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■燃費と走りの両立を目指すも販売は低迷
2010(平成22)年2月25日、ホンダがハイブリッドスポーツ「CR-Z」を発表、発売は翌日から始まりました。
IMAハイブリッドを搭載して、燃費性能とスポーツ性能の両立を目指しましたが、モーター出力の小さいマイルドハイブリッドであったため強烈な印象は与えられず、販売は伸びませんでした。
●小型モーターのIMAでは、アシスト力が小さく効果が得られず
CR-Zは、ハイブリッドを利用して燃費性能とスポーツ性能の両立を目指した小型スポーツモデルです。
ハイブリッドシステムはIMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)で、組み合わせるエンジンは、1.5L直4 i-VTECエンジン、トランスミッションは6速MTとCVTを設定。特徴は、3つの運転モード。ノーマル/スポーツ/エコを設定し、ハイブリッドを燃費のために使うのか、走りのために使うのかを選択できることでした。
ただし、モーターとバッテリーの容量が小さく、ハイブリッドによる重量増しの影響もあり加速時のアシスト力が十分でなく、燃費についても同様、効果は限定的でした。
その結果、本格的なスポーツカーを望んだユーザーにとっては、中途半端と受け取られてしまったようで販売は伸びず、2016年には生産を終了しました。
●搭載スペース面で有利なIMAだが、課題はエンジン連れ回り
マイルドハイブリッドには、大別してエンジンマウントタイプとクランクシャフトマウントタイプの2つがあります。
エンジンマウントタイプは、オルタネーターの代わりにISG(インテグレーテッド・スターター/ジェネレーター)のような小型のモーターをベルトを介してエンジンで駆動するタイプ。スズキが、このタイプを積極的に採用しています。
クランクシャフトマウントタイプは、挟み込みタイプとも呼ばれ、エンジンとトランスミッションの間に円盤状の小型モーターを挟み込むタイプ。ホンダのIMAが、その代表です。
IMAは、エンジンマウントタイプに比べると、コンパクトなので搭載スペース面で有利ですが、モーターがエンジンとトランスミッションの中間に位置するので、構造上モーターが常に回転することになります。このため、空回りであれフリクションが発生するという課題がつきまとうのです。
その後、ホンダはマイルドハイブリッドを止めて、本格的なフルハイブリッドシステムを開発し、現在はe:HEVに集約してモデル展開を進めています。
●人気CR-Xの「後継」としてはハードルが高く、CR-Z不振の原因のひとつに
ホンダには、かつてCR-Zと名前の似た「CR-X」というFFライトウェイトスポーツが存在していました。
CR-Xは、1983年にバラードの派生車としてデビューしたスポーツクーペ。ABS樹脂など、軽量材料を多用した軽量ボディが特徴で、軽快な走りで多くの若者から支持された人気モデルでした。
CR-Zが登場した時には、名前も似ていたことから、CR-Xの後継ではないかと期待されました。ところがCR-Zは、スポーツモデルとしては非力だったので、ガッカリした人が多かったとも聞きます。これもまた、CR-Zの人気が盛り上がりに欠けた理由のひとつかもしれません。
最近は、多くの高級モデルやスポーツモデルのハイブリッド化が進んでいます。それも、大きなモーターを使って、燃費というよりパワーアップによって優れた走りをアピールする場合が多くなってます。どうやらマイルドハイブリッドの出力では、燃費と性能の両方の効果を出すのは厳しい、というのが結論のようですね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)