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■光量や光軸の規定はない
D1車両を見たときに、ノーマルのヘッドライトの車両が少ないことに気づいたかたも多いのではないでしょうか? 今回はそのへんの事情を紹介していきます。
まず、いまD1で主流の車種となっているのが、シルビア(S15型)、マークⅡ/チェイサー(JZX100)、GRスープラといったところですが、とくにシルビアのほとんどは、ヘッドライトを替えています。D1では一般の車検のような光量や光軸の規定はないので、ヘッドライトもそれなりに前方を照らす機能があれば、それでOKのようです。
さて、シルビアがヘッドライトを替えている理由にはいくつかあります。
まずは、大型の前置きインタークーラーを装着する際に、パイピングレイアウトの自由度が高まるからということがあります。D1車両は700psオーバーのハイパワー車がほとんどですが、それには大型のインタークーラーも必要です。
純正のヘッドライトは後ろに出っ張っているため、それを取り外して小型のライトに替えてしまったほうが、パイピングを通しやすくなるのです。
ヘッドライトを交換する次の理由としては軽量化です。純正のヘッドライトユニットはそれなりの重さがあり、しかもボディ前端近くにあるので、小型のものに替えると軽量化とフロントヘビーの改善に効果があるというわけです。
もうひとつは、市販のヘッドライトダクトにすることで、フレッシュエアを採り入れることもできるようになるというメリットがあります。吸気温度を下げたり、吸気効率をアップしたりできるからです。
そして最後に、じつはちょっと寂しい事情もあります。
生産終了して久しいシルビアは、ヘッドライトの入手が困難で、中古でもかなりの高価格がついているのです。なので、もう純正のライトは使わないというチームもあります。もっとも、社外品で純正っぽいヘッドライトユニットを出しているメーカーもあるので、そういうヘッドライトを装着している車両もあります。
■リトラクタブル・ヘッドライトが可動する車両はゼロ
いっぽうで、マークⅡ/チェイサーは、純正のヘッドライトを加工している車両が多いようです(といっても2台だけど)。4灯のうちの2灯を取り外して軽量化したり、そこに穴を開けてフレッシュエアを導入するダクトとして使ったりしているケースです。
また、180SX、スプリンター・トレノ、RX-7といった、ノーマルではリトラクタブル・ヘッドライトのD1車両もいますが、現在それらが可動するようになっているものはゼロです(たぶん)。まずリトラクタブル・ヘッドライトは重いし、競技車両では開閉する必要もない。なので、取り外して、隙間やバンパーに固定式の小型ライトをつけている車両が主流です。
●現行車種はノーマルのライトが多い?
GRスープラはオートポリスのラウンドには3台が参戦していましたが、いずれも純正ヘッドライトです(たぶん)。また86は2台参戦していましたが、藤野選手は純正。北芝選手は社外品ですが純正タイプです。
現行車種でヘッドライトを外してしまっているクルマが少ないのは、もったいないからでしょうか? また、最近の車両は衝突安全性の面で、エンジンからバンパーまでのスペースが広くとられているので、もともとパイピングの配管の自由度が高いという理由もあるかもしれません。
それでも、徹底的にフロントオーバーハングの重量を減らしたくなったら、ヘッドライトを外してしまうGRスープラも現れるかもしれませんね。
●中村選手がリードを広げて最終ラウンドへ
なお、10月30日と31日にオートポリスで行われたD1GP第9戦、第10戦では、単走優勝はいずれも#99中村直樹選手。そしてラウンド優勝は、第9戦が#7松井有紀夫選手、第10戦が#99中村直樹選手でした。これで、ポイントリーダーの中村選手は2位の横井選手との差をひろげて、最終2連戦を迎えることになります。
次のラウンドは2021年11月20日(土)〜21日(日)の福島県・エビスサーキット南コース。エビス南はこれまで毎年D1GPが開催されてきましたが、コース改変のため、今回が最後の開催となります。
(文:まめ蔵/写真提供:サンプロス・まめ蔵)
【関連リンク】
D1グランプリの詳しい情報は、D1公式サイトで。
www.d1gp.co.jp