ホンダNSXが生産終了。クルマ好きの心を高ぶらせた和製ミッドシップスポーツ【今日は何の日?7月12日】

■ホンダが初代NSXの生産を12月で終了することを発表

2005(平成17)年7月12日、ホンダは1990年のデビュー以来ホンダのフラッグシップとして多くのスポーツカーファンを魅了したスーパースポーツ「NSX」の生産を、12月で終了することを発表しました。NSXは、美しいフォルムとオールアルミ・モノコックボディによる軽量化、ハイパワーの3.0L V6エンジンなど、ホンダの先進技術のすべてを集結させたミッドシップスポーツです。

1990年にデビューしたミッドシップスーパースポーツ「NSX」
1990年にデビューしたミッドシップスーパースポーツ「NSX」

●オールアルミボディの徹底した軽量化と高回転エンジン

NSXがデビューしたのは、日本がバブル景気に沸きあがっていた1990年2月のこと。新時代を象徴するホンダ渾身のスーパースポーツでした。

NSXのスポイラーと一体化したテールエンド
NSXのスポイラーと一体化したテールエンド

リトラクタブルヘッドライトやグリルレスのフロント周り、スポイラー一体のテールエンドなどの採用により優れた空力性能と流麗なスタイリングで差別化を図りました。同時に、世界初のオールアルミ・モノコックボディなど車体全体の90%をアルミ化することによって超軽量化に成功。エンジンは最高出力280PSを発揮する3.0L V6 DOHC24V VTECエンジンをドライバーの背後に搭載するミッドシップレイアウトで、別次元の動力性能とハンドリング性能を発揮しました。

最高出力280PSを発揮する3.0L V6 DOHC24V VTECエンジン
最高出力280PSを発揮する3.0L V6 DOHC24V VTECエンジン

ただし、扱いにくいスパルタンなスポーツカーでなく、誰でも乗りこなせるスポーツカーとして、オートエアコン、電動パワステ、BOSE社製のサウンドシステムなどを採用、さらに5速MTだけでなく4速ATが用意されていた点もドライバーへの配慮の表れです。価格は、国産車中で最も高価な800万円~860万円でしたが、外国産のスポーツカーに比べればお得な価格でした。

●NSXの進化モデルも続々登場

デビュー以降も、排気量アップや空力改善など改良を重ねましたが、特に注目されたのは、以下の3つのモデルです。

1992年に登場したNSX-タイプR
1992年に登場したNSX-タイプR

・軽量化によって性能向上を達成した「NSXタイプR」:1992年
NSXタイプRは、より高度な運動性能を実現するため、NSXで採用した材料置換をさらに進め、レーシングカーのチューニングを施しました。ただ軽量化するのではなく、クルマの重心を車体の中心へ、しかも下げることでヨーモーメントや荷重移動の低減し、運動性能を向上させたのです。

1995年に登場したNSX-タイプT
1995年に登場したNSX-タイプT

・脱着式オープントップの「NSXタイプT」:1995年
オープントップのNSXタイプTのタルガトップのオールアルミ製ルーフの脱着は、左右のレバー操作だけの簡単な操作で可能。取り外されたルーフは、スタイリングを損なうことなく、またトランクスペースを犠牲にすることなく、リアキャビン内に収めます。

1997年に登場したNSX-タイプS
1997年に登場したNSX-タイプS

・スポーツ志向を高めた「NSXタイプS」:1997年
NSXタイプSは車高を10mm落とし、スポーツドライビングを際立たせたモデルとして登場。BBS鍛造アルミホイールの採用によってバネ下荷重4kgを低減し、さらにMOMO製本革巻きステアリングホイール、レカロ製フルバケットシート、チタン製削り出しシフトノブなど、トータルで45kgの軽量化を実現し、さらなる優れた走りを追求した。

日本初の本格的なスーパースポーツNSXは、2005年7月までの15年余りで累計販売台数は、1万8738台でした。


ポルシェやフェラーリにはない、誰でも乗りこなせる操縦安定性や快適性を持ったドライバーに優しいミッドシップのスーパースポーツ、それがNSXでした。中途半端と揶揄する人もいましたが、日本が誇れるスーパースポーツであったことは紛れもない事実です。なおNSXは一度姿を消しますが、2016年に前後3モーターを備えたハイブリッド4WDとして復活したことは皆さんご存じの通りです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

Mr. ソラン 近影
某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きなクルマで、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。