ホンダの新型アコードは、すっぴん美人の洗練ボディ。その超シンプルデザインとは?【クルマはデザインだ】

■単なる流行ではない本質的な美しさを狙う

ホンダの米国現地法人であるアメリカン・ホンダモータが、11月10日に発表した新型「アコード」は、グローバルモデルとして日本での発売も計画されています。

日本仕様の発表は少し先になりますが、まずは発表された写真からエクステリアデザインの特徴を紐解いてみたいと思います。

アコード・メイン
11代目となる新型は現行型と同じファストバック風ながら、より洗練されたボディとなっている

まず、全体の佇まいですが、新型はキャビンをより後方に配置しているものの、ファストバック風スタイル自体は基本的に現行型を踏襲しているようです。ただ、現行の4900mmから約70mm延長され、もはや5mに届きそうな全長もあってか、サイドのグラフィック(ガラス面)形状はよりスムーズでナチュラルとなり、ボディ全体も伸びやかさを増したようです。

グリルとランプが一体となったフロントの構成もまた現行型と同じですが、ロアバンパー部までガバッと大口を開けていたグリルは横型に縮小され、「頭が重い」イメージは払拭されました。

さらに、ブラックの格子模様のグリルには従来のようなメッキパーツがなく、しかもボディと面一化されたことで非常に軽快な表情となっています。

アコード・現行型
現行型アコード。フロントグリルとエアインテークの大きな開口部が特徴的

グリルについては、先行した「シビック」の方がより薄い表情なのですが、ボディ面との間に奥行きを持たせた分、シビックの方が重さを感じさせます。

とにかく、新しいアコードの顔は軽いのです。

ロアグリルのシンプルさも注目点です。現行の巨大なエアインテークの造形は一種の流行りでしたが、これがミニマムな表現に一変しました。ただ、それだけではミッドサイズセダンとしての車格感が出ませんので、小さいながら金属表現にしているのが実に巧妙なところです。

●ライバルに引けを取らない上質デザイン

アコード・リア
美しいサイドグラフィックと、シンプルなサイド面が際立つリアビュー

現行型のサイド面は、一時のBMW車のような比較的深いキャラクターラインが特徴でしたが、新型はパンっと張った滑らかなボディに、極めて細くシャープなラインと、大きく表情を変えてきました。

これは先のシビックや、あるいは「ステップワゴン」にも共通する表現ですが、5m近いボディを1本の細い線で「持たせる」のは相当な技量が必要なハズ。その点、最近のホンダのシンプル路線がまた一歩進化したと言えそうです。

アコード・サブ
ロアグリルも極めてシンプルな表情に変化。顔全体が軽くなっている

リアパネルでは、現行型の「コの字」型ランプが、よりシンプルな横型となりました。全体を流行りの細い横一文字形状にせず、ランプ自体にはしっかり厚みを持たせたことが、リアの表情をより豊かにしていると思えます。

アコード・サブリア
キリッとしたリアランプはライバルに負けない存在感を醸し出している

北米市場で好評のアコードですが、こうして見ると、たとえばアウディの「A5」や「A6」のアウトバックあたりとしっかり張り合うためのモデルチェンジであることがわかります。

ホンダ自身、「流麗で洗練された全く新しいスタイリング」と謳っていますが、このサイズの日本車として、異例なほど磨き込みを掛けたシンプルボディに注目したいと思います。

早く日本仕様のデザインを見てみたいですね。

(すぎもと たかよし)

この記事の著者

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すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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