まるで魔法の言葉!? バイク用HUB付きヘルメット「クロスヘルメットX1」に、3つの言葉だけで使える音声ナビ機能が実装

■バイク運転中でも目的地のルート検索が可能

市販向けバイク用ヘルメットとして初の双眼式HUD(ヘッドアップディスプレイ)を装備し、スマートフォンと連携したさまざまな情報を映し出すことができるのが「クロスヘルメットX1」。

日本のスタートアップ企業「Borderless」が開発したこのヘルメットは、2020年5月にクラウドファンディング「Makuake」で先行発売され、なんと1億1699万4800円もの資金調達に成功。まるでSF映画に出てくる近未来ヘルメットのようなデザインはもちろん、最新テクノロジーを駆使した多くの機能などが話題を呼びました。

バイク用のHUB付き未来ヘルメット・クロスヘルメットX1に3つの言葉を唱える音声ナビ機能
クロスヘルメットX1

そのクロスヘルメットX1に、イギリス発のナビゲーションソフト「what3words」の音声入力機能が実装。これにより、3つの言葉を話すだけで、行きたい目的地へのルート案内を可能とした新機能が追加されました。

ライダーはバイクの運転中でもナビへの目的地入力が可能で、しかもたった3ワードを話すだけで正確なルート案内をしてくれる優れモノだといいます。

まるで魔法のヘルメットのようなこの機能は、実際、どんなものなのでしょうか? ちょっと紹介してみましょう。

●HUBに後方映像やナビを表示

まず、クロスヘルメットX1についてちょっと紹介しましょう。このヘルメットは、内部に専用設計の双眼式HUDを装備しているのが大きな特徴です。HUBはIPD(瞳孔間距離)調整が可能で、ユーザーに優れたAR体験を提供します。

ヘルメット後部には、指向角170°という超広角のリアカメラも装備します。カメラの映像は、HUBに映し出されることで、ライダーに前方と後方合わせて360°視界を提供します。

バイク用のHUB付き未来ヘルメット・クロスヘルメットX1に3つの言葉を唱える音声ナビ機能
クロスヘルメットX1のHUD

2.4GHzワイヤレス接続機能を搭載し、スマートフォンとの連携も可能。iOSまたはAndroidアプリを使用することで、HUD上にナビゲーション情報や到着予想時刻、天気予報、通信状況などの情報を表示することもできます。

ほかにも、高性能マイクを内蔵し、通話や音楽視聴などが可能なスピーカーユニットを装備。左側イヤピースカバーには、さまざまな操作ができる静電容量式タッチパネルも内蔵します。

バイク用のHUB付き未来ヘルメット・クロスヘルメットX1に3つの言葉を唱える音声ナビ機能
クロスヘルメットX1のリヤカメラ

加えて、夜間の視認性を大きく向上する高輝度LEDライトや、特許技術の採用でライダーの聴覚へのダメージを軽減するサウンドコントロールなども採用。スマートフォン用の専用アプリには、VoIPテクノロジーを基盤としたグループトーク機能も実装し、ツーリング時に仲間との会話なども簡単にできます。

●ユニークな位置情報の伝達方法

このように多種多様な機能がテンコ盛りで、まさに近未来のバイク用ヘルメットと呼べるのがクロスヘルメットX1ですが、今回はさらに機能がアップデートされたのです。

バイク用のHUB付き未来ヘルメット・クロスヘルメットX1に3つの言葉を唱える音声ナビ機能
HUBは後方映像やナビを表示(出展:CrossHelmet公式YouTubeチャンネル)

それが、前述したwhat3wordsの音声入力機能。これは、イギリスの同名IT企業が開発したナビゲーションソフト。大きな特徴は、独創的な位置伝達方法にあります。

世界を57兆の3x3mの正方形に分割し、それぞれに3つの単語のユニークな組み合わせを付与し、それがwhat3wordsのアドレスになるというものです。

アドレスは、スマートフォンやPCなどでwhat3wordsの専用サイトへ行くか、スマホ用アプリで目的地を検索すれば出てきます。

バイク用のHUB付き未来ヘルメット・クロスヘルメットX1に3つの言葉を唱える音声ナビ機能
what3wordsアドレスの例

たとえば、東京の上野公園に行きたい場合。「上野公園」と入力するだけで、

「///すいとる。いんかん。よびかた」といった3つの言葉がでてきて、それがアドレスになるのです。

なにか意味不明な言葉ですし、これらが位置情報になっているのが不思議ですね。ちなみに、このソフトはクロスヘルメットの専用アプリにも内蔵されています。

●住所情報が不正確な場所でも入力可能

今回の新機能では、クロスヘルメットを装着したライダーが、そのワードをヘルメット内蔵マイクに向かって話すだけで目的地が検索され、正確なルート案内を可能としたものです。

使い方も簡単で、ヘルメットの左側面にあるタッチパネルを長押ししてwhat3words音声入力をアクティブにし、what3wordsアドレスを話すだけ(ファームウェアアップデートが必要)。

バイク用のHUB付き未来ヘルメット・クロスヘルメットX1に3つの言葉を唱える音声ナビ機能
ヘルメットの左側面にあるタッチパネルを長押しすると稼働(出展:CrossHelmet公式YouTubeチャンネル)

アドレスの音声入力は、停車中にアドレスを検索し出発前に音声入力するほか、事前に入手しておけば運転中でも可能です。

この方式が優れている点は、日本はもちろん、世界のどこの国に行っても対応可能なこと。また、世界にはまだ住所がない場所や、住所情報が不正確な場所もありますが、そういった通常のナビゲーションシステムでは入力しても出すことが難しいところでも、検索や入力が可能な点です。

住所の番地などは使わず、世界を57兆の3×3mの正方形にしたことが、どんな場所でも正確な位置情報を出すことに繫がっているのです。

また、what3wordsを使用した音声による目的地入力により、ライダーは前方の道路に注意を払いながら、安全かつ迅速にルート案内を開始することができます。

バイク用のHUB付き未来ヘルメット・クロスヘルメットX1に3つの言葉を唱える音声ナビ機能
3つの言葉を話すだけでナビのルート案内が可能に(出展:CrossHelmet公式YouTubeチャンネル)

クロスヘルメットX1は、公式ホームページで注文が可能で、価格は18万9000円~です。ちなみに、この新機能については、以下のYouTube公式チャンネルで見ることができます。

(文:平塚直樹

【関連リンク】

CrossHelmet公式YouTubeチャンネル
「CrossHelmet x what3words」

クロスヘルメット公式サイト

https://www.crosshelmet.com/jp/

この記事の著者

平塚 直樹 近影

平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
続きを見る
閉じる