ドゥカティの新型クルーザー「ディアベルV4」は、エンジンの4気筒化や右4本出しマフラーで走りと迫力をアップ

■13kg以上の軽量化で軽快な走りも実現

イタリアのバイクメーカー「ドゥカティ」は、大型クルーザーモデルの新型「ディアベルV4」を発表しました。

ドゥカティ製クルーザーの新型ディアベルV4登場
ディアベルV4(ドゥカティ・レッド)のリヤビュー

先代モデルのディアベル1260Sなどが搭載したV2エンジンから、新しくV4エンジンを搭載するなどで、走りをアップデートさせたのがこのモデル。

また、従来から定評があった迫力あるフォルムを継承しつつも、右4本出しマフラーの採用などで、さらにアグレッシブなスタイルを手に入れています。

●筋肉質な造形のマッスルクルーザー

スポーツバイクのメーカーというイメージが強いドゥカティが、2011年に発売したモデルがディアベルです。筋肉質ともいえる造形を持ち、長距離を快適に走れるマッスルクルーザーというジャンルに属するバイクです。

ロー&ロングのスタイルや、極太のリヤタイヤなどの採用により、個性的で迫力あるフォルムを実現。また、低回転域から発生する太いトルク特性や、軽快なハンドリングなどにより、街乗りから長距離ツーリング、ワインディングなど、幅広いシーンで走りが楽しめるバイクとして、大ヒットしたモデルです。

ドゥカティ製クルーザーの新型ディアベルV4登場
ディアベルV4のエンジン

その2023年新型となるディアベルV4は、エンジンを先代モデルのV型2気筒から1158cc・V型4気筒に変更。

スーパースポーツモデルの「パニガーレV4」などから派生したという新型エンジンは、最高出力168ps/1万750rpm・最大トルク12.8kgf-m/7500rpmを発揮。

低回転域でのリニアな出力特性と、全回転域における力強いトルクを組み合わせることで、街乗りから高速クルーズまで、幅広いシーンで快適な乗り味を実現します。

ドゥカティ製クルーザーの新型ディアベルV4登場
ディアベルV4(スリリング・ブラック)

さらに、直線加速では、240/45サイズの極太リヤタイヤと専用ギアを組み合わせることにより、0-100km/hを3秒未満で到達できるという優れたダッシュ力も実現。大排気量のマッスルクルーザーらしい走りも堪能できます。

加えて、エクステンデッド・ディアクティベーション・システムの採用により、燃料消費量と排出ガスも低減。このシステムは、停止時はもちろんのこと、エンジン負荷の低い、低回転域での走行時にリヤバンク(V型4気筒の後方2気筒)を休止させるというものです。これにより、エンジンは、回転数や状況に応じて2気筒または4気筒で作動します。

ドゥカティ製クルーザーの新型ディアベルV4登場
ディアベルV4のホイールやマフラー

ちなみに、音質にこだわって開発された専用の右4本出しマフラーは、2気筒のみの作動時はより低い周波数で、より深いサウンドを発生。また、4気筒すべてが作動している時は、よりスポーティな高音サウンドを奏でるようなチューニングも施され、全回転域で心地よい排気サウンドも楽しめます。

●5本スポーク合金ホイールなどで美しさも追求

外観では、フロントのデイタイム・ランニング・ライト(DRL)の形状を変更。車体後部には、テール下に配置されたドット状のLEDマトリックスから構成されるリヤライト・クラスターも採用します。

ドゥカティ製クルーザーの新型ディアベルV4登場
ディアベルV4のヘッドライト

また、リヤタイヤには、前述の通り240/45の極太サイズを採用すると共に、機械加工が施された5本スポーク合金ホイールを組み合わせることにより、非常に洗練された美しさを演出しています。

車体では、軽量アルミニウム製モノコックフレーム、片持ち式アルミニウム製鋳造スイングアーム、スチール製トレリス・リアフレームから構成するシャーシを採用。

シャーシ自体やエンジンの軽量化により、燃料を含まない車両重量で223kgを実現し、先代モデルのディアベル1260Sと比較して、13kg以上の軽量化が施されています。

ドゥカティ製クルーザーの新型ディアベルV4登場
ディアベルV4のフロントブレーキ

サスペンションでは、50mm径の倒立フロントフォークとカンチレバー式のリヤショックアブソーバーを採用。いずれも、ライダーの好みや体格に応じてセッティングが可能なフルアジャスタブルタイプです。

特に、リヤサスペンションはストロークを15mm増加。あらゆる方向へ自由に動くことができる新しい形状の幅広いシートと相まって、長時間のライディングでも快適性が大幅に向上したほか、スポーティなライディング時の軽快な走りに貢献します。

ほかにも、フロントブレーキには、ブレンボ製Stylema®キャリパーと330mm径フロント・ダブルディスクを採用し、高い制動力も実現。

790mmという低いシート高や、センター・フットペグ、ディアベル1260よりも20mmライダーに近づけて設置された高いハンドルバーなどにより、大型モデルながら車体の取り回しも非常に楽になっています。

●クルーズコントロールで高速道路も快適

新型ディアベルV4には、最新の電子制御システムも採用されています。

ドゥカティ製クルーザーの新型ディアベルV4登場
クルーズコントロールで高速道路も快適

特に、新型では、「スポーツ」「ツーリング」「アーバン」に加え、グリップの低い路面向けに新設された「ウェット」という4つのライディングモードを装備。

選択したライディングモードにより、ライダーはエンジン出力と電子制御システム(コーナリング・バージョンのドゥカティ・トラクション・コントロール、コーナリングABS、ドゥカティ・ウィリー・コントロール)の介入を、路面の状況や好みに合わせて変化させることができます。

また、高速道路などで、アクセル操作なしでも設定速度を維持するクルーズコントロールも装備。長距離の高速クルージング時などに、よりリラックスしたライディングを実現し、疲労軽減にも貢献します。

車体カラーは2色が用意され、価格(税込)は、ドゥカティ・レッドが299万9000円、スリリング・ブラックが303万3000円。日本での発売時期は未発表ですが、欧州では2023年1月から販売開始が予定されています。

(文:平塚直樹

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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