日産「エクストレイル」デビュー。10年間SUVでNO.1の座に君臨【今日は何の日?11月13日】

■乗用車ベースのライト感覚SUVとして大ヒット

2000(平成12)年11月13日、日産自動車から新型SUV「エクストレイル」がデビュー。“4人が快適で、走りも楽しめる200万円台の実用的な4輪駆動モデル”というコンセプトで開発され、アウトドアやスノボ、サーフィンを楽しむ20~30代層から絶大な人気を獲得しました。

2000年にデビューしたエクストレイル

●都会派SUVのRAV4とCR-Vが乗用車ベースのSUVを開拓

横置きFFセダンのプラットフォームを利用した乗用車ベースのSUVのパイオニアは、1994年に登場したトヨタの「RAV4」です。

1995年にデビューした初代CR-V
1995年にデビューした初代CR-V
1994年にデビューした初代RAV4
1994年にデビューした初代RAV4

RAV4が登場した1990年代前半は、三菱の「パジェロ」やトヨタの「ランドクルーザー」に代表される本格4WDを備えたクロカンRVブームが市場を席巻していました。そのような中、乗用車ベースのRAV4は、悪路を走破できるような本格オフライダーでなく、4WDを装備しつつ街乗り走行を重視した都会派のクロスオーバーSUVとして大ヒットします。さらに翌年1995年には、ホンダからも同様のコンセプトの「CR-V」が発売され、人気を博しました。

後れを取った日産は、1997年の東京モーターショーで「トレイルランナー」というオフロードも走れるクーペスタイルのコンセプトモデルを展示。これが、エクストレイルの母体となりました。

●RAV4やCR-Vよりもアクティブさを強調したエクストレイル

アウトドア派の若者をターゲットにしたエクストレイルは、ライバルのRAV4とCR-Vよりアクティブなイメージをアピールしました。

2000年発売のエクストレイルの後ろ外観、ボクシーながらボリューム感のあるスタイリング
2000年発売のエクストレイルの後ろ外観、ボクシーながらボリューム感のあるスタイリング

スタイリングは、直線基調のボクシーなラインとボリューム感のあるボディ下部で構成。強靭なイメージのバンパーや立体的で大きい角型ヘッドライトとリアライトが特徴です。フルモノコック構造のボディに4輪駆動を備えた5人乗りの乗用車がベースなので、ハードな悪路を走破するような本格的なオフローダーではありません。ただし、“オールモード4×4”と呼ばれる電子制御4WDと地上高を確保しているので、一般的なアウトドアの用途では十分な走破性を有するライト感覚のSUVでした。

エクストレイル搭載2.0L直4ターボエンジン
初代エクストレイル搭載2.0L直4ターボエンジン

パワートレインは、2.0L直4 DOHCのNA(無過給)or ターボの2機種エンジンと4速ATおよび5速MTの組み合わせ、駆動方式はFFと4WDが用意されました。

2000年にデビューしたエクストレイルは、200万円台という低価格の魅力もあり、ライバルのRAV4やCR-Vを抑えて、2001年から国内SUV販売台数トップの座に10年にわたり君臨するという快挙を成し遂げたのです。

●新型エクストレイルは日産の先進技術満載のハイブリッドSUV

今年(2022年)の7月15日、エクストレイルは9年ぶりにモデルチェンジし、4代目がデビューしました。

2022年7月にデビューした新型(4代目)エクストレイル
2022年7月にデビューした新型(4代目)エクストレイル

新型エクストレイルは、先代より全長を40mm短く、全高は50mm程度低くして、スポーティさを強調したスタイリングを採用。搭載されたハイブリッドシステムである第2世代e-POWERは、前後2つのモーターと発電を担うVC(可変圧縮比)ターボエンジンで構成され、高い効率を達成しています。

4代目エクストレイルのパワートレイン
4代目エクストレイルのパワートレイン、3気筒1.5LのVC-TURBO

e-4ORCEは、電動化技術と4WD制御技術、シャシー制御技術を統合した電動駆動4輪制御技術で、路面と車両の状況を瞬時に判断して、すべての運転状況と道路環境でも安定した走行が可能です。さらに、全方向の安全を確保する“360度セーフティアシスト”や進化版プロパイロットなど運転支援技術も充実しています。

まさに日産の先進技術の粋を集めたハイブリッドSUVです。


初代エクストレイルの人気の理由は、ソフトすぎず、ハードすぎもしないスタイリングと性能、そして安価なこと。これが、当時の若者のライフスタイルにピッタリはまって大ヒットしたのだと思われます。4代目も気になるところですね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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