日産「リーフ」、さいたま市のEV普及プロジェクトに納車。リーフは納車1週間前に発売開始【今日は何の日?12月28日】

■さいたま市“E-KIZUNA Project”でリーフを使った実証試験が始まる

2010(平成22)年12月28日、日産自動車はEV普及プロジェクト“E-KIZUNA Project”のパートナーであるさいたま市に「リーフ」3台を納車しました。“E-KIZUNA Project”は、EV普及のための持続可能な低炭素社会を目指す、日産とさいたま市の共同プロジェクトです。

2010年にデビューした電気自動車リーフ
2010年にデビューした電気自動車リーフ

●日産とさいたま市が進める“E-KIZUNA Project”

日産は、ルノーとともに“ゼロエミッション車で世界のリーダーになる”ことを目標とし、世界各国の政府や自治体・企業などと合わせて80件以上のゼロ・エミッションモビリティに関するパートナーシップを締結していました。“E-KIZUNA Project”も、その中のひとつと位置付けられます。

2009年日産は、さいたま市とEV普及のための持続可能な低炭素社会の構築を目指す“E-KIZUNA Project”を共同で推進することに合意し、パートナーシップ協定を締結しました。その活動は、CO2削減目標の達成に貢献することを目指すというもので、その中で日産が特に関わるのが、充電セーフティネットの構築です。

具体的には、充電設備の市内整備や車載機器を活用した情報提供、そのほかにもカーシェアリングの推進、試乗会の開催や啓発物の配布など。それらの実証試験のために、リーフが活用されました。

●ゼロエミッション車としてリーフが鮮烈にデビュー

リーフは、さいたま市に納入される1週間前の2010年12月20日に発売が始まりました。

リーフの構造。フロントにモーター、床下にリチウムイオン電池
リーフの構造。フロントにモーター、床下にリチウムイオン電池

本格的な量産型の電気自動車リーフは、実用性を重視した5人乗りのハッチバックです。

フロント部に電気モーターを搭載したFF駆動で、永久磁石型同期モーターは最大出力80kW(108.8PS)・最大トルク280Nm(28.55kgm)を発揮。バッテリーは、日産とNECが共同出資して設立されたオートモーティブ・エナジー・サプライ社の容量24kWhのラミネート型リチウムイオン電池で、バッテリーセルを192個並列に接続して床下に搭載されました。

満充電時の航続距離は、JC08モードで200kmを達成。充電時間は、急速充電で容量80%まで30分、一般家庭の200V電源(3相200V)では8時間、100Vの家庭用電源(単相100V)では28時間を要します。

●ホンダも、埼玉県とフィットを使った実証試験を実施

リーフ納車のちょうど1年後の2011年12月28日には、ホンダが埼玉県の「EV・PHVタウン構想」事業の実証試験のために「フィットEV」を埼玉県庁に納車しました。

ホンダと埼玉県の「EV・PHVタウン構想」実証試験プロジェクトのために納入しされたフィットEV
ホンダと埼玉県の「EV・PHVタウン構想」実証試験プロジェクトのために納入しされたフィットEV

フィットEVは、2代目フィットをベースにしたEVで、航続距離はJC08モードで225kmです。ただし、市販化はされておらず、一部の官公庁や自治体、法人向けのリース販売でした。

2010年当時は、日産やホンダに限らず、市販化している・してないにかかわらず、ほとんどのメーカーが多くの共同プロジェクトを立ち上げ、EVを使った実証試験に取り組んでいました。


10年以上も前になりますが、EV普及を目指して多くのプロジェクトが立ち上げられた割には、EVの普及は期待通りに進まなかったように思います。しかし、この数年の間には世界中でカーボンニュートラルと電動化の大きな波が押し寄せています。今後はEV化が加速することが予想されますね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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