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■実用性と低価格を追求したコンパクトカー
1996(平成8)年10月3日、ホンダは2代目シティの生産終了から3年ぶりに後継車のコンパクトカー「ロゴ」を発売しました。ホンダが得意とする先進性でなく、街乗り優先の実用性を重視したモデルでしたが、市場ではホンダらしくないと評価されませんでした。
●初代ほどの人気は獲得できなかった2代目シティ
1981年にデビューした初代シティは、“トールボーイ”と呼ばれた独特の背高ノッポスタイルで、若者を中心に大人気を博しました。その後1986年に登場した2代目は、初代とは全く異なるロングホイールベースのロー&ワイドなスタイリングに変貌して、新世代のコンパクトカーを目指しました。
走りに磨きをかけた2代目シティでしたが、初代のような人気は得られませんでした。初代シティのイメージがあまりに強すぎたためか、スタイルがシンプルで地味過ぎるという意見が多く、存在感を示せなかったのです。
その後、さまざまな改良を加えましたが、販売を伸ばすことはできずに1994年に生産を終了しました。
●実用性の高さを追求した自然体のコンパクトカーを目指したロゴ
1996年のこの日、2代目シティの後継車にあたるロゴがデビューしました。目指したものは先進性よりも「ムリなく、スイスイ走れるクルマ」というキャッチコピーが示すように、自然体のコンパクトカーでした。
ボディスタイルは、3ドア/5ドアのハッチバックで室内空間を確保するために、ショートノーズにハイト&ロングルーフを採用。親しみやいキュートな印象ですが、シビックやシティの特徴であったスポーティで個性的な印象はなく、その意味でもホンダとしては異質なモデルでした。
搭載された1.3L直4 SOHCエンジンは、最高出力と最大トルクにはこだわらない低中速重視のエンジン。最高出力と最大トルクの発生回転数を低速側にシフトすることによって、実用域のパワーが実感できるようにチューニングされました。ホンダは、これを“ハーフスロットル高性能”と呼んで、扱いやすいクルマであることをアピールしました。
ロゴは、コンパクトカーとして実用性の高いクルマでしたが、個性のない平凡なスタイルが市場で受け入れられず、販売は伸び悩みました。2001年、後継モデル「フィット」の発売に伴い1代限りで生産を終えました。
●先進性満載の後継車フィットは大ヒット
ロゴの反省を踏まえて登場したフィットは、斬新なスタイル、安全性能や環境性能、走行性能、燃費など、ユーザーの要求に1台で最大限応える“パーソナルMAX”を具現化することを目標に開発。
特に注目されたのは、燃料タンクを前席下の車両中央に配置した画期的なセンタータンクレイアウトによって、コンパクトカーながら1クラス上の広い室内空間と多彩なシートアレンジを実現したことです。
2001年のフィットの販売は、半年足らずで10万台超えを記録。翌2002年には、25万790台を売り上げ、2年目でホンダとして初の登録車首位の座を獲得し、その後長くコンパクトカートップの座に君臨しました。
機能性に優れたロゴは、玄人受けする優等生なクルマでした。それが、当時定着していた”若さと先進性のホンダ”というブランドにふさわしくないと映り、評価されなかったのではないでしょうか。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)