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■FFに生まれ変わったサニーにターボモデルが追加
1982年(昭和57年)9月17日、日産自動車の人気大衆車「サニー」の5代目に、初のターボモデル「サニーターボ・ルプリ」が追加されました。前年の1981年にモデルチェンジした5代目サニーは、それまでのFR車からFF車に切り替わった最初のモデルです。
●カローラとともに日本の大衆車市場をけん引したサニー
1966年に日産から初代サニーの「ダットサンサニー」がデビューしました。当時は、日本のモータリゼーション黎明期であり、高速走行もできる本格的なクルマ作りが始まった時期でした。
大衆車の先陣を切ったサニーの特徴は、軽量化ボディを生かした優れた動力性能でした。一体成型法で剛性を確保しながら、外板も極力薄肉化を図り、車両重量は軽量625kgを達成。エンジンは、1.0L直4 OHVで56PSを発揮し、最高速度は135kmを超える優れた走りを見せました。
発売後、サニーは高い評価を受け、その年の12月には月販台数が1万台の大台を突破し、5ヶ月で3万台を超える販売を記録。また半年後の11月にはライバルの初代トヨタ「カローラ」も登場し、大衆車の市場規模は2年間で倍増しました。
●サニー初のFFで設計を一新した5代目サニー
1981年に登場した5代目サニーは、それまでのFRからFFへ、車名が「ダットサンサニー」から「日産サニー」へと変更されました。FF化への変更は、室内空間が広くとれて軽量化にもつながることから、当時の小型車にとっては時代の潮流でした。
サニーは、FFのメリットを最大限に生かすためにすべての基本設計を一新。エンジンとトランスアクセルをフロント横置きとし、ワイドトレッドとロングホイールベース化することでクラストップの室内空間が実現されました。
スラントノーズと傾斜の強いフロントガラスで構成された4ドアセダン、スタイリッシュなハッチバッククーペ、カリフォルニアと呼ばれた5ドアワゴンの3種がラインナップ。パワートレインは、1.3L&1.5L直4 OHCとその電子制御エンジンに、3速ATおよび4速/5速MTの組み合わせが用意されました。
5代目サニーは、優れた走りと燃費性能をアピールしましたが、内装がシンプル過ぎて高級感に乏しかったためか、ライバルのカローラには販売面では及びませんでした。
●大衆車ながらターボ化で圧巻の走りを実現
5代目サニーのデビュー翌年、サニー初のターボ搭載車サニーターボ・ルプリが追加されました。ルプリに搭載された1.5L直4 OHCターボエンジンは、最高出力115PS/最大トルク17kgmを発揮し、ベースに対して最高出力は44%向上。これにより、1.6L DOHCエンジン搭載のカローラ/スプリンターを凌ぎ、同クラストップの走りを実現しました。
ルプリのフロントグリルには、「TURBO」の逆文字(鏡文字)ロゴを装着。これは、前走車のルームミラーに後続車が映った時に、前走車のドライバーが「TURBO」の文字が正しく見えるようにしたもの。この反転文字は、ターボ車だから前の車にどきなさいという暗黙のアピールであり、それだけターボモデルが速さの象徴であったということです。
1980年代は、高性能化とハイテク化の時代。トヨタはDOHCをフルラインナップ、日産はターボ化のフルラインナップで対抗したのです。当時のトヨタと日産のライバル意識は、今よりはるかに強かったですね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。
(Mr.ソラン)