■フルモデルチェンジを直前に早くも値落ちに拍車がかかる
ミニバンやSUVといった人気の高いカテゴリーにはボディサイズの大きさの異なるモデルがいろいろとラインアップされています。
ファミリィカーの定番となっているミニバンも、アルファードやエルグランドといったラージサイズから5ナンバーサイズのコンパクトサイズまで豊富に用意されています。
5ナンバーサイズのコンパクトミニバンではトヨタシエンタとホンダフリードが熾烈な新車販売競争を繰り広げています。2021年の年間の新車販売台数では、フリードが6万9577台。そしてシエンタが5万7802台となり、約1万2000台フリードが上回りました。
これまで拮抗していたにも関わらず、ここまで差が付いたのはシエンタが2015年登場、フリードが2016年登場と発売開始年に差があること。そして運転支援システムがフリードのほうが充実しているということが挙げられます。
しかし2022年にシエンタはフルモデルチェンジを行い、新車販売台数を巻き返そうとしています。フルモデルチェンジは8月上旬と言われていて、まもなくディーラーでは先行予約が始まるでしょう。
フルモデルチェンジは中古車相場が最も動くタイミングです。そこで、旧型となるシエンタの最新の中古車事情を紹介しましょう。
2015年6月に販売開始したシエンタは、全長4,235mmというボディサイズに6/7人乗りの3列シートをレイアウトした優れたパッケージングを採用しています。
サードシートは、初代モデルよりひざまわりのスペースをプラス20mm拡大。さらにダイブイン機能付の5:5分割左右独立式シートを採用し、畳むとセカンドシート下に収納可能となり、高い利便性を実現しています。
また開口幅665mmを実現した両側リアスライドドアを採用し、フラットな床の高さを地面から330mm(4WD車は350mm)と低く設定したことで、誰もが乗り降りしやすいのが特徴です。さらに5ナンバーサイズに抑えて、最小回転を5.2mとすることで、取り回しの良さも魅力です。
シエンタが搭載するパワートレインは最高出力109ps(4WD車は103ps)を発生する1.5L直列4気筒DOHCエンジンと1.5Lガソリンエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステム、THS-IIの2種類。
トランスミッションは全車CVTが組み合わされ、駆動方式はFF(2WD)を中心にガソリン車にのみ4WD車が設定されています。WLTCモード燃費は、14.0~22.8km/Lを実現しています。
シエンタは、2018年9月にマイナーチェンジを行いました。内外装の変更を行っていますが、最大のポイントはシエンタに「ファンベース」と名付けられた2列シート5人乗り仕様が追加されたこと。これはライバルであるフリードに5人乗りのフリード+(プラス)が設定されていることが大きな要因と言えるでしょう。
リアシートを倒すと最大荷室長2,065mmという大容量のスペースが出現し、26インチのマウンテンバイク2台を積んだり、車中泊を楽しんだりすることが可能です。
ラゲッジのサイドの壁にはユーティリティホールが各9個ずつあり、オプションパーツと組み合わすことで様々な使い方が楽しめるようになっています。
また、リアシートの荷物の置き忘れを通知するリアシートリマインダーの設定。アクセルとブレーキを踏み間違えた時などに、障害物を検知して自動ブレーキをかけるインテリジェントクリアランスソナーの設定。
さらに昼間の歩行者検知機能を追加しトヨタセーフティセンスを設定するなど安全性を向上させています。それでは、2代目シエンタの最新の中古車事情を見てみましょう。
2015年に販売開始したシエンタは現在、中古車は約2,790台ほど流通していて、平均価格は約155.2万円、中古車の価格帯は約68万~約258.8万円となっています。
1年くらい前の平均価格は約170万円、中古車の価格帯が約59万~約300万円だったことを考えると、順調に値落ちしていると言えるでしょう。
シエンタの中古車の全体の平均価格も3カ月前の約150万円から現在は約144.8万円へと値落ちしているので、フルモデルチェンジ直前としては早くも値落ちが加速しています。
同じコンパクトサイズミニバンのフリードと比べると、シエンタは利便性では互角ですが、運転支援装備面では、ホンダセンシングを装備しているフリードに対して、シエンタのトヨタセーフティセンスでは物足りない面があるのは正直なところです。その点を踏まえて中古車選びをしてください。
(文、写真:萩原文博)