新型メルセデスベンツCクラス・オールテレインは、ディーゼル+4WDの組み合わせでパワフルかつ安定感のある走りを披露

■1.5Lガソリンエンジンを積むセダン、同じ2.2Lディーゼルエンジンを積むFRのステーションワゴンとの走りの違いは?

以前お伝えしたように、2022年1月にメルセデス・ベンツCクラスに初めて加わったオールテレインは、ステーションワゴン派生型のクロスオーバーSUVです。

メルセデスでは、以前設定されていたEクラスに続くオールテレインになります。チーフデザイナーのゴードン・ワグナーが進めている官能的でスポーティな佇まいはそのままに、専用バンパーやアンダーガード、ボディを取り囲むマットダークグレーのホイールアーチ、サイドシルガードなどが備わり、クロスオーバーSUVらしいエクステリアに仕立てられています。

メルセデス・ベンツCクラス
「C220d 4マチック・オールテレイン(ISG搭載モデル)」の走り

ステーションワゴンよりも最低地上高を40mm高め、150mmを確保。スリーアングルも高まったことで、悪路走破性の向上も図られています。

搭載されるパワートレーンは、2.2Lディーゼルターボのみ。メルセデスのディーゼルエンジンでは初となる48VマイルドハイブリッドのISG(Integrated Starter Generator)が組み合わされています。最大で20PS(15kW)、208Nmの加勢によりスムーズな発進加速が可能になっています。

メルセデス・ベンツCクラス
試乗車は、21万7000円のメタリックペイント(ヒヤシンスレッド)をまとう

エンジンは、最高出力200PS/3600rpm・最大トルク440Nm/1800-2800rpmという分厚いトルクが特徴。スムーズな変速フィールが美点の9速ATとの組み合わせもあり、低速域から高速道路までどこから踏んでもコンコンと湧き出るようなトルク感を享受できます。

ISGのブーストもありますから、非常にスムーズかつトルクフル。荷物を満載してキャンプやウインタースポーツ、マリンスポーツなどに出かけても、山道でも高速道路の巡航でも余裕の走りを披露してくれるでしょう。

メルセデス・ベンツCクラス
Cクラスに追加されたオールテレインのリヤビュー

また、以前お伝えしたように、セダンに搭載されていた1.5Lガソリンターボモデルの「C200 アバンギャルド」でも動力性能に不満を抱くシーンはありませんでしたが、オールテレイン、そして同時に乗り比べたステーションワゴンのディーゼルエンジン仕様は、より速さを実感できます。

ディーゼルエンジンで気になる音、振動面は、走り出してしまえばあまり気にならないレベルに抑えられています。

一方で、セダンの「C200 アバンギャルド」と比べると、オールテレインの「C220d 4マチック」は、4WDということもあり、200kgも重く、同セダンの特徴であるスポーティ度合いは薄まっています。試乗したセダンには、リヤ・アクスルステアリングも搭載されていたこともあり、フットワークの良さが際立っていました。

対して「C200d 4MATIC オールテレイン」は、よりグランドツアラー色が強まっていて、同時に高速域のスタビリティもより高まっている印象を受けます。

荷物を多く積み込む人はもちろん、パワフルでも4WDということもあり、落ち着いた走りが好みの方に向く仕様といえます。なお、ステーションワゴンはFRですので、4WDを選択するのであれば現状ではオールテレイン一択になります。

メルセデス・ベンツCクラス
「C220d ステーションワゴン・アバンギャルド(ISG搭載モデル)」のエクステリア

同じ2.0Lディーゼルエンジンを積むFRのステーションワゴン「C220d ステーションワゴン・アバンギャルド」は、オールテレインよりも50kg軽く、最低地上高は逆に40mm低くなっています。若干目線が下がるものの、軽さを感じさせるようなフットワークまでは至っていません。

同ステーションワゴンには、リヤ・アクスルステアリングは設定されていませんでしたが、FRらしい回頭性の良さは十分に実感でき、タイトコーナーも苦もなくクリアしていきます。

なお、リヤ・アクスルステアリング非装着仕様でも最小回転半径は、5.2m(リヤ・アクスルステアリング装着車は、5.0m)と十分に小さく、取り回しに苦労するようなシーンは少ないはず。また、乗り心地に関しては、セダンと同様に引き締まったテイストに終始します。

低速域では少し揺すぶられるような動きがあるものの、高速道路で速度を上げるとフラットライド感が増していきます。

メルセデス・ベンツCクラス
「C220d ステーションワゴン・アバンギャルド(ISG搭載モデル)」のリヤビュー

オールテレインを4WDのみとしたことで、降雪地域のニーズに応えるのはもちろん、見た目どおりアクティブなカーライフを想起させるスタイリング、ステーションワゴン派生型ならではの実用性、ステーションワゴンよりも高い悪路走破性を備えていて、ニーズがマッチすれば魅力的な選択肢になりそうです。

●ボディサイズ
「C220d ステーションワゴン・アバンギャルド(ISG搭載モデル)」:全長4785×全幅1820×全高1455mm
「C220d 4マチック・オールテレイン(ISG搭載モデル)」:全長4760×全幅1840×全高1495mm

●価格
「C220d ステーションワゴン・アバンギャルド(ISG搭載モデル)」:705万円(試乗車のオプション、保証プラス、メンテナンスプラス込み:849万4000円)
「C220d 4マチック・オールテレイン(ISG搭載モデル)」:796万円(試乗車のオプション、保証プラス、メンテナンスプラス込み:894万3000円)

(文:塚田 勝弘/写真:小林 和久)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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