ヤマハが若者向け小排気量スポーツモデルを続々投入する訳は? モーターサイクルショーに市販予定の4モデルを初披露

■155ccや125ccの新型モデルに注目

注目のニューモデルなどがずらり展示されることで、毎年大きな注目を集める春のモーターサイクルショー。

YZF-R15の走り(試作車のため市販時は仕様が異なります)
YZF-R15の走り(試作車のため市販時は仕様が異なります)

2023年も、3月17日(金)から開催の「第39回 大阪モーターサイクルショー2023」を皮切りに、3月24日(金)からの「第50回 東京モーターサイクルショー」、4月7日(金)からは「第2回 名古屋モーターサイクルショー」が開催される予定です。

そのモーターサイクルショーで、ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)は、市販予定となる新型車として「YZF-R15」「YZF-R125」「MT-125」「XSR125」といった4モデルを展示することを発表しました。

YZF-R15は軽二輪、そのほかの機種は原付二種に相当するモデルで、いずれもアジアや欧州など海外ではすでに発売されていますが、ヤマハはなぜこれら4モデルを展示するのでしょうか?

●ヤマハ製スポーツモデルのシリーズに属する小排気量車

今回展示される4モデルのうち、YZF-R15とYZF-R125は、フルカウルのスーパースポーツというジャンルに該当する機種です。YZF-R15は155ccエンジンを搭載する軽二輪、125ccのYZF-R125は原付二種に相当します。

YZF-R15とYZF-R125(試作車のため市販時は仕様が異なります)
YZF-R15とYZF-R125(試作車のため市販時は仕様が異なります)

いずれも、ヤマハのYZF-Rシリーズに属することが特徴。ちなみに、同シリーズでは、1000ccの「YZF-R1/R1M」を頂点とし、700ccの「YZF-R7」、320ccの「YZF-R3」、250ccの「YZF-R25」と豊富なラインアップを誇ります。

MT-125(試作車のため市販時は仕様が異なります)
MT-125(試作車のため市販時は仕様が異なります)

市販予定となるYZF-R15とYZF-R125でも、フロントカウル中央にフラッグシップのYZF-R1が採用するM字ダクト風の凹みを採用するなど、シリーズ共通のスポーティなスタイルを採り入れていることが魅力です。

また、MT-125やXSR125は、125ccエンジンを搭載する原付二種のネイキッドモデルです。

MT-125はアグレッシブなフォルムが魅力のハイパーネイキッド、ヤマハの「MT」シリーズに属し、こちらも1000ccの「MT-10/SP」を筆頭に、900ccの「MT-09」、700ccの「MT-07」、320ccの「MT-03」、250ccの「MT-25」と、様々な排気量のモデルが揃っています。

スポーツヘリテージというジャンルに属するXSR125(試作車のため市販時は仕様が異なります)
スポーツヘリテージというジャンルに属するXSR125(試作車のため市販時は仕様が異なります)

XSR125は、レトロな雰囲気と現代風なテイストを融合させたバイク、ヤマハが「スポーツヘリテージ」と呼んでいるモデル群に属するモデル。やはり900ccの「XSR900」や700ccの「XSR700」と、2タイプの大型二輪モデルが現在ラインアップしています。

●海外向けモデルをショー用にアレンジ

つまり、今回ショーでお披露目される4モデルは、いずれも、タイプこそ違えど、従来からヤマハで高い人気を誇るスポーツモデルのラインに属していることが特徴。

MTシリーズの125cc版がMT-125(試作車のため市販時は仕様が異なります)
MTシリーズの125cc版がMT-125(試作車のため市販時は仕様が異なります)

ちなみに、これら4モデルは、アジアや欧州など海外で同じ車名のモデルが発売されています。ですが、ヤマハによれば今回のショーモデルは、それらとは仕様が異なるとのこと。

ショーを管轄するヤマハ車の販売会社「ヤマハ発動機販売」の広報担当者によれば、各車の詳細までは明らかにできないとしつつも、

「YZF-R15、YZF-R125は試作車のため、市販時には仕様が異なる場合があります」

「MT-125、XSR125は、海外向けモデルをベースにショー用に外観を仕上げたモデルのため、排気量・車体の仕様などが異なります」

と回答。つまり、あくまでショーモデルということですね。でも、市販予定車であることは確か。発売時期なども明かにはなっていませんが、これらが市販時に、国内向けとしてどんなアップデートが行われるのかも気になるところです。

●目的は若いライダー向けエントリーモデル?

では、なぜヤマハは今回、こうした155ccや125ccといった比較的小排気量のスポーツモデルを初披露するのでしょうか? これについても、ヤマハ発動機販売の広報担当者に聞いたところ、

今回展示する4モデルは、二輪免許を取得したばかりの若いライダーたち向けといえる
今回展示する4モデルは、二輪免許を取得したばかりの若いライダーたち向けといえる

「伸長する若年層の二輪免許取得者に対応し、軽量な軽二輪モデルおよびハードルの低い原付二種スポーツモデルを導入することで、ヤマハのバイクでより気軽にバイクライフを始められるようにすることが狙いです」

との回答。

確かに、最近の2輪業界では、10代〜20代の若いライダーの増加がよく話題となります。一方、現在ヤマハのラインアップで155ccや125ccのバイクといえば、スクータータイプがメイン。スポーツモデルに乗りたいユーザー向けのモデルは国内にはありません。

これは、あくまで私見ですが、今回、これら4機種のスポーツモデルを近い将来市販化することで、ヤマハはより幅広い層の若い初心者ライダーにとって、エントリーモデルとなる機種を充実させることが目的のような気がします。

なんといってもバイクは、体を使って操ることが楽しい乗り物。そうしたバイク本来の醍醐味を初心者でも気軽に味わえるのが、こうした小排気量クラスのいいところですからね。

軽くて取り回しも良さそうなXSR125(試作車のため市販時は仕様が異なります)
軽くて取り回しも良さそうなXSR125(試作車のため市販時は仕様が異なります)

もちろん、スクーターでも楽しいのですが、シフトチェンジなど、よりさまざまな操作が必要なスポーツバイクはまた違った乗り味が楽しめるもの。今回の4モデルを通じ、幅広い好みなどを持つ多くの若いライダーが、バイクの楽しさを体感できるといいですね。

あくまで余談ですが、1980年代や1990年代など、かつて初心者ライダーのエントリークラスといえば50ccの原付一種がメインでした。

ところが、今回のショーでは、ヤマハに限らず国内4メーカーでは50ccモデルの展示はほとんどありません。ホンダが電動スクーターで原付一種に相当する「EM1 e:」は出しますが、スポーツモデルはゼロ。当時を知る筆者には、ちょっと寂しい感じがします。

●人気の市販車もすらり展示

ちなみに、ヤマハでは、これら4モデルの他にも、人気の大排気量モデルや、レース車など、以下の計33台を展示する予定。気になるバイクが、実際に間近で見られたり、またがったりできるのも注目です。

ヤマハ製スポーツモデルのフラッグシップ、YZF-R1M
ヤマハ製スポーツモデルのフラッグシップ、YZF-R1M

【大阪・東京・名古屋モーターサイクルショー ヤマハブース概要】
市販車:YZF-R1M、YZF-R1、YZF-R7、YZF-R25、TRACER9 GT、MT-10、MT-09、MT-07、MT-25、XSR900、XSR700、Ténéré700、TMAX560、TRICITY155、YZ450F、TT-R125LWE、E-Vino

レース車両:YZR-M1、YZF-R1、YZ450FM、TY-E 2.1

市販予定車:YZF-R15、YZF-R125、MT-125、XSR125
*試作車のため仕様が異なります

*市販車、市販予定車の一部にはアクセサリー・外装キットなどを装着する予定

【春のモーターサイクルショー2023スケジュール】
「第39回 大阪モーターサイクルショー2023」
期間:2023年3月17日(金)〜3月19日(日)
場所:インテックス大阪

「第50回 東京モーターサイクルショー」
期間:2023年3月24日(金)〜3月26日(日)
場所:東京ビッグサイト

「第2回 名古屋モーターサイクルショー」
期間:2023年4月7日(金)〜4月9日(日)
場所:Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)

(文:平塚 直樹

【関連リンク】

ヤマハ モーターサイクルショー2023特設サイト
https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/life/hajimeru125/

この記事の著者

平塚 直樹 近影

平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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