トヨタの高級車クラウンの7代目がデビュー。憧れの高級車らしくキャッチコピーは、“いつかはクラウン”【今日は何の日?8月31日】

■世界最高級の高級車を目指してトヨタの最先端技術を投入

1983年に”いつかは”クラウン”にキャッチコピーとともに登場した7代目クラウン

1983(昭和58)年8月31日、トヨタの高級車クラウンの7代目が、“いつかはクラウン”という鮮烈なキャッチコピーとともに登場しました。初代クラウンは、1955年に日本の自動車国産化の象徴としてデビュー、以降進化を続けながら現在も高級車トップの座に君臨しています。

●初代クラウンは、日本初のオリジナル本格乗用車

トヨタの実質的な創業者である豊田喜一郎が目指したのは、完全オリジナルの国産車の製造であり、それを具現化した形で登場したのが、1955年の初代クラウン「トヨペットクラウン」でした。

1955年にデビューした初代クラウン「トヨペットクラウン」
1955年にデビューした初代クラウン「トヨペットクラウン」

初代クラウンは、技術的にも世界レベルを目指し、多くの先進技術が採用されました。エンジンは、1.5Lの4気筒OHCで48PSを発揮、サスペンションは前輪独立懸架(ダブルウィッショボーン式)を装備。日本の道路事情に合わせて乗り心地を向上させ、最高速度は100km/hを超えました。クルマの出来栄えは、当時の外国部品で組み立てたクルマより優れていたので高い人気を獲得しました。

完全オリジナル国産車のトヨペットクラウンの登場が起爆剤となり、追随する形で多くのメーカーからオリジナル乗用車が発売され、本格的に日本のモータリーゼ―ションが始まりました。

●世界最高級のプレステージサルーンを目指した7代目

1983(昭和58)年のこの日、トヨタの高級車クラウンの7代目が、“いつかはクラウン”という鮮烈なキャッチコピーとともに登場しました。

7代目クラウンは、伝統の快適性と先進の電子制御技術を融合させ、世界最高級のプレステージサルーンを目指しました。

直線基調の先代よりも若干ながら曲線が取り入れられたウェッジシェイプのフォルムに、“クリスタル・ピラー”と呼ばれる光沢のある樹脂のCピラーを採用。ボディバリエーションは、4ドアハードトップと4ドアセダン、ステーションワゴンの3種がラインナップされました。

搭載エンジンは、2.0Lと2.8L直6 DOHCをメインに6機種を用意。1984年には、2.8Lを3.0L直6 DOHCに換装し、1985年には2.0L直6 DOHCに日本初のスーパーチャージャーが搭載されて大きな話題を呼びました。

さらに足回りついては、伝統のフレーム構造ながら4輪独立サスペンションを採用して、高級感漂う乗り心地と快適性が実現されました。

●先月新型クラウンが公開されて話題沸騰

2022年秋に発売予定の16代目クラウン(クロスオーバー)
2022年秋に発売予定の16代目クラウン(クロスオーバー)

先月7月15日(2022年)に、16代目となる新型クラウンが世界初公開されて大きな話題を呼びました。日本を代表する高級セダンとして67年間トップの座を守り続けているクラウンですが、新たにスタイリッシュな3つのボディスタイルが設定されました。

セダンに加えて、「クロスオーバー」、「スポーツ」、「エステート」がラインナップされ、クロスオーバーが先行して今秋に発売予定です。

大胆なフルモデルチェンジですが、2000年以降は“セダン冬の時代”と言われ、クラウンも危機感を抱いていました。若返りを狙った新型クラウン、市場がどう評価するか楽しみです。


7代目クラウンは、“いつかはクラウン”とみんなが憧れるクルマに相応しい完成度を誇ったクルマでした。伝統を大切にしながらも先進技術と上手く融合させるというクラウンのコンセプトが、バブル景気とともにより一層輝いたモデルと言えますね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
続きを見る
閉じる