■「ゼロエミッションマリーナ(モデル基地)」の内覧会でハルモの勇姿を披露
ヤマハ発動機の広報グループは、同社の活動をニュースレターとして報告しています。今回の話題は、次世代の電動操船システム「HARMO(ハルモ)」です。
以前お伝えしたように、この「ハルモ」の先行受注がすでに欧州で開始されていて、2022年春に欧州で販売されます。
2021年11月10日、11日、日本初の自然エネルギーで稼働する「ゼロエミッションマリーナ(モデル基地)」の内覧会が大阪府堺市で行われました。そのなかで、ハルモの走行会も行われています。
堺市の旧堺港に位置するクリエイションマリーナ内に設置されたモデル基地は、水上交通手段としての電動船の普及、マリーナ周辺施設の電化などを目指すEV船販売が開設。2025年に開催される大阪・関西万博の開催に向けた取り組みとして、国内28社の企業・団体の協力を得ながら完成したそうです。
マリーナ内の電源は、自然エネルギーによる発電と蓄電によりすべてが確保されています。
桟橋に係船された電動の小型船舶に非接触でワイヤレス充電するシステムを設置するなど、ゼロエミッションを実現したモデル基地。
EV船販売の工藤清人さんは「小型船の電動化は、欧州を中心に普及しつつありますが、日本ではまだ関心が薄いのが実情です。電動推進による小型船の開発とともに、こうした電動基地についてもマリーナやボートパーク、漁港などに提案し、マリン業界のゼロエミッション化を提言していきます」とコメントしているそうです。
ヤマハ発動機がこのような取り組みに共感し、ハルモの走行会が実現したそう。同社のマリン先行開発部PJ開発推進グループ・齋藤良介さんは、「電動推進器ということで、環境型製品として注目されるのはうれしいことです。
ハルモは、それだけではありません。本来のコンセプトは、ボートをより簡単に、快適に操船することにあります」とその狙いについてコメント。
今回の走行会でもハルモの搭載艇に乗船した人々は、ジョイスティックでの簡単な操船や、その場での回頭も可能な機動性(小回り性能)、そして波の音しか聞こえないと形容されるような静かさなど、推進器としての性能に感嘆した様子が見られたそうです。
さらに、先述の齋藤良介さんは「昨年の夏から北海道の小樽運河の観光船に実証運航として導入していますが、操船性能、静粛性という面で、ボートを操船するオペレーターだけでなく、乗船する観光客の方に大好評です。大きなトラブルもなく稼働しています」と、製品化に向けの手応えを高めているようです。
ハルモの先行受注を開始している欧州では、多くのボートビルダーが関心を示しています。今後もさらにハルモの搭載ボートを増やし、多くの方に特徴である静粛性を味わっていただくべく、開発を推進するとしています。
(塚田勝弘)