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■パジェロの魅力を凝縮したコンパクトSUV
1998(平成10)年6月15日、三菱自動車から「パジェロイオ(io)」が発売されました。三菱はパリダカの大活躍などでRVブームを牽引し、大ヒットしたパジェロのシリーズ化を図ったのです。パジェロイオは、シリーズ化した「パジェロ3兄弟」の次男としてデビューしました。
●人気のパジェロをシリーズ化
パジェロ3兄弟の長男は、もちろん大ヒットしたパジェロ、続いて1994年の三男坊の軽SUV「パジェロミニ」、1995年には次男坊のコンパクトSUV「パジェロジュニア」、これで3兄弟が揃いました。
しかし、パジェロジュニアは、コストと開発費削減のため、軽のパジェロミニのプラットフォームを使ってサイズアップしたため、室内空間が狭いなど不満の声が上がってきました。そのために販売は奮わず、1998年に生産を終了。挽回のため、急遽パジェロジュニアの代替として登場したのが、パジェロイオだったのです。
●イメージ払拭を狙ってシャシーとボディを一新
パジェロイオはシャシーとボディを専用設計し、パジェロ譲りのダイナミックなフォルムを継承し、パジェロをサイズダウンしたスタイリングが採用されました。
パワートレインは、当時三菱が訴求していた1.8L直4 GDI(ガソリン筒内噴射)エンジンと電子制御4速ATの組み合わせ。駆動システムには、パジェロの4WDシステムの軽量小型化を図った新開発の4WD「スーパーセレクト4WD-i」が採用されました。スーパーセレクト4WD-iは後輪2駆、フルタイム4WD、直結4WD、直結ローレンジ4WDの4つの運転モードを、レバーで選択できるシステムです。
パジェロとパジェロミニの中間に位置する手頃なサイズのコンパクトSUVとして、発売後1ヶ月の受注は5800台を超える好調なスタートを切りました。その後も商品力強化を図りましたが、徐々に販売は低迷し始めました。
●本家パジェロの人気の陰りが、兄弟の販売にも影響
パリダカでの活躍もあり絶好調だったパジェロでしたが、1990年代後半にトヨタの「ハリアー」や「RAV4」、ホンダの「CR-V」など都市型SUVが登場したことで、勢いが減速し始めます。2000年を過ぎて本家パジェロの人気に陰りが見え始めると、兄弟車も人気を維持するのが難しくなったのです。その結果、パジェロイオは、1代限りで生産を終えてしまいました。
最近は乗用車ベースのクロスオーバーSUVが人気を博しています。ユーザー志向の変化もありますが、電子制御の進化によって、機構的に複雑な4WDを装備しなくてもオフロードでの走破性が向上したことも人気を後押ししているのではないでしょうか。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。
(Mr.ソラン)