アプリリアの100台限定「RSV4 XTrenta」は、230馬力エンジンを搭載しMotoGPマシン譲りのエアロパーツも満載

■初の世界タイトル獲得30周年記念車

イタリアのバイクブランド「アプリリア」のレース部門で、世界最高峰2輪レースのMotoGPにも参戦する「アプリリアレーシング」は、166kgという軽量な車体に230馬力ものハイパワーエンジンを搭載し、MotoGPマシン「RS-GP」譲りのエアロパーツなどを投入した100台限定モデル「RSV4 XTrenta」を発表。日本でアプリリアを扱うピアジオグループジャパンが、その詳細を明らかにしました。

アプリリアが100台限定RSV4 XTrentaを発売
大型フロントウイング

アプリリア初の世界選手権タイトル獲得30周年を記念して作られたこのマシンは、フロントカウルに装着された大型のフロントウイング、テールカウルに付くテールリヤウイングといった、今やMotoGPマシンではおなじみとなったエアロパーツを装着。

加えて、スイングアームに取り付けられたアンダーウイング、通称「スプーン」を市販車として世界で初めて採用し、優れた空力と動力性能が注目のマシンです。

●史上最もMotoGPに近い技術を搭載

アプリリアレーシングのエンジニアリングとMotoGPテクノロジーから生まれた最も過激で高性能なマシンが、RSV4 XTrentaです。

アプリリア初の世界選手権タイトル獲得30周年を記念し、100台限定で製作されたこのバイクは、プロダクションバイク(市販車)の選手権レースでのトップレベルを目指す人や、サーキットでのライディングを楽しみたいライダーに向けて作られた、いわば市販レーサーといえる高性能マシンです。

アプリリアが100台限定RSV4 XTrentaを発売
アプリリア・RSV4 XTrenta

ベースとなったのは、スーパースポーツ「RSV4ファクトリー」の2022年モデル。それをベースに、素材、コンポーネント、エレクトロニクス、細部へのこだわり、エアロダイナミクスにおいて、史上最もMotoGPに近い技術を搭載しています。

特に、注目なのがエアロパーツ。アプリリアのMotoGPマシンで、2022年にはアレイシ・エスパロガロ選手のライディングで優勝も果たした「RS-GP」に投入された技術などが、ふんだんに盛り込まれています。

まず、ダウンフォース性能を向上させながら抵抗を減らす新設計の大型フロントウィングと、全く新しいテールリヤウイングの両方を装備。

アプリリアが100台限定RSV4 XTrentaを発売
スイングアームに取り付けるアンダーウイング、通称「スプーン」も装備

さらに、RS-GPへ2019年から搭載している通称「スプーン」、スイングアームに取り付けるアンダーウイングも市販車に世界で初めて装着し、これらによりダウンフォース量を25%向上させ、空気抵抗を4%軽減させることに成功しています。

しかも、各エアロパーツは、MotoGPマシン用と同じ工程でPAN Compositiが製作。一般発売されるバイクとしては、史上初ともいえる高度なエアロダイナミクスを誇ります。

●アプリリアレーシングが各部をチューン

エンジンは、RSV4ファクトリーに搭載する1099cc・V型4気筒をベースに、アプリリアレーシングの手により各部をチューニングされています。

アプリリアが100台限定RSV4 XTrentaを発売
SC-Projectが製作したマフラーは、特殊チタンやカーボンを採用

エグゾーストシステムには、アプリリアレーシングの排気システム開発を全て手掛けるパートナー企業SC-Projectが製作した、特殊チタンとカーボンを組み合わせた仕様を採用。

また、MotoGP、F1などに採用されているスプリントフィルター・エアフィルターを搭載したほか、ラジエターとオイルクーラーには、高性能かつ過酷なサーキット走行を想定した、スーパーバイク発祥のTaleo Tecnoracing製も装備します。

そして、これらの改良により、RSV4 XTrentaの最高出力はベースモデルの217馬力に対し、230馬力を発揮。166kgの車両重量と相まって、過激で俊敏な走りを体感できます。

●鍛造マグネシウムホイールなどで足まわりも強化

車体面では、高品質なRSV4をベースに、アプリリアMotoGPのエンジニアらの手により改良されたオーリンズ製サスペンションを装備。

アプリリアが100台限定RSV4 XTrentaを発売
エンジンは230馬力を発揮

ホイールは、鍛造マグネシウムのMarchesini M7R GENESIを採用することで、ノーマル比で約2kgの軽量化も実現しています。

ほかにも、ピレリ製Diablo SBKスリックタイヤ(F:120/70、R:200/65サイズ、フロントSC-1コンパウンド、リアSC-Xコンパウンド)や、Magneti Marelli製の専用コントロールユニットなど、高品質な装備が満載。

価格(税抜き)は5万ユーロ(2022年10月16日時点で約723.4万円)で、オーダーは英語の公式ホームページのみで受け付け。しかも納車はアプリリアレーシング本社と、日本人の場合は購入するのにハードルがかなり高いのも事実です。

でも、もし買えれば、イタリアのノアーレにあるレーシング部門を見学できるそうですし、なんといっても世界限定100台という貴重なバイク。「どうしても欲しい!」という人はぜひチャレンジしてみて下さい。

なお、RSV4 XTrentaの各車両には、シリアルナンバーが付くと共に、専用バイクカバー&マットが付属されるそうです。

(文:平塚直樹

この記事の著者

平塚 直樹 近影

平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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