愛犬の日/クラウンの生みの親・中村健也生まれる/史上初のF1開催【今日は何の日?5月13日】

■人間の大切なパートナー「愛犬の日」

1956(昭和31)年5月13日、「愛犬の友」を出版していた誠文堂新光社が、犬の大々的なイベントを開催し、狂犬病予防や病気の相談、撮影会などを行いました。戦後さまざまな種類の犬が飼われ始めましたが、もっと犬に関する知識を深めて関心を持ってもらうのが目的で、この日が「愛犬の日」に制定されました。新型コロナの影響もあってか、今は大変なペットブーム。TVでも犬猫を取り上げた番組が多いですよね。

5月13日には、タレントの滝沢カレンと熊田曜子、爆笑問題の太田光、SF作家の平井和正、初代クラウンの開発責任者の中村健也、マラソンの円谷幸吉、NBAのデニス・ロッドマン、ミュージシャンのスティービー・ワンダーなどが生まれています。本日紹介するのは、中村健也です。

●トヨタ初の主査として初代クラウン開発を統括した中村健也が誕生

中村健也(左側)
中村健也(左側)

中村健也は1913(大正2)年5月13日、兵庫県西宮市に生まれました。1934年に長岡高等工業学校(新潟大学工学部電気工学科)を卒業後、クライスラーの乗用車を組み立てる共立自動車製作所を経て、1938年にトヨタ自動車工業に入社。当初は拳母工場の車体生産課に配属されますが、本格的な純国産乗用車の開発に取り組むべきという進言をしていたことが認められ、1952年に当時の技術担当取締役の豊田英二から、異例ともいえる抜擢で、乗用車の開発責任者になるように命じられます。

1955年にデビューしたトヨペットクラウン(初代クラウン)
1955年にデビューしたトヨペットクラウン(初代クラウン)

トヨタは初の本格的な乗用車「トヨペットクラウン」の開発にあたり、従来の設計主体の開発体制から、各部が横断的に機能する主査制度を設けました。その初代主査となったのが、中村健也でした。日本人のための純国産車を作るという理念のもと、圧倒的なリーダーシップと技術力で初代クラウンを完成。同時に、中村健也によってトヨタの乗用車づくりの基盤が固まったのです。「なぜトヨタでは主査制度がうまく機能しているのか」という質問に、豊田英二他かつての幹部は、口をそろえて「中村が偉大であったから」と言う、そんな存在でした。

さて、クルマ界の今日は何があったのでしょうか?

●史上初のF1選手権・英国グランプリが開催

1950年(昭和25)年5月13日、英国のシルバーストンサーキットで、史上初のF1世界選手権となる英国GPが開催されました。終戦から5年が過ぎたこの年、レギュレーションが統一されたことで複数のレースによって構成されるチャンピオンシップ(世界選手権)が可能になったのです。

第1回F1で優勝したアルファロメオ158の改良モデル159(C)Creative Commons
第1回F1で優勝したアルファロメオ158の改良モデル159(C)Creative Commons

記念すべき第1回のF1レース・英国GPは、当時の英国王ジョージ6世が見守る中、アルファロメオ158をドライブしたイタリア人のジョゼッペ・フェリーナが優勝。フェリーナは第5戦ベルギーGPでも優勝したことでその年のチャンピオンに輝き、アルファロメオ158は1950年に参戦したすべてのレースで優勝するという圧倒的な強さを誇りました。アルファロメオ158に搭載されたエンジンは、1.5Lの8気筒DOHCスーパーチャージャーで最高出力は185PSを発揮したそうです。

優勝ドライバーのジョゼッペ・フェリーナ(C)Creative Commons
優勝ドライバーのジョゼッペ・フェリーナ(C)Creative Commons

ちなみに、日本メーカーによる初のF1選手権参戦は1964年のホンダで、ドライバーは米国人のロニー・バックナムでした。翌年1965年にはRA272で優勝も成し遂げましたが、ドライバーは同じ米国人のリッチー・ギンサーです。日本の技術力を世界に知らしめた歴史的な瞬間でしたね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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