都会派SUVって何?高級ジャンルを開拓したトヨタ「ハリアー」デビュー。SUVブームの世界的火付け役モデルに【今日は何の日?12月25日】

■乗用車のプラットフォームをベースにした都会派SUV

1997(平成9)年の12月25日、この日、トヨタから高級SUV「ハリアー」がデビューしました。

RVブーム真っただ中、1994年に都会派コンパクトSUV「RAV4」がデビューして大ヒット、続いて都会派高級SUVというジャンルを開拓して現れ大ヒットしたのが、ハリアーです。

1997年にデビューしたハリアー。高級SUVというジャンルを開拓
1997年にデビューしたハリアー。高級SUVというジャンルを開拓

●都会派のコンパクトSUVというジャンルを開拓したRAV4

現在も高い人気を持つ乗用車ベースのSUVですが、そのブームのパイオニアが、トヨタのRAV4とハリアーです。

RAV4がデビューしたのは1994年のこと。本格4WDを備えたパジェロやランドクルーザーに代表されるクロカンRVブームが市場を席巻する中、乗用車をベースにした初代RAV4の登場は、センセーショナルでした。

1994年にデビューした初代RAV4
1994年にデビューした初代RAV4

車高を上げたコンパクトなボディに、オフロードでも街中でもフィットするアクティブなフォルムと、立体的で開放感のある室内空間。パワートレインは、135PSを発揮する2.0L直4 DOHCエンジンと5速MTおよび4速AT組み合わせ、駆動方式はもちろんフルタイム4WDです。

乗用車ベースの都会派コンパクトSUVという新しいジャンルを開拓したRAV4は、アクティブな若者を中心に人気が沸騰、記録的な大ヒットになりました。

●都会派の上級SUVというジャンルを開拓したハリアー

RAV4に続いて、都会派の高級SUVというジャンルを開拓したのが、ハリアーでした。

初代ハリアーの高級感漂う、広い室内空間
初代ハリアーの高級感漂う、広い室内空間
初代ハリアーの後ろ外観。最低地上高を確保しながらもシャープなリア
初代ハリアーの後ろ外観。最低地上高を確保しながらもシャープなリア

ハリアーは、上級FFサルーンのカムリをベースに、モノコックボディの流麗なスタイリングと、セダンにも負けない広々とした室内空間によって高級感を演出。装備についても、ワイドマルチディスプレイ、オプティトロンメーター、キーレスエントリーなどを標準化し、高級車の定番である本革シートも用意されました。

一方、最低地上高は185mmを確保、アプローチアングル28度、デパーチャーアングル23度と、オフロード走行にも対応可能。

パワートレインは、2.2L直4 DOHCエンジンおよび3.0L V6 DOHCエンジンの2種と、電子制御4ATの組み合わせ。駆動方式は、FFとセンターデフ式4WDです。

高級セダンと4WDのいいとこ取りをした高級SUVのハリアーも大ヒット、翌年には米国でレクサス「RX」として発売され、海外でも大ヒットしました。

●ハリアーが起爆剤となって世界中でプレミアムSUVが大流行

2020年にデビューした4代目ハリアー
2020年にデビューした4代目ハリアー

初代ハリアー(レクサスRX)の優れた性能や乗り心地、静粛性などの高級感溢れる質感は、世界中のSUVに大きな影響を与え、高級(プレミアム)SUVというジャンルが確立されました。

ハリアーに続いて、BMW「X5(2000年)」やポルシェ「カイエン(2002年)」、VW「トアレグ(2002年)」、アウディ「Q7(2004年)」と、世界中の高級ブランドからプレミアムSUVが続々と登場。この勢いは衰えることなく、2022年現在でも、さらに大きな市場に成長しています。

ハリアーは、2020年に4代目へと移行。伝統のコンセプトは引き継がれ、流れるようなエレガントなフォルムと高級感のあるインテリアを採用。“TNGAプラットフォーム”によって、低重心化して乗り心地はさらに上質化しています。

さらにハイブリッドや電気式4WD“E-Four”、予防安全“Toyota Safety Sense”など、走りと燃費、安全性を高いレベルで両立。現在も、高い人気を誇っています。


今やブームでなく、乗用車のひとつのジャンルとして確立されたSUV。新型クラウンもSUV化して大きな話題となっています。そのような都会派の上級SUVを開拓したのは、間違いなくハリアーなのです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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