■2列4人乗り、5人乗りのほか、3列7人乗りを初設定
以前お伝えしたように、予告どおり2021年10月26日に5代目の新型レンジローバーが世界初公開されました。「砂漠のロールスロイス」と呼ばれることもある、50年を超えるSUVの王者にふさわしい美しいフォルムをまとっています。
新型レンジローバーは、モダンで優雅な内外装を備え、最先端の装備やシームレスなコネクティビティを採用。また、初めて7人乗りが選択できるようになるなど、多人数というニーズにも応えています。
新型のエクステリアには、歴代のレンジローバーが採用してきた要素が盛り込まれています。後方へ向かってなだらかに下がるルーフライン、水平方向を強調した力強いウエストラインを採用。
さらに、特徴的なショートオーバーハング、格式高いフロントマスク、直立したフロントガラスもそのアイデンティティを印象づけています。
新しさを感じさせるのがリヤビュー。縦型のテールランプは「RANGE ROVER」のロゴが配された横基調のガーニッシュとの連続性を抱かせる造形になっています。
エクステリアは、圧倒的といえる高い質感を備え、段差や隙間がなく、まるでひとつの塊を削りだしたような洗練された仕上がりになっています。
今回のワールドプレミアでは、2022年に導入予定の新型「RANGE ROVER SV」も発表されています。
卓越したクラフトマンシップで仕立てられた「SV」モデルは、専用のデザインディテールとして、光沢のあるメッキメタル、滑らかなセラミック、複雑なモザイク模様の寄木細工、高品質のレザー、サステナブル(持続可能)な素材である「Ultrafabrics」などが採用されています。
そして、新たなデザインテーマである「SV SERENITY(エスブイ セレニティ)」「SV INTREPID(エスブイ イントレピッド)」も盛り込まれています。
フロントとリヤのコントラストが印象的な2トーンカラーのインテリアもトピックス。電動で展開できるクラブテーブルや冷蔵庫など利便性の高い機能も用意され、最高の乗り心地を提供するという4人乗り仕様の「SV シグネチャースイート」も選択できます。
●マイルドハイブリッド、プラグインハイブリッド、バッテリーEVを設定
また、新型レンジローバーには、ランドローバーの新しいアーキテクチャーである「MLA-Flex(flexible Modular Longitudinal Architecture)」が初めて採用されたのもトピックス。「MLA-Flex」は、内燃機関、プラグインハイブリッド(PHEV)、100%電気駆動のフルバッテリー電気自動車(BEV)に対応するアーキテクチャーです。
新型レンジローバーのパワートレインは、高効率なマイルドハイブリッド(MHEV)、PHEVから選択可能。ボディタイプは、スタンダードホイールベース(SWB)とロングホイールベース(LWB)の2種類が用意されます。さらに、4人乗り、5人乗り、7人乗りから好みのシート仕様が選択できます(4人乗りと7人乗りはLWBのみ)。
さらに、2024年には初のバッテリーEVが加わる見込みだそう。
ランドローバー史上初となるバッテリーEVは、2030年までにジャガー・ランドローバー・ブランドの全モデルにピュアEVの選択肢を設定し、2039年までに排出ガス量実質ゼロの達成を目指すという目標に貢献する仕様です。
また、PHEVパワートレインは、二酸化炭素(CO2)の排出量を30g/km未満に抑え、「EVモード」での最大航続距離は100km(WLTP値)。実航続距離は最大80kmとしていて、これは一般的なレンジローバー・ユーザーの1回の移動距離の75%を電力だけでカバーするとのこと。
新型、そして最上級SUVのレンジローバーにふさわしい快適な走りにも注目です。
第3世代の新しい「アクティブ・ノイズ・キャンセレーション」技術は、走行中も静粛な室内環境を提供。静かで密閉されたボディアーキテクチャーをベースに、車両の外側に設置されたマイクとヘッドレストのスピーカーを使用して、ノイズキャンセリング機能付きのハイエンドヘッドホンのように、乗員に静かなパーソナルスペースをもたらすそうです。
ほかにも、アレルゲン低減とウイルス除去のためのデュアル「ナノイーX」が搭載された「空気清浄システムプロ」も用意されます。臭いやウイルスを大幅に低減し、CO2マネジメントとPM2.5キャビンエアフィルターで空気の質を向上させます。
サステナビリティ(持続可能性)の考えに基づき、革新的な素材やプロセスを組み合わせることで、新型は製造過程や走行時の環境負荷も軽減するそうです。
一例として、レザーを使わないインテリアオプションであるウール混紡の「Kvadratプレミアムテキスタイル」が挙げられます。暖かくて心地よいこの素材は、レザーのような触り心地でありながら30%の軽量化、CO2排出量を4分の1に抑えたテクニカルな「Ultrafabrics」素材との組み合わせが用意されます。
また、レンジローバーが誇る高い悪路走破性、穏やかな乗り心地は、「インテグレーテッド・シャシー・コントロール(ICC)・システム」が大きく貢献しています。「オールホイール・ステアリング」により、卓越した高速安定とランドローバー史上最少の回転半径を実現。
さらに、新機能の「ダイナミック・レスポンス・プロ」は、あらゆる路面や天候などの環境下で落ち着きのある乗り心地と敏捷性を高めるため、素早く反応する電子ロールコントロールが備えられています。
5代目の新型レンジローバーは、英国でデザイン、開発、エンジニアリングが行われ、歴史的拠点である英国のソリハル製造工場の最新の生産ラインでのみ製造されます。工場への投資が品質の向上を推進し、高効率なマイルドハイブリッド、PHEV、バッテリーEVの混流生産が可能になるそうです。
日本への導入時期や価格などの詳細は現時点では明らかにされていませんが、上陸すれば超高級SUVの世界に大変革をもたらす存在になるのは間違いありません。なお、英国での価格は、94,400スターリング・ポンド(約1483万円〜)となっています。
(塚田 勝弘)