■「2025年までに30%」という国の目標に早くも到達しているヤマハ発動機
ヤマハ発動機の広報グループが発信している「ニュースレター」。今回のテーマは、男性社員の育休です。
男性の育児休職取得を後押しするための施策として、2022年10月1日から「産後パパ休暇」が始まりました。男性版の産休ともいえる同制度の導入により、出産からの8週間で最大4週分の特別休暇を2回に分けて取れるようになっています。
また、従来からの育児休職制度も10月1日から2回に分けて取得可能になり、両制度を併せれば計4回、育児を目的とした休みを取ることができます。
厚労省が発表した雇用均等基本調査(2021年度)によると、男性育休の取得率は9年連続で上昇しているものの、いまだに13.97%と決して高水準とはいえない状況になっています。国は目標として「2025年までに30%」の取得を掲げています。
では、ヤマハ発動機はどうなっているのでしょうか。
同社は「男性育休を応援する会社」を目指し、制度整備や啓蒙活動を展開したことで、育休を取得する男性従業員が直近3年間で急増し、厚労省の2025年目標の男性育休取得率30%をすでに超えています。
さらに、実際に育休を取得した男性従業員にアンケート調査を実施し、これからパートナーの出産を迎える従業員の不安の解消やアドバイス、また制度の整備や周知などに役立てているそうです。
すでに、国が定めている目標に達しているヤマハ発動機。第1PT開発部で、二輪車用エンジン実験のプロジェクトを牽引する水澤幸司さんは、「2021年に4ヵ月間の育休を取得しました。私の職場にはすでに育休経験者もいましたので、精神的な部分も含めて障壁を感じることはありませんでした。上の子もまだ小さく、育休の取得は、妻が一番喜んでくれました」と振り返っています。
●育休を獲りやすい職場の雰囲気
育休が取りやすいか否かは、制度だけでなく職場の雰囲気なども大きく左右すると聞きます。ヤマハ発動機において、育休の取得にあたり、職場の同僚や上司はどのような反応だったかを聞くと、約9割の育休経験者が「応援してくれた(どちらかと言えばも含む)」と回答したそう。
先述の水澤さんの上司(当時)であった西村英浩さんは、「一般的ですが、開発職場は、人材の代えがききにくいといえるでしょう。一方で、当社では互いに理解し合い、支え合う風土が広がっています。仕事を引き継いで、空白期間を埋めた若手の成長機会にもなっています」など、職場にとってプラスの効果も生まれているそう。
水澤さんは、「2人目の子は、早く小さく産まれたこともあって、女性が抱える出産のリスクというものを実感しました。また、目を離せない子どもを抱えながらの家事の繁忙さを経験できたことも、妻への思いやりにつながっています」と振り返っています。
当初、抱えていたという職場復帰への不安も、「同僚や上司の理解やサポートもあって、まったく違和感なく復職できました。もし相談を受けることがあったら、もちろん育休の取得をすすめたいです」と語っていたそうです。
(塚田勝弘)