ヤマハワークスのトマック選手が米最高峰オフロードレース「AMAモトクロス」で年間王者。米メジャー大会を完全制覇

■スーパークロスに続き最高峰450SXで栄冠

アメリカで最も権威があるオフロードレースのひとつ、「AMAモトクロス選手権」の最高峰クラス「450SX」で、ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)のワークスライダーとして活躍するイーライ・トマック選手が年間チャンピオンを獲得しました。

ヤマハのトマックがAMAモトクロス450SXで年間王者
イーライ・トマック選手

ワークスチーム「モンスター・ヤマハ・スター・ヤマハレーシング450チーム(Monster Energy Star Yamaha Racing 450 Team)」に所属し、「YZ450F」を駆るトマック選手は、2022年シリーズ最終戦の第12戦FOXレースウェイII(カリフォルニア州パラ)で、今季5回目となる総合優勝を果たし、見事に年間チャンピオンを獲得。

トマック選手は、2022年5月にも、同じく米最高峰のAMAスーパークロス選手権・450SXで2022年チャンピオンとなっており、米メジャー大会で二冠を達成。ヤマハにとって、AMAの最大排気量クラスにおける年間チャンピオン獲得は、2021年に続き2年連続、通算で9度目となります。

●世界中からトップライダーが集うオフロードレース

AMA(アメリカモーターサイクル協会)が主催するオフロードレースで、アメリカで最も権威がある大会がAMAモトクロスとAMAスーパークロスです。

AMAモトクロスは、自然の地形を利用したセクションを設けたアウトドアのダートコースを使う競技で、主にサマーシーズンに実施。

対して、AMAスーパークロスは、主にウインターシーズンに実施。野球場などのスタジアムを舞台に、人工的に造られたタイトコーナーや多数のリズム&ジャンプセクションで構成する特設コースで行う競技です。

AMAでは、例年、これら2つの大会を年間で開催。いずれもアメリカを中心に世界中からトップライダーが集い、毎回ハイレベルな戦いが繰り広げられます。

●AMAの最高峰クラスが450SX

そんなAMAのモトクロスやスーパークロスで、最高峰クラスとなるのが、4ストロークの450ccマシンなどで競う450SX。今回トマック選手は、前述の通り、モトクロスとスーパークロスの両方で年間チャンピオンに輝き、見事にWタイトル獲得を達成しています。

ヤマハのトマックがAMAモトクロス450SXで年間王者
2022年5月には、AMAスーパークロス選手権・450SXでも2022年チャンピオンを獲得

2022年シーズンのAMAモトクロスは、これも例年通り、1大会でMoto1(第1レース)とMoto2(第2レース)という2レース制を実施し、全12大会を開催。トマック選手は、5月28日の開幕戦で総合4位、第2戦ではMoto2でシーズン初のMoto優勝を飾り総合3位を獲得します。

続く第3戦では、Moto1で2勝目をあげて総合2位、第4戦は2/1位として総合優勝を獲得し、ポイントランキングでトップのC・セクストン選手(ホンダ)に続く2位に浮上します。

そして、以降の大会では、第7戦のMoto2まで7連続で優勝を飾り、総合優勝も4戦連続で獲得。ついにライバルのセクストン選手を逆転し、ランキングトップに立ちます。

その後も、セクストン選手とトマック選手は、毎大会で接戦を繰り広げ、激しいポイント争いを展開。トマック選手がわずか1ポイントリードで最終戦を迎えます。

●最終戦で2レース完全勝利

そして、運命の最終戦。トマック選手は、Moto1とMoto2の両方でセクストン選手を2位に抑えて優勝。

ヤマハのトマックがAMAモトクロス450SXで年間王者
ヤマハのトマックがAMAモトクロス450SXで年間王者

これによりMoto優勝14回をはじめ、総合優勝5回、総合2位5回、総合3位1回という成績で、2019年シーズンに続き、自身4度目となるチャンピオンを獲得しました。

これにより、AMAモトクロスにおけるヤマハの450SX年間チャンピオン獲得は、2021年のデュラン・フェランディス選手に続き、2年連続となります。

また、最大排気量クラスとしては、1973年の500ccクラスでピエール・カールスマーカー選手を皮切りに5回を獲得。

1994年に最大排気量クラスが250ccとなってからは、1998年、ダグ・ヘンリー選手が1回。

450ccマシンが主体となった2006年以降は、2007年にグラント・ラングストン選手、そして前述の通り、2021年にフェランディス選手がチャンピオンとなっており、今回のトマック選手のチャンピオン獲得で、通算9回となりました。

例年、ハイレベルで激しい戦いが繰り広げられるAMAのオフロードレースで、まさに完全勝利といえる今回のヤマハの栄冠。2023年シーズンも活躍が期待されます。

(文:平塚 直樹

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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