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■初心者向けMTBライディングレッスンに潜入
優れたアシスト力とスポーティな走りで、街乗りからアウトドアのレジャーまで、幅広く楽しめるのがヤマハ発動機(以下、ヤマハ)のe-バイク(スポーツ電動アシスト自転車)「YPJ」シリーズ。
オンロードモデルはもちろん、オフロード仕様やクロスバイクまで、豊富なラインアップを誇りますが、なかでも、悪路での高い走破性を持つのが「YPJ-MTプロ」と「YPJ-XC」。雄大な自然を満喫しながら、どんな道でも縦横無尽に駆け抜ける高いポテンシャルを持つことが魅力です。
そんなヤマハのMTB2モデルを使い、プロライダーが初心者向けに乗り方のコツなどを伝授するライディングレッスンが、「YPJファンミーティング ナチュラルホリディ(YPJ Fan Meeting ~Natural Holiday~)」で開催されました。
講師には、モトクロスの元ヤマハワークスライダーでMTBダウンヒル競技でも活躍し、現在はYPJ開発ライダーも務める鈴木健二さん。それに、元MTBダウンヒル全日本チャンピオンの増田まみさんが担当。
登りや下り、コーナーなど、フィールド毎のポジションやペダルの使い方をはじめ、安全で楽しいMTBライディングのコツがバッチリ分かる内容だったので、ちょっと紹介してみますね。
●YPJ開発ライダーによる基本レッスン
YPJファンミーティングとは、ヤマハがYPJのオーナーをはじめ、その家族や友人、YPJに興味がある人など幅広く、多くの人が楽しめるイベント。第4回目となる今回は、2022年4月16日、あさぎりフードパーク(静岡県富士宮市)で開催されました。
富士山の麓にある広大な朝霧高原で行われたイベントでは、最新&歴代のYPJモデル大試乗会や、地元の名所や名産品店などをe-バイクで巡るツアーなど、さまざまな企画が行われたのですが、目玉のひとつだったのがMTBライディングレッスン。
YPJオーナーを対象に、初心者でも分かりやすく、基本的な乗り方からスキルアップのポイントなどを学べる講座です。
レッスンは、講師の鈴木さんが教える組と増田さんが担当する組に別れて行われましたが、ここではYPJ開発ライダーでもある鈴木さんのレッスンにお邪魔して、どんな内容だったのかお伝えします。
●YPJ-MTプロとYPJ-XCとは?
レッスンは、オンロードとオフロードを走る競技シクロクロスの会場にもなっている本格的ロングコースを使い、レッスン用の特設フィールドなども使用。登りあり、下りあり、S字の連続ありと、さまざまなセクションが用意されており、MTBの基本的な走りを学ぶのに最適でした。
レッスンに使われたe-バイクは、まず、YPJシリーズのフラッグシップであるYPJ-MTプロ(税込価格68万2000円)。
車体剛性と最適な重量バランスを実現する「ヤマハ・デュアル・ツインフレーム」や、路面追従性を考慮し設計されたリヤサスペンション、パワフルでシャープなペダリングレスポンスを維持しながら、より高いクランク回転数に対応するドライブユニット「PW-X2」などを搭載したモデルです。
特に、注目は全7つのアシストモードのうち、「ECOモード」〜「HIGHモード」までのアシストモードを車両側が自動的に選択する「Automatic Support Mode(オートマチック サポート モード)」。いちいちモードを切り替えなくても、走行状況に応じてライダーの要求にシンクロし、最適なアシストを提供する優れモノです。
また、今回は、YPJ-XC(税込価格39万6000円)も使用。E-MTB(電動アシスト式MTB)向けに開発された小型軽量のドライブユニット「PW-X」を搭載し、フィールドを選ばず、大人が楽しめるオフロードモデルです。
主な特徴は、ライダーのペダリングに素早く反応し、乗り手の意のままにパワフルな走行が楽しめる全「EXPW(エクストラパワー)モード」など、6つの走行モードを設定。本格的なMTBフィールドでのエキサイティングな走行から街乗りシーンまで、フィールドを選ばず自由な走りを楽しむことができます。
なお、今回実施された鈴木さんのレッスンでは、5名のYPJオーナーが参加。自分が所有するe-バイクを使えたほか、YPJ-MTプロかYPJ-XCのいずれかをレンタルすることも可能でした。
●登りでは両腕をリズミカルに上下させる
レッスンでは、まず、登り坂での姿勢について鈴木さんが伝授。それによれば、登り坂では、ペダルを漕ぐ力やパワーユニットのアシスト力でタイヤがスリップする場合があるそうです。
そこで、両腕を上下に動かしリズムを取りながら後輪にトラクションをかけるとタイヤがスリップしにくくなるのこと。
実際に、鈴木さんのお手本を見てみると、ペダルを漕ぐ前に両腕を縮め、漕いだ瞬間に両腕を伸ばし、体の過重をリヤタイヤにかけていたようです。
特に、今回は高原内のコースだったため、地面には草が生い茂っていました。そうした路面状況では、急激に駆動力をかけるとリヤタイヤが滑りやいでしょうから、効果は抜群ですね。
また、急な登りでは、サドルからお尻を上げて立ち漕ぎをすれば、力が入りやすく楽に漕げるとのこと。ただし、やはりトラクションが抜けやすいので、腕を使うといいそうです。
ただ、あまり急でない登り坂は座り漕ぎでもよく、アシスト力やギアなども含め使い分けることで、疲労軽減などに繫がるのだそうです。
●下り坂ではペダルを地面に対し水平に
一方、下り坂。たとえば、ペダルを漕がなくてもスイスイ進めちゃうような下り坂では、左右のペダルをフラットに、つまり地面に対して水平にしておく方が安全だとのこと。
理由は、ペダルのいずれかを下側にしてしまうと、木の根っこや路面の岩などにヒットしてしまい、最悪は転倒してしまう危険性があるから。また、下り坂に限らず、ペダルを維持する(漕がない)時は、常にフラットにするようにしておくことで、路面にある障害物などに対処しやすいそうです。
ちなみに、コーナーでは、右に曲がるときは右ペダルを上、左に曲がるときは左ペダルを上にするのが基本。これも、やはり、車体が曲がる方向に傾いたときに、木の根っこや路面の岩などにヒットしないためですね。
●下り坂の姿勢は中腰が基本
下り坂では、ライディングの姿勢も大切だそうです。特に、下りが怖い人にありがちなのが、サドルに座ったままの状態。お尻に路面のギャップからの振動や車体の上下動が伝わり、恐怖感が出てついついブレーキを架けてしまいがちになるそうです。
そこで、下り坂では、中腰になり、サドルを股ではさみ、足をギャップに合わせて伸び縮みさせることで、路面からの衝撃などに対しクッションの役目をさせて走ると車体が安定するとのこと。オフロードバイクでいえば、スタンディングの体勢で燃料タンクにニーグリップするような感じですね。
さすがプロ。まさに目からウロコの基本的な走り方が盛りだくさんでした。橫で聞いていた筆者も、かなり参考になる内容でしたね。
MTBやe-バイクでオフロードを走りたい初心者はもちろん、興味がある人もぜひ参考にしてみて下さい。
(文:平塚 直樹/写真:平塚 直樹、小林 和久、ヤマハ発動機)
【関連リンク】
ヤマハ発動機YPJ公式サイト
https://www.yamaha-motor.co.jp/pas/ypj/