ヤマハ「YZF-R7」ついに発売!誰でも扱える700cc・2気筒のスーパースポーツが2022年2月に登場

■ヤマハWGP60周年記念「白赤ストロボ」も3月導入

2輪最高峰レース「MotoGP」ファンはもちろん、スポーツバイク好きの多くが憧れるスーパースポーツモデル。レーシングマシンのようなスタイルに高い動力性能などが人気で、特に1000ccの大排気量モデルは、各メーカーのフラッグシップとして多くのバイクファンを魅了しています。

ただ、最近の1000ccスーパースポーツは、国産車でも価格が200万円後半から300万円を超えるものがほとんどで、かなり高嶺の花。しかも、200psを超えるパワーは、かなりの上級ライダーでないと扱いきれないといった声もあります。

ヤマハの700cc2気筒スーパースポーツYZF-R7紹介
R7には400台限定の「WGP 60thアニバーサリー」カラーも用意

そんな中、ヤマハは、2021年12月16日(木)、ネイキッドモデルの「MT-07」をベースに、サーキット走行にも対応する充実の装備と、スポーツバイク初心者でも扱いやすい特性を両立したニューモデル「YZF-R7」を2022年2月に国内販売することを発表!

しかも、ラインアップには、ヤマハのWGP(ロードレース世界選手権)参戦60周年を記念したカラー、伝説の「白赤ストロボ」カラーも投入されることが明かになりました。

●YZF-Rシリーズのミドルクラス

YZF-R7(以下、R7)は、ヤマハが2021年5月に欧米で先行発売していた新型の700cc・2気筒のスポーツモデルです。車名にある「YZF-R」は、ヤマハのスーパースポーツ・シリーズ共通のネーミング。

ヤマハの700cc2気筒スーパースポーツYZF-R7紹介
YZF-R7のリヤビュー

市販車ベースの最高峰レース「SBK(スーパーバイク選手権)」のベースマシンとしても活躍する「YZF-R1M(以下、R1M)」や「YZF-R1(以下、R1)」を筆頭に、国内では250ccの「YZF-R25(以下、R25)」や300ccの「YZF-R3(以下、R3)」もラインアップ。

また、レースやサーキット走行の専用車として600ccの「YZF-R6レースベース車」も設定しています。

ヤマハの700cc2気筒スーパースポーツYZF-R7紹介
ヤマハ・YZF-R1M

加えて、インド向けには155ccの「YZF-R15M/15(以下、R15)」も販売。これらモデルは、いずれも海外でも大きな人気を誇るヤマハの売れ筋シリーズとなっています。

新型のR7は、そんなYZF-Rシリーズの中で、ミドルサイズに位置するモデルとなります。700ccのスーパースポーツと聞くと、かなり尖った性能を持っているのかとイメージしてしまいますが、実はかなり扱いやすいのが魅力。

若者などバイク初心者から筆者のようなオジさんライダーまで、幅広い層がスポーツ走行を楽しめることをコンセプトにしたマシンなのです。

ヤマハの700cc2気筒スーパースポーツYZF-R7紹介
サイドカウルのロゴもYZF-Rシリーズの証

ワインディングはもちろん、休日のサーキット走行などでも、楽しく安全にライディングできるバイクに仕上がっています。

●新型ヘッドライトやエアダクトを採用

外観のデザインは、ヤマハ製スーパースポーツの頂点・1000ccのR1やオーリンズ製サスなどを装備した上級仕様のR1Mを彷彿とさせるかっこよさ。

1980年代中盤から1990年代前半のレーサーレプリカ・ブームを知る筆者には、かなりグッとくるスタイルです。とても、ネイキッドモデルのMT-07がベースとは思えません。

ヤマハの700cc2気筒スーパースポーツYZF-R7紹介
M字ダクト部に新型ヘッドライトを採用

特に、フロントフェイスは特筆もの。中央部には、YZF-Rシリーズの特徴であるM字ダクトを踏襲し、雰囲気はバッチリです。

ただし、R7のM字ダクトは、R1MやR1のように走行風を車体内に取り入れ冷却効果を生む機能はありません。しかし、エアダクトは全くないかというと、実はそうでなくて、新しい試みが施されているのです。

R7の顔に設定されたM字ダクト風の凹み内には、新開発のヘッドライトを搭載。代わって走行風を取り入れるのは、M字ダクトの左右2ヵ所にあるエアダクトがエンジンなどの車体内に導風します。さらに、ヘッドライト下にはウイングレットとインナーパネルも新設し、こちらはラジエターを冷やす役割となっています。

●スリムな車体で深いバンク角を実現

車体には、MT-07と共通のパイプ型ダイヤモンドフレームを踏襲します。YZF-R1などが採用する、ヤマハ製スポーツバイク伝統の「アルミ製デルタボックスフレーム」でないのがちょっと残念ではあります。

ヤマハの700cc2気筒スーパースポーツYZF-R7紹介
エンジンやフレームはMT-07と共通ながら、各部を最適化・高剛性化している

でも、フレームはカウリングで上手く隠れているため、あまり気になりませんね。しかも、このバイクは左右ピボット(フレームとスイングアーム結合部)部分にセンターブレースを追加することで、見た目だけじゃなく、車体後部の剛性もアップ。

倒立フロントフォークの採用と相まって、前後のねじり剛性を約20%向上させるなどで、サーキット走行にも対応する車体の最適化が施されているのです。

しかも、R7は、前から見たフォルムがとってもスリム。これは、ベースとなったMT-07の細い車体を活かした結果です。ヤマハによると、小型車のR15も含めたYZF-Rシリーズで最もスリムだといいます。

ヤマハの700cc2気筒スーパースポーツYZF-R7紹介
シリーズ中最もスリムなYZF-R7のフロントビュー

車体前面の面積が小さい方が空気抵抗は少なくなりますし、車両重量も188kgと、このクラスのバイクとしてはかなり軽量。加速のよさや車速の伸びは、かなり期待できそうです。

ちなみに、アンダーカウルは車体のスリム化のために、できるだけエンジンに近づける形状にしたそうです。ただ、樹脂製など一般的素材のアンダーカウルでは、エンジンに近くなると熱で溶ける可能性があるため、アルミ化して熱対策も施したとか。

これにより、バンク角はMT-07の49度に対し、R7は53度を実現。より深く車体を寝かせるサーキットなどでの走りにも、十分対応したスペックとなっています。

ヤマハの700cc2気筒スーパースポーツYZF-R7紹介
R7のディープパープリッシュブルーメタリックC×マットブルーメタリク3(写真は海外仕様)

ほかにも、セパレートハンドル化やバックステップの採用、シート高をMT-07の805mmから835mmにアップするなどのモディファイを実施。スポーツ走行に適しながらも、ツーリングなどでも疲れにくい、適度な前傾姿勢となるライディングポジションを実現しています。

なお、シートは、タンク近くを細くして足着き性を考慮しながらも、後部を広げてハングオン時のホールド性も確保しています。

●アシスト&スリッパークラッチなど装備も充実

エンジンは、これもMT-07と同様の700(正確には689)ccの2気筒。ヤマハがCP2と呼ぶパワートレインです。

ヤマハの700cc2気筒スーパースポーツYZF-R7紹介
ヤマハ・MT-07

R7では、ギヤの2次レシオをMT-07の43/16=2.687から42/16=2.625へとロングレシオ化し最適化。より速度が伸びるとともに、高揚感ある走りやスポーティな乗り味に貢献します。

ちなみに、最高出力は54.0kW(73.4ps)/8750rpm、最大トルクは67.0Nm(6.8kgf-m)/6500rpmです。

また、MT-07系モデルでは初装備となるA&S(アシスト&スリッパー)クラッチも装備します。これは、高速走行から急減速するような場面、たとえば6速から2速などにシフトダウンした時、過度なエンジンブレーキの発生を抑止する機能。大きなバックトルクによる車体挙動への影響を抑えることで、安定した走行性を支援してくれるものです。

ヤマハの700cc2気筒スーパースポーツYZF-R7紹介
セパレートハンドルや減衰力調整機能付き倒立フロントフォークなどを装備

筆者は、同様のA&Sクラッチを持つ愛車ホンダ「CBR650R」でたまにサーキット走行を楽しんでいますが、その効果は絶大です。

この機能がない従来モデルの場合は、ブリッピングといって、ブレーキングとシフトダウンをしながら、アクセルを煽ってエンジン回転数を落とし過ぎないようにしないと、急激なエンジンブレーキでリヤタイヤが左右に振られるなどの挙動がでたものです。

A&Sクラッチがあれば、ロングストレートからタイトコーナーなどへの侵入時の減速で、ブリッピングなしでブレーキングとシフトダウンに集中できるので、とっても楽なのです。

R7には、ほかにもブレーキレバーにブレンボ製ラジアルマスターシリンダーを採用。MotoGPなどのレーシングマシンにも採用されている仕様で、レバー入力に対し制動力がリニアに発生するのが魅力の機能です。

ヤマハの700cc2気筒スーパースポーツYZF-R7紹介
フロントブレーキにはラジアルマウントキャリパー装備

ほかにも、フロントフォークには伸び側と圧側の減衰力調整機能を装備。フロントブレーキには、R1など上位機種と同等のラジアルマウントキャリパーも付いています。

さらに、オプションには、クラッチ操作なしでアクセルを開けたままシフトアップが可能な「クイックシフター」(1万8700円)も用意。装備面もかなりの充実ぶりです。

●価格は驚きの100万円切り!

R7には、注目点がまだまだあります。それは、特別仕様として400台限定モデルの「WGP 60thアニバーサリー」が設定されることです。

ヤマハの700cc2気筒スーパースポーツYZF-R7紹介
WGP 60thアニバーサリーには通称「白赤ストロボ」カラーを採用

これは、前述の2輪最高峰レースMotoGPの前身、WGP(ロードレース世界選手権)参戦60周年を記念したカラーを採用した仕様です。

ヤマハは、1961年のフランスGPからWGPに初参戦。1963年には初優勝も果たし、その後も長い年月で数々の活躍を披露します。

バレンティーノ・ロッシ選手、ケニー・ロバーツ選手、ウェイン・レイニー選手など数多くのレジェンドライダーも輩出し、今まで(2021年10月初旬時点)517もの勝利を手にしています。

そんなヤマハの2輪最高峰レースにおける栄光を記念した限定モデルでは、1980年のワークスマシン「YZR500」をモチーフとした伝統のカラーリングを採用。

白地のボディに、ストロボが点滅するかのような断続する赤のラインを入れたグラフィックは、ファンの間で「白赤ストロボ」と呼ばれるほどの人気ぶり。まさに、ファン垂涎のカラーなのです。

しかも、R7は、税込価格も驚き。なんと、スタンダード仕様で100万円を切る99万9900円。限定のWGP 60thアニバーサリーでも105万4900円という価格です。

ヤマハの700cc2気筒スーパースポーツYZF-R7紹介
ヤマハ・YZF-R7(カラーはヤマハブラック×マットダークグレイメタリック6)

なにせ、R1Mが319万円、R1が236万5000円と、前述の通り、スーパースポーツはかなり高価なイメージがありますからね。

ヤマハの700cc2気筒スーパースポーツYZF-R7紹介
ホンダ・CBR650RはR7のライバルとなる!?(写真は2021年モデル)

また、R7と似たようなコンセプトを持ち、ライバルとなるであろう筆者の愛車ホンダのCBR650Rでも105万6000円~108万9000円。そう考えると、R7はかなりリーズナブルかも!

こういった低価格は、MT-07をベースとしていることも大きいようです。車体やエンジンを新規開発していない分、コストが低減されていますからね。

ヤマハの700cc2気筒スーパースポーツYZF-R7紹介
ブレーキレバーに、ブレンボ製ラジアルマスターシリンダーを採用

しかも、R7には、ブレーキやサスペンションなどにサーキット走行にも対応する高機能パーツも採用、それで100万円を切る価格になっているのはうれしい限りです。

なお、スタンダード仕様のカラーには「ディープパープリッシュブルーメタリックC×マットブルーメタリク3」と、「ヤマハブラック×マットダークグレイメタリック6」を設定。

いずれのカラーにも、エンジンやフレームカバー、リヤアームなどに新色のクリスタルグラファイトを施すことで、陰影による奥行き感なども演出しています。

発売予定日は、スタンダード仕様が2022年2月14日、WGP 60thアニバーサリーが2022年3月14日です。

(文:平塚 直樹/写真:奥隅 圭之、ヤマハ発動機、本田技研工業)

この記事の著者

平塚 直樹

平塚 直樹 近影
自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、クルマ選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!