■カローラ・シリーズの登録車販売台数1位に貢献するカローラ クロス
2021年11月の登録車販売台数で1位に輝いたトヨタ・カローラ(シリーズ)。前年同月比141.2%の1万3631台で、大幅増となっています。
新型カローラ クロスは、2021年11月7日時点で、約5万台を受注し(発売日は9月14日)、驚異的なスタートダッシュを切っています。
ここでは、ライバルのホンダ・ヴェゼルと比べながら、パッケージングを中心にその人気を探りたいと思います。
全長4490×全幅1825×全高1620mmというカローラ クロスのボディサイズは、ヤリス クロスよりもひと回り大きいですが、よほど狭い住宅街や駐車場などでない限り、大きすぎて取り回しに困るほどではありません。
しかも最小回転半径は5.2mに収まっています。クーペテイストが加わるC-HRよりもオーソドックスといえるデザインもあり、広いキャビンとラゲッジスペースを確保。
5人乗車時でも487Lというクラストップレベルの広大な荷室容量を実現し、2WD車は9.5インチのゴルフバッグが4セット収まります(4WDは9.5インチゴルフバッグが3セット)。
4WDの荷室容量は407L。ハイブリッドの2WDに設定されるアクセサリーコンセント装着車は445Lになります。
さらに、ルーフボックスなども併用すれば、家族4人でキャンプなどのアウトドアや各種アクティビティにも余裕で対応してくれるはず。
1〜2人であれば、純正用品の「ラゲージアクティブボックス」を使うことで車中泊もできます。後席は6対4分割可倒式で、後席バックレストを前倒しすると、いまでは珍しいほどの大きな段差が残ります。
以前お伝えしたように、この「ラゲージアクティブボックス」はぜひ追加したいアイテム。後席を倒せば段差がなくなり、長尺物の出し入れが容易になります。また、さらに耐荷重性にも優れているため、マットなどを敷いて横になったり、先述したように車中泊も可能でしょう。
また、デッキボード下段と上段に分けて収納できるのも魅力で、下段も有効活用でき、すっきり収納可能。
キャビンは、前後席のシートサイズ、頭上、足元の空間にも余裕があります。後席のヒップポイントをフロントよりも10mm高めたことで、見晴らしも良好です。
同じプラットフォームを使うC-HRは、後席を低い位置に配置したことで、やや閉塞感を覚えますが、カローラ クロスでは適度な開放感もあります。
なお、身長171cmの筆者がドライビングポジションを決めた後方(後席)には、膝前にこぶしが縦に2つくらい、頭上にこぶしが縦に1つ強の余裕が残ります。もちろん、前席座面下への足入れ性も良好そのもの。後席は2段階のリクライニングも可能で、好みに応じて設定できます。
●Bセグメント以上Cセグメント未満のホンダ・ヴェゼルは、広い後席が魅力
ライバルのホンダ・ヴェゼルは、全長4330×全幅1790×全高1580mm。カローラ クロスよりも全長が160mm短く、全幅は35mm狭く、全高は40mmも低くなっています。
それでも、センタータンクレイアウトによるフラットで低いフロア、広大な後席が自慢です。
後席膝まわりの余裕はカローラ クロスを大きく上回り、カローラ クロスよりもホイールベースが30mmも短いにも関わらず、余裕のキャビンを確保しています。
一方で、通常時の荷室容量は393Lで、カローラ クロスよりもひと回り小さくなっています。
このあたりは、ボディサイズ、全長の差(ヴェゼルの方が160mmも短い)の影響が大きく、また後席の広さを重視したヴェゼルの設計の特徴といえるでしょう。
荷室容量ではカローラ クロスに軍配が上がりますが、ヴェゼルは後席座面の跳ね上げや、後席背もたれ前倒し時のフラット化、低床設計による積載のしやすさも美点です。
トヨタ・カローラ クロスの価格帯は199万9000円〜319万9000円。ガソリン車の中間グレードの「S」は、240万円。
ハイブリッドの中間グレード「S(2WD)」は275万円で、価格を抑えた戦略的な値付けで、一気に人気SUVに躍り出たのもよく分かります。
ライバルのホンダ・ヴェゼルは、227万9200円〜329万8900円。人気のハイブリッドは、中間グレードの「e:HEV Z」のFFが289万8500円。
ヴェゼルのガソリン車は「G」のみで、エントリーグレードでもあり227万9200円(FF)という価格設定になっています。エントリーグレードの価格差も28万円ほどあります。
(文:塚田 勝弘/写真:井上 誠、塚田 勝弘)