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■ヤマハとロッシがMotoGPの登竜門へ挑戦
ヤマハは11月19日、長年参戦する世界最高峰の2輪車ロードレース「MotoGP」に加え、その登竜門ともいえる「Moto2」の2022年シーズン参戦を正式に発表しました。
しかも、チームは、9度の世界王者に輝き、2021年に引退したバレンティーノ・ロッシさんが運営するVR46がマネジメントする「ヤマハVR46マスターキャンプ・チーム」。
若手ライダー育成を目的に、長年ヤマハで活躍したロッシさんとの新たな挑戦が始まります。
●若手ライダー育成が目的
2022年シーズンのMoto2に参戦するのは、ヤマハの若手ライダー育成プログラム「ヤマハVR46マスターキャンプ」出身ライダーで構成するチームです。
「タイ・ヤマハモーター(Thai Yamaha Motor Co. Ltd.)」「ヤマハモーター・ヨーロッパ(Yamaha Motor Europe N.V.)」「ヤマハモーターレーシングSrl(Yamaha Motor Racing Srl.)」のサポートのもと、前述の通り、ロッシさんが運営するVR46がマネジメントを担当。
タイ人のケミン・クボ選手(22歳)とスペイン人のマヌエル・ゴンザレス選手(19歳)という2名の若手ライダーを起用します。
元々、ヤマハVR46マスターキャンプは、バレンティーノ・ロッシ選手が主宰する「VR46ライダースアカデミー」とパートナーを組み、ヤマハが2016年からイタリアで行っているもの。
2017年にはマスターキャンプ経験者のレベルアップを促す機会としてチームを結成、最高峰MotoGPライダーを数多く輩出しているスペインの選手権「FIM CEV」に参戦してきました。
また、世界各地で行われている若手ライダーの育成プログラムである「bLU cRU」と連動し、若手ヤマハライダーたちがMotoGPを目指す一つの大きなプロジェクトとして取り組んでいます。
●注目株の若手ライダーが参戦
今回のMoto2参戦も、そんなヤマハが行っている活動の一環。同社によれば「若く才能あふれるヤマハ・ライダーたちに世界選手権レベルでスキルを磨く機会を提供する」ことが目的だといいます。
実際、今回参戦するクボ選手は、2018年の第5回「VR46ライダースアカデミー」への参加をきっかけに、前述のFIM CEV Moto2クラスなどで3年間経験を積んだライダー。2021年には、ワイルドカードでカタルニアGPのMoto2クラスに出場し、26位を獲得しています。
また、スペイン人のゴンザレス選手は、13歳でレッドブル・ルーキーズカップに出場し、わずか15歳でヨーロピアン・タレント・カップでチャンピオンを獲得。2018年からスーパースポーツ世界選手権300にフル参戦すると、翌年には史上最年少の17歳と56日でチャンピオンに輝く超注目株です。
これら若手ライダーたちが、今回のMoto2参戦により、将来のMotoGPライダーとして躍進するきっかけとなるのかが注目されます。
●どんなマシンで参戦するかも注目点
また、ロッシさんが運営するVR46によるマネジメントも気になるところ。ロッシさんとヤマハとの新たなタッグにより、2022年シーズンのMoto2で、どのようにチームが活躍するのかも楽しみです。
ちなみに、Moto2に参戦するバイクは、レギュレーションによりエンジンは共通。イギリス名門メーカーのトライアンフが供給する765cc・3気筒を使います。つまり、ヤマハはエンジン以外の車体を作って参戦することになるのです。ヤマハ製Moto2マシンが、一体どんな仕上がりをみせるのかも気になりますね。
なお、チームは、2022年2月3日~4日、スペインのバレンシアで行われる公式テストからMoto2にデビューする予定です。
【ケミン・クボ選手のコメント】
「初めに、私の夢の実現に向けて支援してくれたヤマハ、VR46、タイ・ヤマハモーターに感謝します。世界選手権で戦えることになり、とても興奮しています。レースを始めて以来の目標でした。当然、多くの困難があると思いますがベストを尽くします。世界選手権参戦は間違いなく、人生の夢であり目標です」
【マヌエル・ゴンザレス選手のコメント】
「新しいプロジェクトがスタートし、チャンスを与えてもらえたことをうれしく思っています。これは私のレースキャリアにおける大きなステップであり、世界選手権で多くを学び、楽しみながら、成長するために全力を注ぎます。私を信頼してくれたヤマハとVR46に心から感謝しています」
(文:平塚直樹)