村上菜つみ 
目次
■三代目はリアル・アスリート
軽量コンパクトなボディとキュートなデザイン、きびきびしたライトな走りで人気を博し、今ではすっかり街の人気者となったホンダ グロム。
もともとは、2013年にタイ・ホンダが発表したグローバル・スポーツモデルのMSX125というマシンでしたが、日本でもすぐにGROMの名で販売がはじまり、大人気となりました。
丸っこいボディが愛くるしかった初代グロムは、2016年のデザイン変更とその後の排ガス規制対応を経て、スクエアタイプのシャープなボディをもつ二代目グロムへと進化。
そして2021年、徹底的なフルモデルチェンジをうけて、ついにこの三代目グロムが登場したのです。
ところでGROMの車名は、もともと英語のGROMMETからとられたもの。
「グロメット」は靴紐などを通す金属の穴、つまりハトメのことですが、そこから転じて英俗語では、小さな子どもやティーンエイジャーのサーファーのことを「グロム」と呼ぶのだそう。
小っちゃくて元気いっぱいのアスリートという意味では、まさにこのバイクにぴったりの名前だと思いませんか？
●カスタマイズありきのボディデザイン
さて、この2021年型グロムは、シュラウドやサイドカバーが簡単に着脱できるボルトオン式になっていて、ボルトまわりに大きな円形ガーニッシュをくっきり目立たせているのが特徴です。
可愛いボディのサイドビューを大胆に飾るポチポチ丸いアクセントが、グロムの車名の由来となったハトメを思わせ、見た目にもわくわくするデザインに仕上がっていますよね。
カスタム派のライダーなら、この丸いポチポチを見ただけでも、あそことあそこをこんなパーツに交換して…なんて脳内妄想カスタムがぐっとはかどってしまいそうです。カスタマイズは、2021年型グロムが打ち出す大きなテーマのひとつ。
なにしろタイ・ホンダが新型グロム発表時に公開したムービーには、公式の着せ替えパーツキットまで登場しているほど。「MOD IT YOURSELF」のコピーをかかげ、新型グロムで楽しむカスタムの魅力を、これでもかとばかりに強調したムービーでした。
このムービーには、アドベンチャー、スクランブラー、モタードの着せ替えパーツキット3種類が登場していましたが、日本への導入などについては、残念ながら少なくともまだ何もアナウンスされていません。
とはいえ、もともと真正面からがっつりカスタムを意識して作られた新型グロムのこと、アフターパーツは今後ますます充実してゆくに違いありません。
●走りのアップデートも盛りだくさん
でも2021年型グロムの新しい点は、もちろんデザインだけにとどまるものではありません。
なかでも、これまで4速だったトランスミッションが5速にアップグレードされたのは、大注目のポイントです。小型バイクの限られたエンジンパワーを効率的に使うためには、ミッションの性能がとても重要。
これまでグロムに装備されていた4速ミッションは、軽快な走りを実現してはいたものの、エンジンパワーを出し切るにはいま一歩及ばない面があったので、5速化を待ち望んでいたライダーもきっと多いのではないでしょうか。
エンジンそのものも、従来よりロングストローク化され、わずかながらパワーアップして、最高出力は10PSとなっています。フロントにABSも装備され、走りにいっそう磨きがかかったことは間違いありません。
元気で小さなアスリート、2021年型グロムがいったいどんな成長ぶりをみせたのか、これからじっくりレポートしていきたいと思います。
【ホンダ グロム 主要諸元】
全長×全幅×全高:1760mm×720mm×1015mm
シート高:761mm
エンジン種類:空冷4ストロークOHC単気筒
総排気量:123cc
最高出力／最大トルク:7.4kW／11kgm
燃料タンク容量:6.0L
タイヤ（前・後）:120/70-12・130/70-12
ブレーキ:前後油圧式ディスク
メーカー希望小売価格:38万5000円（税込）
（写真：高橋 克也／文：村上 菜つみ）
【関連リンク】
ホンダ GROM Official Site
https://www.honda.co.jp/GROM/
村上菜つみさんがホンダ・グロムで出かけたツーリング記事は、月刊誌「モトチャンプ」2021年9月号（8月6日発売）に掲載されています。
