■専用パソコンでなくても森林計測データをクラウドサービスで、どこででも利用できる
ヤマハ発動機は、同社の森林計測サービスのユーザー向けに、計測解析結果を簡単に有効活用できるクラウドサービス「ヤマハモーターフォレストマネジメントシステム(YFMS)」を開発、提供をスタートしました。
同社は、従来から森林計測結果の報告書とともに、計測解析結果のデータも顧客に納品していたそうで、測定解析結果のデータが大容量であるため、一般のパソコンでは扱いにくいという問題があったそう。
さらに、データを活用するには、多機能で専門的な地理情報システム(GIS)の操作法を習得する必要もありました。
このほど提供がスタートした「YFMS」は、データ活用のための機能を厳選し、直観的な操作性を重視。また、ハイスペックな専用パソコンでなくてもインターネット接続ができる環境であれば、どこででも利用できるようにクラウドサービスが採用されています。
ヤマハ発動機の森林計測サービスは、自動航行機能などの高い航続距離性能を備える同社製の産業用無人ヘリコプターに活用されています。
空からの森林計測に最適なスペックである高解像度LiDAR(ライダー)が無人ヘリコプターに搭載され、樹頂点から30~50mの上空より1秒間に75万回のレーザーを照射。これにより、高密度、高精度な点群データを計測範囲の全域から獲得できます。
計測による「森林の見える化」を実現し、林業のスマート化、業務精度、効率の向上に寄与します。
クラウドサービス「YFMS」の主な機能は3つあります。
ひとつめが、対象森林全体の状況を俯瞰し、施業対象エリアを検討する際、確認したい計測結果をプルダウンメニューで選択し、背景地図を重ねて表示することが可能になることです。
ふたつめが、施業場所、施業ルート、立木の様子などを確認したい際に、森林計測時に得られた点群データを使って、林内の任意場所の断面図を作成、表示することが可能な点です。
さらに3つめは、複数の作業道案から効率的な作業道を選択したい際に、作業道として伐開される場所に存在する立木の本数や材積、作業道を使って集材可能な範囲に存在する立木の本数と材積を確認することができます。
林業に限らず、人材不足が課題となる中、同社は、こうした最新のクラウドサービスの提供により、いわゆるスマート林業の発展に寄与しています。
(塚田 勝弘)