ホンダが燃料電池モジュールのプロトタイプを披露。自社製品以外にも外販を予定【第19回 FC EXPO水素・燃料電池展】

■CLARITY FUEL CELLの燃料電池システムからコスト削減と性能を進化

このほどホンダは、2023年3月15日(水)から3月17日(金)まで、東京都江東区・東京ビッグサイトで開催される「第19回 FC EXPO水素・燃料電池展」の出展概要を発表しました。

「第19回 FC EXPO水素・燃料電池展」のブースイメージ
「第19回 FC EXPO水素・燃料電池展」のブースイメージ

世界では、燃料電池車(FCV/Fuel Cell Vehicle)よりもバッテリーEVに注力している自動車メーカーが大半という現状があります。自動車分野における水素利用は、国などの思惑どおり進んでいない感もあります。

一方で、商用車などの大型車は燃料電池車との相性が良い面もあります。カーボンニュートラルを目指すためには、運輸部門をはじめ多様な分野において水素利用は不可欠です。

ホンダでは、2050年に同社に関わるすべての製品と企業活動を通じて、カーボンニュートラル実現を掲げています。

クルマやオートバイ、パワープロダクツなどの製品だけでなく、企業活動を含めたライフサイクルでの環境負荷ゼロの実現に向けて、「カーボンニュートラル」「クリーンエネルギー」「リソースサーキュレーション」を3本柱としています。その中で水素は、電気とともに有望なエネルギーキャリア(水素の製造、輸送、貯蔵、利用技術などのこと)として位置づけています。

2023年の「FC EXPO」では、2020年代半ばに社外への販売開始が予定されている燃料電池モジュールのプロトタイプを展示。燃料電池モジュールは、同社の中核技術になります。

燃料電池モジュールのプロトタイプは、GMとの共同開発である次世代燃料電池がベースで、最大出力80kWの外販用モジュール。FCVの「CLARITY FUEL CELL(クラリティ フューエル セル)」の2019年モデルに搭載されていた燃料電池システムに対して、コストは3分の1、耐久性は2倍に引き上げられるとともに、耐低温性も大幅に向上させているそうです。

アメリカン・ホンダモーターの敷地内に設置された燃料電池(FC)定置電源
アメリカン・ホンダモーターの敷地内に設置された燃料電池(FC)定置電源

定置電源設置イメージモデル(1/24スケール)は、米国現地法人のアメリカン・ホンダモーターの敷地内に「CLARITY FUEL CELL」の燃料電池システムを再利用した約500kWの定置電源を設置。2023年3月からデータセンター用の非常用電源として実証運用が開始されています。

クリーンで静かな非常用電源から発電領域での燃料電池システムの適用が提案されます。「FC EXPO」では、その定置電源の設置イメージとして、3MW(メガワット)規模の定置電源を模したモデル(1/24スケール)が展示されます。

そのほか、燃料電池大型トラックの取り組みとして、いすゞ自動車との共同研究による燃料電池大型トラックのモニター車がナンバーを取得。公道での実証実験が2023年度中に開始される予定で、共同研究の進捗状況を映像で紹介。

また、燃料電池モジュールは主な適用先として、ホンダのFCVをはじめ、商用車、定置電源や建設機械を加えた4つの分野での活用が提案されます。

(塚田 勝弘)

【関連リンク】

FC EXPO公式ウェブサイト
https://www.wsew.jp/hub/ja-jp/about/fc.html

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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