ホンダ「オデッセイ」にハイブリッドが追加。ハイブリッドは、高効率の小型軽量i-MMDを採用【今日は何の日?2月5日】

■ハイブリッドでミニバンクラストップの燃費を達成

2016(平成28)年2月5日、ホンダの「オデッセイ」に、ハイブリッドモデルが追加されました。オデッセイは1994年のデビュー以来ミニバンブームを権威した人気モデルで、「i-MMD(後にe:HEV)」ハイブリッドシステムを採用して燃費の良さもアピールしました。

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2016年に追加設定された5代目オデッセイハイブリッド

●常識を覆した背の低いミニバンでブームをけん引したオデッセイ

オデッセイは、1990年にデビューして大ヒットしたトヨタのミニバン「エスティマ」より、さらに乗用車ライクなミニバンとして1994年にデビュー。ステーションワゴンの背を少し高くしたような独特なスタイルで、大ヒットしました。

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1990年に登場したトヨタの初代エスティマ

ベースとなったのは「アコード」で、FF用のシャシーやエンジンなどを使ってボディを可能な限り低くし、全高1650mm程度の空力に優れたスタイリングを採用。リアドアは、ミニバンの特徴であるスライド式ではなく、乗用車と同じヒンジ式で、乗用車感覚を大事にしたのです。

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1994年にデビューした初代オデッセイ。低床で乗用車感覚のミニバンとして大ヒット

ボディタイプは、2/2/2人の6人乗りと、2/3/2人の7人乗りを用意し、パワートレインは2.2L SOHCエンジンと4速ATの組み合わせ。駆動方式はボンネット内にエンジンを搭載したFFベースで、デュアルポンプ式4WDの選択も可能でした。

従来のミニバンの常識を覆した乗用車感覚の初代オデッセイは、1995年には販売台数12万台を超える空前の大ヒットを記録したのです。

●ハイブリッドi-MMDを追加設定した5代目

その後も進化しながら人気を堅持したオデッセイは、2013年に5代目に移行。そして、2016年にハイブリッドモデルが追加されました。

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オデッセイに搭載されたi-MMDハイブリッドシステム

ハイブリッドシステムのベースは、2013年に発売したアコードの“SPORT HYBRID i-MMD”。i-MMDは、駆動用モーターと発電用モーターを備えた2モーター・ハイブリッドで、EVドライブ/ハイブリッドドライブ/エンジンドライブの3つの運転モードを運転状況に応じて使い分け、燃費と出力を最適化するシステムです。

ただし、アコードのハイブリッドそのままではなく、オデッセイ用に小型軽量化を図り、同時にモーターやコントロールユニットの効率を向上。ミニバンクラストップの燃費を達成したオデッセイは、ハイブリッドを設定してから1ヶ月で約9,000台の受注があり、そのうち7割がハイブリッドだったそうです。

●一世を風靡したオデッセイもついに幕を下ろす

人気を堅持していたオッデセイでしたが、2010年を迎える頃には風向きが変わり、低床にこだわらずに、むしろ居住性を重視した全高を高めたミニバンが人気となり、背の低いミニバンの人気は徐々に低迷。

オデッセイも2013年の5代目で、スライドドアのボクシーなスタイリングに変更したり、ハイブリッド投入で一時的に人気を取り戻しましたが、結局、歯止めはかからず、2021年に5代目をもって生産を終了しました。

オデッセイの生産終了は、まさに背の低いミニバンの終焉を意味するでしょう。あれだけ人気があったのに……と思いますが、軽のハイトワゴンが市場を席巻しているように、クルマがスタイリングよりも実用性が重視されるようになった現れではないでしょうか。


ホンダは、トヨタに対抗して様々なタイプのハイブリッドシステムを開発して実用化しています。システムについては、紆余曲折がありましたが、現在はi-MMD改めe:HEVがホンダのハイブリッドの主流となっています。オデッセイは折々のブームの中で注目され続けてきた主要な立役者でもありました。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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