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■数えきれないほどの項目数・カスタマイズ機能一挙紹介…できるかな
今回はおなじみカスタマイズ編。
いまのクルマは全体をおおもとのコンピューター…BCM(ボディ・コントロール・モジュール)に一括管理されているため、電子系が相当複雑なことになっています。
で、カスタマイズ機能。ある項目・機能をユーザー任意で設定できるカスタマイズ機能は、1980年代にもなかったわけではありませんが、あくまでも限定的で、いまどきの比ではありませんでした。
そのカスタマイズ機能、アトレーには相当数の項目が用意されています。
漏れなく紹介しきれるかどうかわかりませんが、ひととおり見ていきましょう。
●優れたカスタマイズの操作性
さきに操作法から述べると、セッティングはハンドル左スポークの操作スイッチで行います。
「上」「下」「ENTER」の3つがあり、「上」「下」で選択、「ENTER」で決定…先回採り上げたスズキ車のように、「進む」「戻る」や「決定」を1個だけのボタンの短押しや長押しだけでするのに比べれば、はるかに操作性は上で、横にもうひとつ、「戻る」のボタンがあれば完璧でした。スズキは1個のボタンによる一方通行なのです。
セッティングに限らず、このへんの操作性はメーカーによってまちまちで、中には当のメーカーの中にも文句をいうひとはいないのだろうかといいたくなるほどひどいのがありますが、アトレーのものはいい部類に属します。
●シリーズ全体で、全21項目・トータル45点のカスタマイズメニュー
さて、肝心のカスタマイズ機能。
取扱説明書を見て数えたら、「ほんとに軽自動車か、おまえは」といいたくなる、全21項目、トータル45点ありました。
この説明書はハイゼットカードと共用のため、カーゴ分も含めた項目が乗っているのと、機種による装備の有無&設定可否があるので、ひとつのクルマにすべての設定機能が載るクルマは存在しませんが、「こんな設定項目要る?」といいたくなるものもあります。
また、これら項目の中には、販社でないとセッティングできないものもあり、その場合は、「こんどの土日にお近くのダイハツ販売店へ!」ということになりますが、今回の試乗車・アトレーRSは最上級機種で、高精細のTFTマルチインフォメーションディスプレイがあり、多くは自前でセッティングすることができます。
ここではバン型・ハイゼットカーゴも含めたカスタマイズ機能を紹介します。
かなりあるぞ!(太字の青字は初期設定)
1.キーフリーシステム・ワイヤレスドアロック共通
・作動の合図(非常点滅灯):あり、なし
・解錠後、ドアを開けなかったときの自動施錠までの時間:30秒、60秒、120秒
・作動の合図(音量):レベル5、OFF、レベル1~7
2.キーフリーシステム
・キーフリーシステムの作動:あり、なし
・電子カードキーの室外自動検知機能:あり、なし
3.ドアロック(キーフリーシステム車)
・電子カードキーを携帯して解錠範囲に入ったときの全ドア解錠(ウェルカムドアロック解除):なし、あり
・ウェルカムドアロック解除が作動してから15秒後に自動再ロック:あり、なし
4.パワースライドドア
・作動の合図(ブザー):標準、大きい、小さい
・電子カードキーのボタンでスライドドアを開閉する:長押し、OFF、短押し
・インストルメントパネル内のパワースライドドアスイッチでスライドドアを開閉する:長押し、短押し
・閉作動中のブザー:あり、なし
・ワンタッチスイッチの反応時間:0.1秒、OFF、0.2秒、0.5秒
・予約オープン待ち時間:1.5秒、0.5秒、2.5秒
・予約オープン有効時間:3時間、18時間
5.衝突警報機能
・衝突警報機能の警報タイミング:標準、早い、遅い
6.車線逸脱警報機能・路側逸脱警報機能
・車線逸脱警報機能の警報タイミング:標準、早い
・車線逸脱警報機能・路側逸脱警報機能の警報ブザー音量(TFTマルチインフォメーションディスプレイ非装着車):大きい、小さい
7.ふらつき警報
・ふらつき警報の作動:あり、なし
8.車線逸脱抑制制御機能
・車線逸脱抑制制御機能の作動:あり、なし
9.LKC(レーンキープコントロール)
・LKCの作動:あり、なし
10.先行車発進お知らせ機能
・先行車発進お知らせ機能の作動:あり、なし
・先行車発進お知らせ機能の告知タイミング:標準、やや早い、早い
・先行車発進お知らせ機能の警報ブザー音量(TFTマルチインフォメーションディスプレイ非装着車):大きい、小さい
11.標識認識機能(進入禁止/最高速度/一時停止)
・標識認識機能(進入禁止/最高速度/一時停止)の作動:あり、なし
・標識認識機能(進入禁止/最高速度/一時停止)作動のブザー:あり、なし
12.全車速追従機能付ACC
・全車速追従機能付ACCの先行車認識ブザー:あり、なし
13.オートエアコン
・AUTOスイッチがONのとき、連動して外気導入と内気循環を自動的に切り替える:する、しない
・オートエアコン使用時のeco IDLEによるアイドリングストップの設定:標準、空調
14.コーナーセンサー
・コーナーセンサーのブザー音量:レベル2、レベル1、レベル3
15.ランプ
・ランプ消し忘れ防止機能:エンジンスイッチと連動、運転席ドアと連動
・電子カードキーで全ドア解錠時に車幅灯、番号灯、尾灯が自動点灯(ウェルカムランプ設定(テールランプ連動)):しない、する
16.メーター
・メーター照明が夜照度になる感度:0、-2~2
17.イルミネーション
・ドア開閉後に点灯している室内灯が自動で消灯する時間:15秒、OFF、7.5秒、30秒
・室内灯が自動で消灯する:する、しない
・エンジンスイッチOFF後の室内灯自動点灯機能:あり、なし
・電子カードキーを携帯して車両に近づいたときの室内灯自動点灯(ウェルカムランプ設定(テールランプ連動)):する、しない
18.ドアミラー(電動タイプ)
・ドアミラースイッチの操作によるドアミラーの格納・復帰:エンジンスイッチがACCまたはONで格納・復帰できる、エンジンスイッチがONで格納・復帰できる
19.フロントワイパー
・車速感応間欠作動機能:する、しない
20.リヤワイパー&ウォッシャー
・リバース連動機能:する、しない
・間欠作動時間の調整:標準、早い、遅い
・間欠作動開始時に4秒間の低速作動:する、しない
・リヤウォッシャー連動機能:しない、する
21.方向指示レバー
・レバーを途中まで動かしたときの3回点滅する機能:する、しない
・逆方向にレバーを操作して点滅を中止させるときの、逆方向の3回点滅が始まるまでのレバー保持時間:レベル2、レベル1~4
・右左折後に消灯させるハンドルの角度調整:レベル3、レベル1~9
「ユーティリティ編」で「ワンタッチウインカーが嫌だ」と書いた筆者なら、アトレーを買ったら「方向指示レバー」のメニューを触りまくります。
いっぽう、メーカー個々の考え方なのか、これだけの項目がありながら、筆者が望んでいる車速検知式ドアロックの設定はありませんでした。
また、施錠中でもドアハンドルを引けば運転席ドアだけは開くと同時に、他ドアも解錠されるのは、筆者は便利で賛成ですが、中には不安を抱くひとがいるかも知れません。自動ロックや他ドア解錠のある・なしを選べるとより親切かと思います。
それ以外、このアトレーに乗っている間じゅう、「ここがこうだったら」といいたくなる使いにくい点はひとつもありませんでした。
筆者はこの「リアル試乗」を造る役割上、たぶんメーカーのひとが顔をしかめるほど細かな点まで見る必要があるため、ここまで調べて書いていますが、多くのユーザーは、もしかしたらこのカスタマイズ機能をそれほど必要としないかも知れません。
せっかく操作性がいいのに…
というわけで、次回はアトレーリアル試乗の最終回で、販売動向や燃費について触れていきます。
(文・写真:山口尚志)
【試乗車主要諸元】
■ダイハツアトレー RS(3BD-S710V型・2021(令和3)年12月型・4WD・CVT・レーザーブルークリスタルシャイン)
●全長×全幅×全高:3395×1475×1890mm ●ホイールベース:2450mm ●トレッド 前/後:1305/1300mm ●最低地上高:160mm ●車両重量:1020kg ●乗車定員:2名(4名) ●最小回転半径:4.2m ●タイヤサイズ:145/80R12 80/78N LT ●エンジン:KF型(水冷直列3気筒DOHC・インタークーラーターボ) ●総排気量:658cc ●圧縮比:9.0 ●最高出力:64ps/5700rpm ●最大トルク:9.3kgm/2800rpm ●燃料供給装置:EFI(電子制御燃料噴射) ●燃料タンク容量:38L(無鉛レギュラー) ●モーター:- ●最高出力:- ●最大トルク:- ●動力用電池(個数/容量):- ●WLTC燃料消費率(総合/市街地モード/郊外モード/高速道路モード):14.7/13.3/15.7/14.7km/L ●JC08燃料消費率:19.0km/L ●サスペンション 前/後:マクファーソンストラット式/トレーリングリンク車軸式 ●ブレーキ 前/後:ディスク/リーディングトレーリング ●車両本体価格:182万6000円(消費税込み・除く、メーカーオプション/ディーラーオプション)