SUPER GT前半戦、GT300のポールポジションは全てダンロップタイヤだった【SUPER GT 2021】

■前半戦4戦終了。ダンロップ以外存在しなかったGT300のポールポジション!

8月22日(日)に決勝レースが行われたSUPER GT第3戦鈴鹿が終わり、2021シーズンも次戦の第5戦スポーツランドSUGOから後半戦に突入します。

そんなSUPER GT 2021の前半戦を少し振り返ってみましょう。

SUBARU BRZ R&D SPORT
ポールスタートのSUBARU BRZ R&D SPORT

直近で開催された第3戦鈴鹿は、本来は5月に開催予定でしたがコロナ禍の影響で8月21~22日に延期となってしまい、先に第4戦のツインリンクもてぎが開催されるという変則的なスケジュールとなっていました。その第3戦鈴鹿でポールポジションを獲ったのが、61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTです。

決勝ではじりじりと交代をしてしまい10位となってしまいましたが、予選での走りは予選2位に対して0.5秒もの差をつける快走ぶりを見せています。

GAINER TANAX GT-R
もてぎ戦ポールポジションのグリッドへ向かうGAINER TANAX GT-R

鈴鹿戦の前戦、第4戦もてぎでのポールポジションは11号車 GAINER TANAX GT-R。鈴鹿戦では75kgというサクセスウェイトのためQ2進出はなりませんでしたが、もてぎ戦までは間違いなく最速の1台に数えられるほどのポテンシャルを発揮していました。

実はSUBARU BRZ R&D SPORTとGAINER TANAX GT-R、今年のSUPER GTのGT300クラスはこの2台がポールポジションを分け合うという結果となっています。

そしてこの2台はどちらもダンロップタイヤを履いているのです。

●ダンロップタイヤの強さと弱点

鈴鹿戦においてはGT500クラスでもダンロップタイヤが予選を1位2位とし、フロントローを独占するということになりました。GT300においてはSUBARU BRZ R&D SPORTがポールポジションを獲得ということで、予選に強いタイヤというイメージが定着しつつあるSUPER GTの2021シーズンのダンロップ。

SUBARU BRZ R&D SPORTとGAINER TANAX GT-R
SUBARU BRZ R&D SPORTとGAINER TANAX GT-R

2020年から大幅に内容を変えてきたといわれるダンロップタイヤについて、GT300で使用しているチームのスタッフの方にお話をうかがうと「一発のグリップ力が強力になっている」とのことです。

また路面温度にも柔軟に対応できるのが特徴で、特に路面温度が35度を下回るような状況では他のタイヤブランドよりもグリップ力が維持しやすいところも特徴としてあげられるようです。

GAINER TANAX GT-R
GAINER TANAX GT-R

確かに今年のSUPER GTでは予選で路面温度が35度を超えたのはもてぎ戦のみで、8月21日に行われた鈴鹿戦でも雨は降らなかったものの曇天という天候の影響で予選の路面温度は32度程度となっています。

また予選時の路面温度が45度となったもてぎ戦では、ダンロップタイヤがわりと得意な、負荷のかかりやすいコースということでポールポジションを獲得できた、と考えることが出来そうです。

SUBARU BRZ R&D SPORT
SUBARU BRZ R&D SPORT

ダンロップタイヤの弱点としては、タイヤライフが短いという点を挙げることができるでしょう。

確かにピットへ真っ先に飛び込んでいってタイヤ交換をして残り3分の2をロングランで乗り切る、またはピットインを引っ張るだけ引っ張って、アクシデントなどでFCY(フルコースイエロー)やセーフティカーのタイミングでピットインをするような作戦が取りづらいと言えます。

実際、もてぎ戦ではGAINER TANAX GT-Rが優勢と見られていましたが、レース後半までピットインを引っ張り、80km/h制限となるFCYのタイミングでピットインをしたBSタイヤの2号車 muta Racing Lotus MCに優勝を持っていかれるという場面もありました。

SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT
SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT

しかし、このタイヤライフも500kmレースのようにピット回数が増えればグリップ力を失う前にタイヤ交換ができる可能性も増えるために、そこをうまく使って第2戦富士500kmをダンロップタイヤで優勝した60号車 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTという好例もあります。

GAINER TANAX GT-R
GAINER TANAX GT-R

今年のSUPER GTでは予選トップは全てダンロップタイヤですが、優勝はヨコハマ2回、ダンロップ1回、ブリヂストン1回とほぼ横並びといっても過言ではありません。

たかのこの湯 GR Supra GT
たかのこの湯 GR Supra GT

現在のランキングトップはヨコハマタイヤを履く244号車 たかのこの湯 GR Supra GT。しかし今年前半のSUPER GTでは連続して表彰台に登ったチームはありません。

4戦中2回の表彰台は唯一、ブリヂストンの52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GTのみとなります。したがってポイント的にはかなり僅差となっており、ランキング10位くらいまではチャンピオンの権利があるということになります。

SUBARU BRZ R&D SPORT
SUBARU BRZ R&D SPORT

SUPER GTのタイヤは、毎レースごとにアップグレードされるほど進化が早いといわれます。コントロールタイヤ制(1社のみのワンメイク)が導入されることの多い昨今のモータースポーツにあって、SUPER GTはタイヤ戦争が行われる数少ないカテゴリーとなっています。

DIREZZA GIRLS 2021 花咲 美桜さん
DIREZZA GIRLS 2021 花咲 美桜さん

次戦のSUGOはコーナーが多くアップダウンの激しいコースで、今年のダンロップタイヤが得意としているコースに該当するのではないかと思われます。

ダンロップタイヤは果たして、予選最速タイヤとしてポールポジション獲得の記録更新をするのか否か。そういった面にも注目してみると、予選をもっと面白く観ることが出来るのではないでしょうか?

(写真・文:松永 和浩

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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