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■ビッグホーンをホンダ仕様に仕立てた4WDオフロード車
1994(平成6)年2月10日、ホンダはRV「ホライゾン」を発表、翌日から販売が始まりました。1990年代初頭に起こったRVブームに乗り遅れたホンダは、商品の相互補完に関する契約を結んだいすゞから、「ビッグホーン」のOEM供給を受け、ホライゾンとして売り出したのです。
●RVブームに乗り遅れたホンダのRVは、OEMからスタート
1991年にバブルが崩壊、市場は高級車から一気にRVブームへと移行。特に、三菱「パジェロ」やトヨタ「ハイラックスサーフ」など、4WDのオフロード車が大きな人気を獲得しました。
当時、オフロード4WD車を持たなかったホンダはRVブームに乗り切れず、販売シェアが急降下。すぐにRVの開発に注力し始めますが、当面の急場を乗り切るため、1993年にいすゞとの間で商品の相互補完に関する契約を締結し、4WD車をOEM供給で受けることを決めます。
同年には、いすゞ「ミュー」をコンパクトなSUV「ジャズ」の車名で販売。さらに、1993年に英国ローバー社からの「ディスカバリー」を本格RV「クロスロード」の車名で販売を始めました。
●ビッグホーンのイメージが払拭できずホライゾンの販売は低迷
ホライゾンのベースとなったいすゞのビッグホーンは、1981年に誕生。日本における乗用車ベースのRVの草分け的な存在でしたが、RVブームの立役者とはなりませんでした。
ホライゾンは、ビッグホーンのロングボディに、ホンダオリジナルのフロントグリルとシート表皮、フルオートエアコンや6スピーカーオーディオを装備して、4WDの高級オフロード車に仕立てられました。
オフロード車らしいボクシーでダイナミックなスタイリングで、パワートレインは3.2L V6 DOHCガソリン&3.1L直4ディーゼルターボエンジンの2機種と、4速ATおよび5速MTの組み合わせ。駆動方式は耐久性に優れたパートタイム4WDです。
その後、ビッグホーンのマイナーチェンジに合わせて、エンジンのパワーアップや商品力強化を図りましたが、OEM車の宿命か、ホンダらしさをアピールすることはできずに1999年に販売を終了しました。
●ホンダは、その後クリエイティブムーバーで旋風を巻き起こす
ホライゾンが進化する間に、ホンダは着々と自社によるRVの開発を進めていました。
後れを取っていたホンダは、“クリエイティブムーバー”という独自のコンセプトのRVで、他社との差別化を図ります。クリエイティブムーバーとは、“使う人の生活をより楽しく、豊かに広げていける生活創造車を目指す新発想車”でした。
そして、第1弾:多人数が楽しめる乗用車ライクなミニバン「オッデイセイ」、第2弾:都会派のコンパクトSUV「CR-V」、第3弾:5ナンバーながら3列シートは配置した「ステップワゴン」、第4弾:ユーテリティに優れたコンパクトハイトワゴン「S-MX」がリリースされます。
RVブームには乗れなかったホンダでしたが、大ヒットのオデッセイを皮切りに、クリエイティブムーバーで新しい潮流を作り、会社の業績も一気に上昇気流に乗りました。
OEMの目的は、開発費と開発時間の削減です。新たにクルマを開発、生産するとなると莫大な費用と時間がかかります。メーカーにとって自社開発するほどでもないが、固定ユーザーを離したくないという時や、ホライゾンのように次のモデルのつなぎ役などの目的で、OEMが採用されます。
ただ、ユーザーにとっては安直なイメージが強くもあったり、本来もっている独自性をアピールするのが難しいこともあるようですね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)