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■コンソルテ・ベルリーナに続くダイハツの本格的な小型乗用車
1974(昭和49)年11月7日、ダイハツから「コンソルテ・ベルリーナ」に続く小型セダン「シャルマン」がデビュー。ダイハツは、1967年にトヨタと業務提携を結び、シャルマンの開発については、カローラをベースにトヨタのバックアップを受けました。
●4輪乗用車事業への参入とトヨタとの業務提携
1958年に発売した3輪トラック「ミゼット」で成功を収めたダイハツは、4輪乗用車への参入を目指しました。1961年の「コンパーノバン」に続いて、1963年に2ドアの本格的な乗用車「コンパーノ・ベルリーナ」を発売、これによって乗用車メーカーとして第一歩を踏み出しました。
コンパーノ・ベルリーナは、イタリア車風のスタイリッシュなデザインが評判となり、1964年には4シーターのコンバーチブル「コンパーノ・スパイダー」を追加するなどシリーズの充実を図りました。ただし、話題にはなりましたが、乗用車の販売網が充実してないダイハツでは、ヒットモデルにはなりませんでした。
その後ダイハツは、1960年代半ばに起こった業界再編成の波に巻き込まれるかたちで、1967年11月にトヨタと業務提携を締結します。1969年には、トヨタの「パブリカ」をベースにした業務提携後初の小型セダン「コンソルテ・ベルリーナ(後にコンソルテ)」を発売します。
●カローラをベースにトヨタの協力を得て開発されたシャルマン
パブリカからカローラへと続くトヨタのラインアップ同様、コンソルテ・ベルリーナに続く本格的な小型セダンとして登場したのが、シャルマンでした。開発にあたっては、やはりトヨタの大きな協力を受けました。
シャルマンは、2代目となる20系カローラのエンジンやトランスミッション、サスペンションなどを流用しながらも、内外装はダイハツ独自のデザインを採用し、コンソルテより上質の小型車を目指しました。
スタイリングは、オーソドックスな直線基調ながらクラス初の丸形4灯ヘッドライトで個性を演出。パワートレインは、カローラの1.2L&1.4L直4 OHVエンジンと4速MTおよび2速ATの組み合わせ、駆動方式はFRでした。
シャルマンの特徴的な装備として挙げられるのが、”マルチユースレバー”です。ステアリングコラムから出る左右2つのレバーに、ヘッドライトビーム切替/ターンシグナル/パッシングライト/2スピードワイパー/ウォッシャーの機能を持たせました。現在は一般的な機能ですが、当時としては珍しい便利な機能でした。
好調な販売で滑り出したシャルマンでしたが、徐々に低迷したため81年にフルモデルチェンジで70系カローラとプラットフォームを共通(デザインその他はダイハツオリジナル)する2代目へとバトンタッチし、商品力アップを図ります。しかし、落ち込みを抑えることができずに1988年に生産を終了しました。
●トヨタで売っているダイハツ車とダイハツで売っているトヨタ車
1967年の提携後、トヨタとダイハツの強固な関係は続きますが、1998年にトヨタが株式を51.2%取得してダイハツは、トヨタの連結子会社となり、2016年には100%の株式を取得して、トヨタの完全子会社になります。以降、ダイハツはトヨタグループの中で、軽自動車を含む小型車部門として、新興国向け戦略の一翼を担っています。
現在、トヨタとダイハツは相互にOEM供給も積極的に行っています。トヨタが販売している代表的なダイハツ車としては、コンパクトSUVのライズ(トヨタ)/ロッキー(ダイハツ)、コンパクトカーのパッソ/ブーン、コンパクトトールワゴンのルーミー&タンク/トール。逆にダイハツで販売しているトヨタ車としては、アルティス(ダイハツ)/カムリ(トヨタ)があります。
1970年代は、カローラとサニーの熾烈な競争「CS戦争」に代表されるファミリーカー激戦の時代。知名度や販売網で劣るダイハツのシャルマンには、厳しい闘いであったようです。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。
(Mr.ソラン)