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■HVベースでリチウムイオン電池を付加して外部充電を装備したPHV
2009(平成21)年12月14日、トヨタは「プリウスプラグインハイブリッド」のリース販売を始めました。プリウスPHVは3代目「プリウス」のハイブリッド(THS-II)をベースに、リチウムイオン電池を付加して、外部電源から充電を可能にしたHV派生のプラグインハイブリッドシステムです。
●PHVのベースは、大ヒットした3代目プリウス
量産初のハイブリッド車・初代プリウスが誕生したのは、1997年のこと。“THS(トヨタ・ハイブリッドシステム)”によって、同クラスのガソリン車を圧倒する燃費を達成し、大きな注目を集めました。その後、2003年の2代目で進化を遂げ、2009年の3代目はさらに完成度を高め大ヒットモデルとなりました。
3代目プリウスに搭載された進化版ハイブリッドシステムTHS IIは、モーター出力(50kW→60kW)の増大とともに、エンジン排気量(1.5L→1.8L)も拡大し、エンジン+モーターの最高出力は110PSから136PSへと大きく向上。
排気量の拡大は、課題とされたパワー不足と高速燃費を改善。低燃費エンジンとTHS IIの組み合わせや世界トップクラスの空力性能によって、燃費はトップクラスの38.0km/Lを記録しました。
2代目で高まった人気を一気に爆発させた3代目、プリウスが世界中でハイブリッドの代名詞となったのもこの世代からです。
●一般ユーザー向けの販売はリース販売の2年後に開始
3代目プリウスをベースにした初代プリウスPHVは、ハイブリッドシステムTHS IIにリチウムイオン電池を付加して、家庭用電源から充電を可能にしたプラグインハイブリッドシステムです。
電池容量を増やすことでEVの走行距離を延長し、充電した電気を使い切ったら、通常のハイブリッド走行をします。また、外部給電機能も装備されているので、災害時には搭載電池の電力を外部施設に供給することもできます。
プリウスPHVのEV走行距離は、HVの10倍にあたる23.4km。家庭用電源からも充電できるので、電気代の安い夜間に充電すれば、HVの約半分の燃料代で走行できる経済性が魅力です。燃費は、ガソリンとモーターを併用して57km/L(JC08モード)を達成。官公庁や一部法人を中心に、合わせて約600台をリース販売、2年後には数万台/年の市販化を目標にする計画を発表しました。
予定通りPHVプリウスは、2年後の2012年1月に一般ユーザー向けの販売を始めました。ただし、EV走行距離が26.4kmと短かったため、市場での評価は厳しいものでした。
●初代の課題であった航続距離を2代目、さらに新型PHVで改良
2017年、トヨタはプリウスPHVを5年ぶりに全面改良して2代目に移行しました。
初代の航続距離が短いという反省点を踏まえて、2代目プリウスPHVは、駆動用バッテリーの容量を4.4kWhから8.8kWhへと倍増し、EV航続距離は68.2kmへと大幅に改善。5年の間に遂げられたリチウムイオンバッテリー自体の進化と電動システムの改良が、EV航続距離向上につながりました。
そのほかにも、“ソーラー充電システム”の採用や、フロントマスクに左右4個のLEDを配備してFCV「ミライ」に近いデザインを採用するなど、環境対応技術や先進性の高さをアピールしました。
そして、先月11月16日に新型プリウスHVとPHVの発表がありました。詳細な情報は未公開ですが、PHVの発売は来春で、リチウムイオン電池の容量を増やし、大幅なパワーアップとともに、航続距離は現行2代目PHVよりも50%以上改良されると報告されています。
初代プリウスPHVは、航続距離の短さからPHVの有難味が少なく、不発に終わりました。当時トヨタはHVの展開に注力していた時期でもあり、PHVの取り組みはまだ本気でないなと思わせるモデルでした。今回発表された新型プリウスPHVは、大きく進化しているようです。その本気度が、楽しみですね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)