ト(10)ラック(9)の日/蒸気エンジン飛行機が飛ぶ/トヨタの最高級車セルシオ登場!【今日は何の日?10月9日】

■今日はトラックの日、蒸気エンジンの飛行機が空を飛ぶ

TGE-型トラック (引用:日野自動車HP)
TGE-型トラック (引用:日野自動車HP)

今日10月9日は、ト(10)ラック(9)の語呂合わせで「トラックの日」です。日本初の国産トラック「TGE-A型」が誕生したのは、1917(大正6)のこと。生産したのは、日野自動車の前身であるガス器具の製造をしていた東京瓦斯工業株式会社の自動車製造部門でした。日本のトラックの始まりでもあり、日野自動車の歴史のスタートでもありました。

特許出願書の図版におけるエオール号(C)Creative Commons
特許出願書の図版におけるエオール号(C)Creative Commons

また1890(明治23)年のこの日、フランスの発明家クレマン・アデールが、蒸気エンジンを動力にする飛行機の飛行に成功しました。コウモリのような恰好をした羽根(単葉機)を4枚のプロペラで駆動する「エオール号」で、約20cmの高さを50m飛行したそうです。これは、ライト兄弟のガソリンエンジン駆動の「ライト・フライヤー号」に先立つこと13年前ですが、当時アデールの研究は軍事秘密であり、また操縦ができない構造であったことから、世界的にはライト兄弟の飛行機が人類初の動力飛行機と認知されています。しかしフランスではエオール号が世界初の飛行機と考えている人が多いそうです。誰が最初か、誰が発明したかで論争になる、よくある話ですね。

さて、クルマ界の今日は何があったのでしょう?

●バブル期にトヨタが放った超高級セダン・セルシオ登場!

1989(平成元)年のこの日、トヨタは超高級車「セルシオ」を発売しました。セルシオは、その1ヶ月前に米国で立ち上げた高級車ブランド「レクサス」の設立に合わせて発売された「レクサスLS400」を日本仕様にしたモデルです。バブル景気で国内市場が拡大する中、クラウンでは満足できなかったユーザーにセンチュリークラウンの中間に位置する超高級車を提供するのが狙いでした。

1989年発売のセルシオ
1989年に発売された初代セルシオ
1989年発売のセルシオの後ろ外観、上品な輝きを放つボディ
セルシオの後ろ外観、上品な輝きを放つボディ

セルシオは従来のクルマづくりとは一線を画したモデルでした。エンジンや駆動系、ボディなどのすべての部品の材料と加工精度を向上させ、内装材は最高級素材を採用、また特別なボディ塗装法を適用していました。

パワートレインは、最高出力/トルク:260PS/36.0kgmを発揮する新開発の4.0L V8 DOHC32Vエンジンと、最新仕様のETC-i制御4速ATの組み合わせ。足回りは4輪ダブルウィッシュボーンで、標準モデルにはコイルスプリング式、上級モデルにはダンパーの減衰力を自動調整できるピエゾTEMSを組み込み、フラッグシップモデルには電子制御式エアサスペンションを採用して、超高級車らしい快適な乗り心地を実現しました。

1989年発売のセルシオの豪華な内装
セルシオの豪華な内装

セルシオは、メルセデス・ベンツBMWの高級車と競合できる初めての国内モデルとして大きな注目を集め、国内でも大変な人気を記録しました。中でも最も売れたのは、600万円を超えるフラッグシップ仕様でしたが、それでも欧州高級車に比べればコストパーフォーマンスに優れ、お買い得でした。

1980年後半の日本メーカーは、世界市場への高級車展開を目指して高級車販売チャンネルを設立。トヨタの「レクサス」の他、ホンダは「アキュラ」ブランド、日産は「インフィニティ」ブランドを立ち上げています。欧米では、高級車を買うお金持ちが大衆車を求めるユーザーと同じ店で接客されることを嫌うという風潮があるようで、高級車を売るためには高級車ブランドを持つことが不可欠なようですね。

毎日が何かの記念日。それではまた明日!

Mr.ソラン

この記事の著者

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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