■運搬機能、性能を強化し、物流課題の解決に貢献
ヤマハ発動機は、1983年に産業用無人ヘリコプターのプロジェクトをスタートさせるなど、いち早く無人ヘリコプターに取り組んできました。
同社は、このほど産業用無人ヘリコプターによる搬送、配送ニーズの拡大に対応するため、自動航行型の産業用無人ヘリコプター「FAZER R G2」をベースに、運搬に関わる機能、性能が強化された運搬専用機を開発したと発表しました。
同機は、メインローター(回転翼)の大径化など、設計、仕様変更により、有効積載量(ペイロード)最大50kgを実現(従来モデル比で15kg向上)。なお、有効積載量(ペイロード)は、天候や気象条件、標高などによって異なります。
ペイロード(有効積載量)とは、搬送業務の効率化に最も大きな影響を与える性能のひとつ。
このほど開発された新型「FAZER R G2」では、新設計の大型メインローターにより推力が大幅に向上しています。
半径1.8m(従来モデル1.56m)のローターに、冷却性に優れた形状変更を加え、同じ出力でペイロード10kg向上相当の推力を発揮。また、燃料タンク容量の最適化、軽量カメラやリチウムイオンバッテリーの搭載も含めて、従来機から15kg増のペイロード最大50㎏を実現したそうです。
従来機では1tの資材を運ぶため、最低29回のフライトを擁したそうで、新型機では最低20回のフライトで業務を完了することが可能になっています。これにより、工期やコスト、労力の低減などに貢献。山間部での資材物流や目視外の長距離物流など、幅広い産業の課題解決に寄与することが期待されます。
産業用無人ヘリコプターは、送電線をはじめとするインフラの点検、測量や観測、撮影や警備など、幅広い産業のシーンに広がっているそうです。
とくに、物流の課題解決策として期待が高まっていて、多様な領域での社会実装に向けた取り組みが推進されています。
ヤマハ発動機では、電力会社からの委託によってすでに送電線関連資材の搬送などを実用化しているそう。さらに、航空会社との協働による離島からの産品搬送、宅配会社との協働による中山間部への荷物配送など、課題解決に向けた取り組みを推進しています。
なお同社は、9月1日(木)・2日(金)の2日間、神戸国際展示場で開催される「第1回ドローンサミット」に「ヤマハ発動機が進めるスカイビジネスの挑戦 ~空から物流を変える~」というテーマで出展。「FAZER R G2」の運搬専用機などが展示されます。
(塚田 勝弘)