■トイファクトリーにより、すでに実走行しているキッチンカー
バンコンを中心としたキャンピングカー・ビルダーとして知られているトイファクトリー。ジャパンキャンピングカーショー2022でも圧倒的な人気を誇る多くのバンコンを出展していました。
同ブースの中央に展示されていたのは、世界初と思われるFCV(燃料電池車)のキャンピングカー。同モデルは、2021年7月にトイファクトリーが、トヨタとの共同開発モデルとして発表済みです。
トヨタは燃料電池システムを外販し、コストを下げる戦略を掲げています。
このトイファクトリーのFCVのキャンピングカーは、オーストラリア向けのH300系ハイエースがベース。MIRAIの燃料電池システムを積むキッチンカー(バンコン)で、すでに全国を走らせた実績があるのだそうです。
なお、MIRAIの航続距離はWLTCモードで19インチタイヤ装着車は約850km、20インチ車は約750kmというカタログ値になっています。トヨタと共同開発されたトイファクトリーの同FCVは、キャンパーの架装部分も含めると重量は3t級になるのでは? とのことで、航続可能は2/3〜半分程度のようです。
キャンピングカーの永遠の課題であり、いまだに悩みどころは家電を動かす電源にあります。走行充電システムやリチウムイオンバッテリーなどのサブバッテリー、ソーラーパネル、外部充電などいくつもあります。走行充電システムとソーラーパネルの同時充電は、昔からNGという(最近は克服したシステムもある)課題もありました。
FCVのキャンピングカー(今回はキッチンカー)はFCシステムから電源供給することで、家と同じように冷凍/冷蔵庫、電子レンジ、IH調理器などを設置・使用できます。
さらに災害時などでは、冷凍食品などを活用することで、緊急時でも質の高い料理を提供できるとしています。もちろん、スマホなどの充電も可能で、冷暖房の提供や災害本部とのサテライト拠点を担う存在として期待されます。
同ショーでは、このFCキャンピングカーの反応を探る意味も含めて参考出品されています。
もし、キャンピングカーとして市販化されれば、MIRAIの710万円〜という価格から察してもその倍はしても不思議ではなさそうです。しかし、同キャンピングカーショーで、1000万円、2000万円級のキャンピングカーが成約済みという札を掲げている展示車もあり、ニーズもありそうです。
(塚田勝弘)