目次
■初代の課題であったEV航続距離を26.4kmから68.2kmへ改良
2017(平成29)年2月15日、トヨタの「プリウスPHV(プラグインハイブリッド)」がモデルチェンジし、2代目がデビューしました。
駆動用バッテリーの容量は初代の4.4kWhから8.8kWhへと倍増し、EV航続距離は26.4kmから68.2kmへと大幅に改良されました。
●3代目プリウスベースの初代PHVが誕生
3代目プリウスをベースにした初代プリウスPHVは、ハイブリッドシステムTHS IIにリチウムイオン電池を付加して、外部電源からの充電を可能にしたプラグインハイブリッドシステムです。電池容量を増やすことで、EVの走行距離を延長し、駆動バッテリーの電気を使い切ったら、通常のハイブリッド走行を行います。
プリウスPHVのEV走行距離は、ハイブリッドの10倍にあたる23.4km。家庭用電源からも充電できるので、当時は電気代の安い夜間に充電すれば、ハイブリッドの約半分の燃料代で走行できるという経済性が魅力でした。燃費も向上し、ガソリンとモーターを併用して57km/L(JC08モード)を達成しました。
初代プリウスPHVでは、2009年に官公庁や一部法人を中心に合わせて約600台のリース販売を開始。2年後の2012年1月に、一般ユーザー向けの販売を始めましたが、それでもまだEV走行距離は26.4kmと短かったため、市場での評価は厳しいものでした。
●2代目は、バッテリー容量を増大してパワーアップとEV航続距離を改良
2代目プリウスPHVの最大の改良点は、初代の反省点を踏まえて駆動用バッテリーの容量を4.4kWhから8.8kWhへと倍増し、EV航続距離は26.4kmから68.2kmへと大幅に改良されたことです。
ハイブリッドTHS IIシステムに組み合わせるエンジンは、先代と同じ1.8L直4 DOHCエンジンを搭載。また、駆動モーターについては、従来は2つのモーターの1つだけを駆動用に使用していましたが、2代目では2つのモーターを駆動用に使えるように変更されました。
これによって、モーターの最高出力が向上し、EV走行での最高速度が100km/hから135km/hまで上昇。5年の間におけるリチウムイオン電池自体の進化と電動システムの改良が、EV航続距離向上につながったのです。
そのほかにも、ルーフにソーラー充電システムを採用して太陽光エネルギーでバッテリーに充電したり、フロントマスクに左右4個のLEDを配備してFCV「MIRAI」に近いデザインを採用したり、さらにCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を積極的に採用して軽量化を推進するなど、環境対応技術や先進性の高さをアピールしました。
●3代目はさらに改良され2023年春に発売
新型プリウスは2022年の11月に発表されました。これまで通り、ハイブリッドとPHVが用意されていますが、PHVについては、エンジンとモーター、駆動バッテリーが増強され、大きく進化しているようです。
新型PHVに組み合わされるエンジンは、現行の1.8Lから排気量を2.0Lに拡大。駆動用モーターについては未公表ですが、モーターも高出力化され、システム全体の最高出力は現行の122PSから223PSへと、なんと83%も向上しています。
駆動用リチウムイオン電池の容量は、8.8kWhから13.6kWhへと55%増量し、EV航続距離は現行の68.2km(JC08モード)の50%以上向上。また注目は、新型プリウスPHVがEV航続距離の向上とともに、0-100km/h加速6.7秒という優れた発進加速性能をアピールしていることです。これは、スポーツカー並みの性能です。
EVとハイブリッドの中間的な存在であるPHVは、日本では大々的な普及には至っていません。ユーザーの立場からみるとPHVは、静かなEV走行ができ、電気代を含めた燃料代の走行経済性は良いが、価格がハイブリッドより100万円程度高いその分を吸収できるほどの差が感じられない、というのが一般的な見解のようです。
そんな中で登場してきた新型プリウスのように、スポーツカー並みの動力性能が実現できれば、付加価値がついてPHVの商品価値が上がる、かもしれませんね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)