第5戦SUGO、GT500はカルソニック IMPUL GT-Rが5年ぶりに優勝!【SUPER GT 2021】

■ポールのARTA NSX-GTが逃げ切り態勢か?

9月11日(土)~12日(日)に宮城県のスポーツランドSUGOで開催の2021 AUTOBACS SUPER GT 第5戦 SUGO GT 300km RACE。9月12日の午後にはその決勝レースが行われました。

スターティンググリッドの様子
スターティンググリッドの様子

前日の予選では気温が24度だったスポーツランドSUGOですが、決勝レースのスタート時には気温29度、路面温度45度と真夏を思わせる陽気となります。

また、湿度の低い秋の陽気でのこの気温では相当に日差しが強いということもあって、紫外線量もかなりのものとなります。

スターティンググリッドの様子
スターティンググリッドの様子

その決勝レース、13時30分にフォーメーションラップが開始となりますが、前日の予選時とかなり天候の違いがあったためか、フォーメーションラップでタイヤの温めのために蛇行するマシンがいるのはよくある光景ですが、それ以上に全車との間隔を開けすぎたり、また急加速で詰めてみたりと、スタートでパフォーマンスを得るための準備に余念のないマシンが多く隊列が乱れ気味となったおかげで、フォーメーションラップが1周追加の3周となり、その代わりにレースラップが84周から83周になるというハプニングがありました。

スタートラップの様子
スタートラップの様子

そして3周のフォーメーションラップの後に切られたスタート。ポールポジションの8号車 ARTA NSX-GTが勢いよく飛び出していきホールショットを決めると、2番手の16号車 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTと3番手の12号車 カルソニック IMPUL GT-Rがそれを追いかけます。

前半の3番手以降
前半の3番手以降

ところが2番手だったRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GTのペースはそこから上がらずに、後続のカルソニック IMPUL GT-Rと17号車 Astemo NSX-GTが7周目にRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GTを追い抜いていきます。

トップのARTA NSX-GTは独走態勢を築き10周あたりには約10秒、16周目には20秒以上というアドヴァンテージ! 圧倒的な速さを見せていました。

●魔物はARTA NSX-GTに、そしてWedsSport ADVAN GR Supraに!

そしてレースは規定ピットインのできる周回に差し掛かります。まず31周目終わりにARTA NSX-GTがピットイン。

ARTA NSX-GT
ARTA NSX-GT

このピットインで信じられないことが起こります。左前タイヤの交換の際に、外したタイヤは転がり防止のためにピットの地面に平置きしなければいけないというルールがあるところを、なんとマシンに立てかけてしまうというミスが発生。

これにより46周目に、ARTA NSX-GTにドライブスルーペナルティーが科せられます。

そして47周目の最終コーナーで19号車 WedsSport ADVAN GR Supraが出火により停車。これによってセーフティカー(SC)が導入となりますが、このタイミングでARTA NSX-GTがペナルティ消化のピットイン。しかしピットには入れても出口は赤信号。なんとこの赤信号を無視してコースに復帰してしまいます。

その上、SC導入中のピットインはペナルティー消化にならないということで再度ドライブスルーピットインを行いますが、その翌週にもなぜかもう一度ドライブスルーピットイン。そしてSC中のピットインでの赤信号無視に対するペナルティーが67周目に10秒間のピットストップという重い罰として課せられてしまいます。

トップから大転落となったARTA NSX-GTは、勝負権どころかポイントギリギリのところまで追い込まれてしまいます。

カルソニック IMPUL GT-R
カルソニック IMPUL GT-R

このARTA NSX-GTの大転落を尻目にトップに躍り出たのがカルソニック IMPUL GT-R。2番手にAstemo NSX-GT。そして3番手には予選でQ1敗退し10番手からスタートだった1号車 STANLEY NSX-GTが入ります。

ホンダ勢による2番手争い
ホンダ勢による2番手争い

カルソニック IMPUL GT-Rを追うホンダ勢の2台は激しいバトルを展開しますが、63周目にストレートで14号車 ENEOS X PRIME GR Supraがトラブルにより停車。その処理のためにフルコースイエロー(FCY)が提示されます。

FCYは80km/h制限で走行を続けるために、ホンダ勢2台とカルソニック IMPUL GT-Rの差が詰まることはありません。そしてそのFCYが解除されると再び2台のホンダ勢が激しいバトルを繰り広げますが、Astemo NSX-GTの一瞬の隙をついてSTANLEY NSX-GTが前へと出ます。

カルソニック IMPUL GT-R
カルソニック IMPUL GT-R

そんな2台のホンダバトルの前で、カルソニック IMPUL GT-Rは優勝のチェッカーフラッグをくぐり抜けます。

優勝を喜ぶカルソニック IMPUL GT-Rのドライバー
優勝を喜ぶカルソニック IMPUL GT-Rのドライバー

カルソニック IMPUL GT-Rにとっては2016年の第5戦富士以来の5年ぶりの優勝となります。

表彰台の平峰選手、松下選手
表彰台の平峰選手、松下選手

またドライバーの平峰一貴選手にとってはSUPER GTのGT500クラスでの、松下信治選手にとってはSUPER GTでの初優勝となりました。

STANLEY NSX-GT
STANLEY NSX-GT

2位にはSTANLEY NSX-GT。

Astemo NSX-GT
Astemo NSX-GT

3位にはAstemo NSX-GTが入ります。

この順位によりSTANLEY NSX-GTの山本尚貴選手がシリーズランキングトップ、同チームの牧野任祐選手がランキング2位、Astemo NSX-GTの塚越広大選手とベルトラン・バゲット選手が3位となりました。

トヨタ勢のランキングトップはau TOM’S GR Supraで4位。日産勢のトップは今回優勝を果たしたカルソニック IMPUL GT-Rで6位となります。

GT500の表彰式
GT500の表彰式

折り返しのSUGO戦を終えていよいよチャンピオン争いの様子も見えてくるSUPER GT2021。次戦の第6戦は10月23(土)~24日(日)に大分県のオートポリスで開催されます。

SUPER GT開催サーキットでは一番標高の高いサーキットとなるオートポリス。10月も後半となると冷え込むことが予想されます。路面温度が低いと頭角を現してくるダンロップ勢など、オートポリスも見どころが満載と言えます。

(写真:吉見幸夫 文:松永 和浩

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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