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■軽自動車初の日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝いた実力派モデル
その年のNo.1を決める、日本カー・オブ・ザ・イヤー2022-2023のイヤーカーに、軽自動車として初めて輝いた日産サクラ/三菱eKクロスEV。この賞をはじめ、RJCカーオブザイヤー、日本自動車殿堂カーオブザイヤーなどを受賞し、高く評価されています。
さらに、自動車アセスメント(JNCAP)で、最高評価の「ファイブスター賞」を獲得し、安全性の高いクルマという評価も得てきます。
この日産サクラ/三菱eKクロスEVの販売開始により、2022年の電気自動車の国内販売台数は、前年比2.7倍の5万8813台となり、統計を始めた2009年以降、過去最高となりました。
また、乗用車全体に占める電気自動車の割合は1.71%と初めて1%を超えました。さらに、電気自動車の普及を加速させるために、政府も急速充電器の規制緩和に乗り出そうとしています。
諸外国に比べると、電気自動車の普及率や公共充電器の数も低い日本ですが、今後はインフラの充実が電気自動車の普及のキーポイントとなりそうです。
日産サクラ/三菱eKクロスEVの満充電時の走行可能距離は、WLTCモードで180km。エアコンなどを使用すれば、実走行距離は約160km程度です。
一見すると物足りない走行距離に見えますが、軽自動車ユーザー約80%の一日の走行距離は約50kmと言われていますので、この走行距離でも十分と言えますし、価格上昇に繋がるバッテリーとのバランスを考えても、この距離が最適と言えるでしょう。
街乗り中心のコミューターという色合いの強い、日産サクラ/三菱eKクロスEV。そこで今回は、ちょうど満充電1回分の180kmを街乗り中心でインプレッションしてみました。
●満充電180km、「桜の名が付く駅」を探して試乗スタート!
試乗したのは、日産サクラG 2WD。車両本体価格294万300円。
メーカーオプションとして、5万5000円の充電ケーブルをはじめ、5万5000円のプロパイロット・パーキング、4万4000円のプレミアムインテリアパッケージ、7万7000円のアカツキサンライズカッパー/ブラックのボディカラー、2万2000円の165/55R15タイヤ、プラス15インチアルミホイールを装着。
ディーラーオプションの、LEDフォグランプ5万9800円、ウィンドウ撥水12ヵ月1万1935円、オリジナルドライブレコーダー7万7380円。そして、フロアカーペット2万2000円を装着し、合計336万4415円という仕様です。
今回の試乗は、ただ街乗りをするだけではなく、サクラの車名にちなんで東京都内にある「桜」が付く駅を回るスタンプラリードライブを行いました。
東京都内には、東京メトロの桜田門駅をはじめ、西武池袋線の桜台駅、隣接する西武有楽町線の新桜台駅、京王本線の桜上水駅、聖蹟桜ヶ丘駅、東急田園都市線の桜新町駅、そして多摩モノレールの桜街道駅の7駅、桜が付く駅があります。
また、中部地方には“桜”という駅が2ヵ所あるそうです。この駅には桜が満開の季節に行ってみたいものです。桜田門駅を除けば、東京の西側に桜のつく駅は集中しています。まずは、都心部にある桜田門を目指してスタートです。
●運転していると、軽自動車であることを忘れてしまうほどの加速性能
日産サクラは軽自動車なのでボディサイズに制限があり、全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,655mmです。車両重量は試乗したGグレードは1,080kg。同じ軽自動車のデイズハイウェイスターGターボプロパイロットエディションは880kgなので200kg重くなっています。
しかし、デイズハイウェイスターが搭載しているターボエンジンは最高出力64ps・最大トルク100Nm。対して、サクラが搭載しているモーターの最高出力は64psと同じですが、最大トルクは195Nmと約2倍です。
この195Nmという最大トルクを0〜2,302rpmでサクラは発生しますので、200kg重い車両重量を感じさせないどころか、ターボエンジンよりもはるかにスムーズで静かに加速していきます。
今回のサクラ駅ドライブでは、国道1号線や20号線、246号線といった主要国道から生活道路まで走行しました。したがって、信号の多いステージもありましたが、サクラは195Nmというトルクを活かして、非常にスムーズに加速していくので、追い越し時でもストレスがありません。
車線のない生活道路も走行しましたが、取り回しの良い軽自動車サイズなので、すれ違いも難なく行えます。
また、多摩モノレールの桜街道駅から、京王線の聖蹟桜ヶ丘駅までは、多摩丘陵特有のアップダウンが多いエリアですが、そんな坂道でもサクラは電気自動車らしく、静かにスムーズに登っていきます。
これがガソリン車ならば、エンジンのうなり音が車内に侵入してくるだろうという急坂でも、電気自動車のサクラはラクラク走破してしまうのです。補助金を利用すれば、ガソリン車と同じ価格で買えてしまうのですから、相当な魅力です。
サクラはコミューターという色合いが強いので、自宅で充電するのを基本としていますが、装着されているナビゲーションには自車周辺の充電スポットを検索する機能があり、充電ネットワークが充実していることがわかりますので、電欠という心配はほとんどありません。
最後に高速道路を走行しましたが、背の高いハイトワゴンとは思えない走行安定性を発揮します。これは床下に搭載したリチウムイオンバッテリーによって、重量バランスが向上していることが挙げられます。
コーナリング時のロール量も抑えられているので、高速道路も快適に走行することが可能です。
補助金を利用すれば、ガソリン車の軽自動車とほぼ同じ金額で手に入る日産サクラ。自宅に充電器が装着できる人ならば、電気自動車のサクラを選ばない理由が見当たらないと感じました。
さすが、2022年を代表するクルマに選ばれた日産サクラ/三菱ekクロスEV。都市部だけでなく、ガソリンスタンドがなくなったエリアの人のコミューターとして選ばれる実力車であることを再認識することができました。
(文・写真:萩原 文博)