したのが「サバンナRX-7」です。
1973年に起こったオイルショックと排ガス規制の強化によって、メーカーはその対応に追われて高性能モデルやスポーツカーにとって厳しい状態が続きました。そのような中、53年規制に適合したピュアスポーツのRX-7の登場は、大きな注目を集めました。
●優れた動力性能で国際レースも席巻したRX-7
サバンナRX-7でまず注目されたのは、そのスタイリング。リトラクタブルヘッドライトを装備したラジエターグリルレスのスラントノーズ、リアは個性的なリフトバックウインドウとリアデッキ、と斬新さが際立っていました。
搭載された12A(573cc×2)型ロータリーエンジンは、最高出力130PS/最大トルク16.5kgmを発揮。1000kgを切る軽量ボディによって、最高速度は180km/h、0→400m加速15.8秒と、ポルシェ924やフェアレディZに匹敵する抜群の動力性能を示したのです。
さらに、軽量コンパクトなロータリーの特徴を生かして、エンジンをフロントミッドシップに搭載して、前後重量配分を50.7:49.3と最適化することで、スポーツカーらしい軽快なハンドリング性能も実現されました。
その実力は、海外レースで存分に発揮されます。1979年のデイトナ24時間レースでクラス優勝、スパ・フランコルシャン24時間レースで総合優勝という快挙を成し遂げたのです。
●現在は消えてしまったリトラクタブルヘッドライト
リトラクタブルヘッドライトは、空力性能に優れ、何よりもスマートでフロントノーズが精悍に見えますが、現在、国産車で採用例はありません。
日本で初めて採用したのは「トヨタ2000GT」ですが、普及のきっかけとなったのはRX-7です。
その後1980年代には、トヨタ「スプリンタートレノ(AE86)」、トヨタ「セリカXX(2代目)」、三菱自動車「スタリオン」、日産自動車「シルビア(3代目)」、ホンダ「プレリュード(2&3代目)」、ホンダ「アコード(3代目)」と、人気モデルの定番アイテムでした。
一方でリトラクタブルヘッドライトは、展開時に空気抵抗が増える、接触時に突起物となって危険、可動部品によってコストと重量が増す、などのデメリットがあり、また北米でヘッドライト最低地上高が緩和されたこともあり、1990年中頃からリトラクタブルヘッドライトは急速に減少。
2002年まで生産された3代目RX-7を最後に、日本車での採用は完全に消えました。
斬新なスタイリングのみならず、当時排ガス対応で出力が伸び悩んでいた他車を圧倒する動力性能を発揮したRX-7。パワフルな加速や優れたレスポンスなどロータリーエンジンの特徴を存分に生かし、逆風にあったロータリーの復活を印象付けた起死回生のモデルでした。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)