新型スズキ・アルトのマイルドハイブリッド仕様は、元気な走りと乗り心地の良さが際立つ

■新型アルトは、履き心地がいい「かなり上質なゲタ代わり」!?

スズキを代表するスタンダード軽であるアルトは「ゲタ代わり」としての役割を担っています。8代目の新型は、先代よりも比較的クセの少ないスタイリングが与えられている印象を受けます。

スズキ アルト
スズキ・アルトの走行シーン

パワートレーンは、従来の「R06A」型エンジンとエネチャージが組み合わされた「A」「L」グレード。

さらに、最新世代となる「R06D」型エンジンとマイルドハイブリッドの組み合わせでWLTCモード燃費で、軽トップの27.7km/Lを誇る「HYBRID S」「HYBRID X」が用意されています(4WDは25.2km/L)。

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スズキ・アルトの走行シーン

組み合わされるトランスミッションは、全車CVT。マイルドハイブリッドの2WDは、700〜710kg(2WD)と圧倒的に車重が軽いこともあり、モーターアシストもあって、発進時からグイグイと加速させていきます。

後席や荷室に多くの荷物を積み込む法人ニーズはもちろん、時々4人フル乗車で出かける乗用ニーズにも十分に応えてくれるはず。

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最新世代となる「R06D」型エンジンを積むマイルドハイブリッド仕様

一方で言い方を変えると、アクセルを踏んだ際の反応が良すぎる感覚もあり、慣れるまでは少し飛び出し感を覚えることもありました。それほどアクセルを踏み込まない人でも、ストレスのない発進加速を提供するのが狙いかもしれません。

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マイルドハイブリッドの専用ロゴ

マイルドハイブリッドのエンジンスペックは、最高出力49PS/6500rpm・最大トルク58Nm/5000rpm。モーターは1.9kW(2.6PS)/58Nmというスペック。

なお、R06A型エンジンのエネチャージ仕様は、46PS/6500rpm・55Nm/4000rpmというスペックで、もちろんモーターアシストはありません。

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試乗車のタイヤはダンロップ「エナセーブ・E300+」

特筆すべきは、想像以上に乗り心地がいい点。後席に座ると荒れた路面では、若干突き上げを感じさせるシーンもありますが、スズキが「ゲタ代わり」というのは多分に謙遜も含まれているのでは?と勘ぐりたくなる上質感が得られます。

新型は先代よりも50mm全高が高くなったものの、1525mmという高さに抑えられています。スーパーハイトワゴンやハイトワゴンよりも全高はかなり低く、こうしたハイト系で時々見られるヒョコヒョコとした乗り味もなく、フラットライドといえる仕上がりを堪能できます。

足がよく動き、前席では後席よりもさらに突き上げ感が抑えられています。街乗りで流れに乗っている分には、十分に納得できる静粛性も確保されています。

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新型アルトのリヤシート

ただし、加速時はパワートレーンからの音の高まりと、後席はリヤタイヤハウス辺りからの音が侵入してきます。

とはいえ、94万3800円〜137万9400円という価格は十分にリーズナブルで、先述した乗り心地の良さなども含めると、コスパに優れた良品廉価で真面目な軽自動車といえそうです。

(文:塚田 勝弘/写真:小林 和久)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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