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■スタッドレスタイヤもホイールもあまりに高額、頭を抱える冬
●北国生まれ、迫る帰省、やはり買わねばならぬのか
こんにちは、ライターの半澤です。クルマを購入してからけっこうな期間が経過し、旅行でも日常生活でも楽しく活用しています。購入したルノー・トゥインゴの相棒感も増していますが、いよいよあのシーズンがやってきました。
そう、冬。冬と言ったらスタッドレスタイヤですね。でも、週に1回くらいしかクルマに乗らないし、基本は東京近辺でしか使わない。そんなボクは果たしてスタッドレスタイヤを買うべきでしょうか。
●ミニ四駆でもタイヤっていろんな種類があったし…しょうがないよね
結論から言いましょう。ボクはスタッドレスタイヤというものを生まれて初めて書いました。連載の第1回にも書いたように、実家が福島、雪どころ。東北のなかではもっとも南とはいえ、冬はしっかり雪が積もります。ゆえに、冬の実家帰省を視野に入れると、残念ながらスタッドレスタイヤの購入はマストなのです。
以前、知り合いの整備屋さんに見積もりをとってもらい、タイヤは4本で7万5000円くらいで購入。ネットとかで調べると、もちろんもっと安いタイヤもゴロゴロあるのですが、ボクのクルマはRR車で、前輪と後輪でサイズも違います。ゆえに普段は後ろから押されるようなポルシェ風の(実際のポルシェの乗り心地は知らないけれど)快適な加速を体感できるわけですが、タイヤのローテーションもできないし、何より高額。
マジか…とうなだれつつも、必要経費と完全に割り切り、スタッドレスタイヤを購入しました。
仮に晴れの日に帰省したとしても、東北自動車道には那須塩原など標高が高いゾーンがたくさんあるので、雪対策は必須なのです。大人なクルマユーザーならまあ、しょうがない出費といえるでしょう。東京でもたまに雪積もるしねえ。スタッドレス履いてない雪道素人が運転する東京の街中は恐怖だなとも思っていたので、うんうん、我ながら良い買い物したよと自分を励ましていました。
そんななか、あることを思い出しました。ボクはミニ四駆にハマった世代ではないのですが、3歳年下の弟がガチ勢でした。
第1次ブーム、80年代後半『ダッシュ!四駆郎』のではなく、90年代後半に訪れた第2次ブーム『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』の頃です。『コロコロコミック』を毎月買っていた弟はまんまとこのムーブメントに巻き込まれ、ミニ四駆の本体はもちろん、たくさんのパーツやタイヤも保有していました。
手先が不器用なボクには理解できませんでしたが、ミニ四駆は買って終わりではなく、むしろその後のカスタマイズこそ命。タイヤやら何やらを自分好みにして、スピードを競うということに、当時の子どもたちは熱狂していたのでした。イニシャルコストだけでなく、しっかりランニングコストがかかる仕組みが確立していたのですね。
それはリアルなクルマ界でも同じか…としみじみ思います。
かくしてボクは新タイヤを手に入れ、ついに憧れの爆走兄弟の仲間入りを果たしたのでした。
●日本国内にわずか3セットの純正ホイール、めっちゃ高額、さてどうするか?
しかし、出費はこれだけでは終わりませんでした。そう、クルマをお持ちの方は薄々勘づいているでしょう、ホイールです! いくらミニ四駆世代ではないといえ、ボクもその存在を知っていました。
あれでしょ、タイヤの真ん中のヤツでしょう。おしゃれにドレスアップできたり、素材選びにこだわればクルマの走り心地にも影響するヤツでしょう。弟もいっぱいホイールを持っていたなあ(ミニ四駆の)。
でも、これは必須アイテムではないとも感じていました。なぜなら、今のホイールで満足していたからです。しかし、いざタイヤをスタッドレスに履きかけようとした際に、ガソリンスタンドの整備士にこんなことを言われてしまいました。
整備士:「ホイールなしのタイヤ交換もできるのですが、工賃が1万円くらい高くなってしまいます」
半澤:「え、そうなんですか? ではどうすれば良いのでしょう?」
整備士:「ホイールを買っていただければ、1本あたりの交換費用も安くなりますよ…」
なるほど、これはクルマに乗っている人にとってはかなり当たり前のことなのでしょうが、ホイールごとタイヤを交換することでタイヤのコンディションを保てて、交換の作業時間も短くて済み安上がりということ。
つまりもう1セット、スタッドレスタイヤ用のホイールがあったほうが良いということですね。
原理的にはそりゃそうだろうな、と理解はできているのですが本能的に、これは金がかかる案件だなとビビりました。「なんか高額そうなので、取り急ぎ今回はパスかな…」そうやって悩んだそぶりを見せると、ここからが長かった!
整備士(上司)の登場です。店頭にあるパソコンをカチカチ叩きながら、部下の整備士に耳ぼそで語りかかけます。
整備士(上司):ああ、なるほど。このルノーの純正ホイールはすぐには手に入らないヤツだなあ。国内にもほとんどないみたいだよ。なんとか調べてみようか。
整備士:は、はい…。
整備士(上司):ちょっと遠いけど、世田谷の〇〇タイヤさんに聞いてみるわ。(数分後)あ、なんか1セットだけ置いてあるらしい。ここなら最悪、オレが明日出社前に寄ってタイヤをピックアップしてくるから、明日の11時までに履き替え完了してクルマをお渡しできますってお伝えしてきて!
整備士:は、はい…伝えてきますね!
この一連のやりとりはボクに筒抜けだったのですが、部下の整備士はボクに律儀に伝えます。
純正のホイールはなんと! 日本で今、3セットしか存在しないとのこと。
え? そんなことってあるんですか?
とはいえ、実はなるべく早くタイヤは替えてしまわないといけない状況だったので、この2人の小芝居をやさしく見つめつつ、ボクはホイールを購入することになったのです。
なんと4本で16万円くらい! この金額、今思い出すのもゾッとするので敢えて明細を確認せず、記憶だけで書いています。忘れたいくらいです。それって、サラリーマンだった頃の手取り月収より高額やぞ! どれだけ高額なの、ホイールさん。
スタッドレスタイヤと合わせ、計20数万円。いやあ、金かかりすぎだぞトゥインゴちゃん!
でも、こうも考えられるでしょう。何せホイールは日本に3セットしかなかったレアパーツ。将来このクルマを売る際には、このスタッドレスやパーツはさらに希少になっているのでは…。そうこれは投資、将来のための投資。
でも、ボクは知っていたのです。弟があれだけたくさん買ったミニ四駆やパーツたちに、リセールバリューなどまったくなかったことを。すべて過去のオモチャとしてゴミとなってしまったことを。
リアルクルマ界では、そうでないことを願うばかりです。
次回、第13回【正月帰省編】新幹線で帰省するよりも良いことたくさん? 実際、クルマで田舎に帰ってみてわかったことをレポート!
(半澤 則吉)