ヤマハ「トリシティ125/155」がモデルチェンジ。LMW採用の3輪スクーターはエンジンやフレームを刷新、スマホ連携でより便利に

■より上質な乗り心地を実現した2023年モデル

ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)は、前2輪・後1輪の3輪スクーター、原付二種の「トリシティ125」と軽二輪の「トリシティ155 ABS」をモデルチェンジした2023年モデルを発表しました。

トリシティ125(グレーイッシュブルー)
トリシティ125(グレーイッシュブルー)

前2輪に採用する独自のLMWテクノロジーにより、3輪ながらコーナーなどで車体がバンクし、軽快に走れる爽快感と抜群の安定感を両立するのがこれらモデル。

新型では、最新の排気ガス規制に適合させた新エンジンを搭載したほか、新フレームや前輪に自然で滑らかな旋回性を実現する「LMWアッカーマン・ジオメトリ」なども搭載し、走りの上質感を向上。

さらに、スマートフォンとの連携で、さまざまな情報をメーターに表示できるなど、最新テクノロジーも採用することで、より利便性をアップさせています。

●3輪なのに車体がバンクする個性派スクーター

トリシティ125とトリシティ155 ABS(以下、トリシティ155)は、いずれもヤマハが「LMW」と呼ぶ、独自の3輪スクーターです。

トリシティ155 ABS(マットグレー)
トリシティ155 ABS(マットグレー)

LMWとは、Leaning Multi Wheel(リーニング・マルチ・ホイール)の略で、車輪および車体全体がリーン(傾斜して)旋回する3輪以上のモビリティのこと。

ヤマハでは、これら2モデルのほかに、845cc・3気筒エンジン搭載の「NIKEN GT(以下、ナイケンGT)」、292cc・単気筒エンジンを搭載する「トリシティ300」もラインアップ。

今回モデルチェンジしたトリシティ125は124cc・単気筒エンジン搭載の原付二種モデル、トリシティ155は155cc・単気筒エンジンを搭載する軽二輪モデルになります。

ヤマハ・ナイケンGT
ヤマハ・ナイケンGT

大きな特徴は、なんといっても前2輪に採用している独自のLMWテクノロジーでしょう。これは、平行な上下2本のアームで構成するパラレログラムリンクのあるサスペンションと操舵機構を合わせ持った技術のこと。

これにより、3輪バイクながらコーナーなどで車体をバンクさせられ、2輪のバイクと同様の軽快感、3輪バイクならではの安定感を両立しているのです。

●環境に考慮した新エンジン搭載

その最新モデルでは、まず、平成32年(令和2年)排出ガス規制に適合させた新しい「BLUE CORE(ブルーコア)」エンジンを搭載しています。

トリシティ125(グレーイッシュブルー)
トリシティ125(グレーイッシュブルー)

BLUE COREとは、走りの楽しさと燃費・環境性能の両立を高次元で具現化するヤマハ独自のエンジン設計思想。高効率燃焼、高い冷却性、ロス低減の3点にフォーカスして性能実現を図っていることが特徴です。

新エンジンでは、シリンダーヘッドを刷新することで、コンパクトな燃焼室を形成。トリシティ155では、圧縮比を従来の10.5:1から11.6:1へと高め、高効率燃焼を実現したほか、両モデル用ともに、吸気バルブを20.5mm径へと拡大し、吸気効率の向上も図っています。

また、始動時はスターターモーター、走行時はジェネレーターとして機能する「Smart Motor Generator(スマート・モーター・ジェネレーター)」も採用。従来のスターターモーターと減速ギアが不要となり、軽量・コンパクト化と静かなエンジン始動を実現しています。

さらに、信号待ちなどで停車すると自動的にアイドリングを停止する「Stop & Start System(ストップ&スタートシステム)」も搭載。停車中の燃料消費を抑えることで、環境対策や燃費の向上などに貢献します。

トリシティ155 ABS(ホワイト)
トリシティ155 ABS(ホワイト)

なお、アイドリング停止後の再発進は、スロットルグリップを回すだけ。瞬時にエンジンが掛かり、静かで滑らかな発進が可能です。

●強度・剛性バランスを最適化した新型フレーム

車体関係では、まず前2輪に、ナイケンGTやトリシティ300で実績のある「LMWアッカーマン・ジオメトリ」を採用しています。

LMWアッカーマン・ジオメトリ(写真はトリシティ300 ABS)
LMWアッカーマン・ジオメトリ(写真はトリシティ300 ABS)

コーナリング時にフロント2輪と車体を同調させ、リーンさせる「パラレログラムリンク」、フロントホイール内側に片側2本ずつのフォークを持つ「片持ちテレスコピックサスペンション」の組み合わせが、より軽快な走りに貢献。

加えて、左右それぞれに設けられたタンデムフォークが、自然なハンドリング特性と優れたクッション性も実現しています。

また、フレームには、強度・剛性バランスを最適化した新型を採用し、縦剛性、ねじり剛性を強化しつつ、適度な「しなり」も確保。

トリシティ125(ホワイト)
トリシティ125(ホワイト)

さらに、ホイールベースを1350mmから1410mmへ延長、リアサスペンションもショックアブソーバーの全長を延ばしバネレートや減衰力を最適化するなどで、上質感や落ち着いた走行性をもたらしています。

●スマホ連携で利便性もアップ

スマートフォンとの連携により、より利便性を向上させていることも新型のトピックです。専用アプリ「YAMAHA Motorcycle Connect(略:Y-Connect)」をインストールしたスマホとバイクをペアリングさせることで、SNS通知、通話着信など、多彩な情報をメーターへアイコン表示させることが可能となります。

トリシティ155 ABS(マットベージュ)
トリシティ155 ABS(マットベージュ)

また、スマホ画面をバイクのサブメーターとして利用することも可能。エンジン回転数、スロットル開度、エコ運転状況などを表示できるほか、オイル・バッテリーのメンテナンス推奨時期のお知らせ、燃費管理、バイクの最終駐車位置確認といった機能を使えます。

ほかにも、キーを差し込むなどの手間もなく、ノブ操作だけでエンジン始動が可能な「スマートキー」も採用。

さらに、フットスペースの前後長を約20mm延長した「フットボードスペース」、操作しやすい「タンデムフットレスト」、照射範囲を拡大した「ヘッドランプ」など、日常使いに便利な機能が満載です。

ボディカラーは、トリシティ125が「グレーイッシュブルー」「ホワイト」「マットグレー」といった新色3タイプを設定。

トリシティ155は、「マットベージュ」「ホワイト」「マットグレー」で、こちらも3つの新色を用意しています。

価格(税込)は、トリシティ125が49万5000円で2023年2月28日(火)に発売、トリシティ155は56万6500円で2023年4月14日(金)に発売されます。

(文:平塚 直樹

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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