新内閣発足! 豊田章男自工会会長もコメント。自動車産業どうなる? 新経産相は筋金入りの原発推進派

■2030年CO2排出46%減、2050年カーボンフリーはどうなる?

●原発推進派の萩生田経産大臣により原発再稼働は推進か?

第100代総理大臣が決まった。果たして自動車産業はどうなるだろうか? 言うまでも無く自動車産業にとって喫緊のテーマになるのが環境問題だ。といっても菅前首相時代に国際公約した2050年までカーボンフリーは動かせない。「2030年までの二酸化炭素排出量削減目標を2013年度比46%減」という中期目標も変えられない。この2つの目標、必達になっている。

新内閣が決めるのは二酸化炭素削減するための手段です。菅前内閣の動きを見ると、河野太郎前規制改革担当相の強い意向により電力の主力を天然ガスや石油など化石燃料を56%から41%に引き下げ、太陽光や水力など再生可能エネルギーを22~24%から36~38%に上げた。ただ原発は2019年に立てた6%(ほぼ現状維持)から20~22%へ。

この数字、反原発だった河野太郎前規制改革担当相も動かせなかった。参考までに書いておくと2020年に於ける原発の発電割合と言えば6.2%(9基稼働中)。これを20~22%にしようとすれば、現在稼働していない24基の大半を使わなければならない。そんなことから岸田新首相は原発の行政を司る経産大臣として原発推進派で知られる萩生田氏を起用した。

官房副長官時代の萩生田氏は加計学園疑惑を無き者とした豪腕の持ち主。やるとなったら強行する可能性大。おそらく原発の再稼働を推進しようとするだろう。でないと文頭で紹介した2030年までに46%減を達成出来ない。当然の如く原発の再稼働を歓迎しない人だって多い。福島第一だって現在進行形で放射性物資を含む汚染水を大量に出し続けている。

自動車産業的には原発問題と関わり合いたくない。原発推進を支持した途端、そのメーカーのクルマを買いたくない人が相当数出るからだ。一方、自動車産業は二酸化炭素問題の象徴にされがち。実際、走行中に排出するだけでなく、生産時にも少なからぬエネルギーを使う。踏み絵をやらされるようなケースも出てくるかも。自動車メーカー首脳にとって大きなテーマになることだろう。

●豊田章男自工会会長としてのコメントは?

豊田章男自動車工業界会長は岸田新内会発足を受け、以下のようなコメントを出した。とりあえず御挨拶ということだと思う。

自工会会長としての豊田章男氏
自工会会長としての豊田章男氏

われわれ自動車産業といたしましては、取り巻く環境は厳しさを増すばかりですが、日本の基幹産業として、関連産業を含めた多くの雇用を守りながら、コロナからの復興、カーボンニュートラルの実現など、日本の未来のために必死に努力をしてまいりたいと思っています。「自分以外の誰かのために」という想いを胸に、それぞれの現場で、日本の「移動と暮らし」、そして経済を支える自動車産業550万人の取り組みをご支援いただきますようお願い申し上げます。

環境問題以外では、自動車産業の重要市場になっているアメリカと中国との付き合い方だ。どちらも外交力が必要。アメリカに関して言えば現状維持でいいし、穏健だし環境派のバイデン大統領ということもあり大きな課題無さそう。問題は親中派だった二階氏がやってきた駆け引きだと思う。超短期な茂木氏、恒大グループ問題で大揺れになってる中国と上手に付き合っていけるか?

著者国沢光宏