■ポールポジションの64号車、5周目でまさかのクラッシュ!
8月21日・22日に鈴鹿サーキットで開催のスーパーGT・第3戦「2021 AUTOBACS SUPER GT Round3 FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 300km RACE」。本来は5月開催であった鈴鹿戦ですが、コロナ禍の影響で延期とされ今回の日程に変更となっての開催となりました。
8月22日はその決勝レースが行われます。決勝日の鈴鹿サーキットは雲の切れ間から陽の光が射し込み、昼過ぎには30度まで上がる夏の暑さとなりました。
GT500クラスはスタートではポールポジションの64号車 Modulo NSX-GTが順当に1コーナーをトップで通過。
予選2位の16号車 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTが続き、Honda NSX-GTが2台でリードします。それを3位の23号車 MOTUL AUTECH GT-Rがと24号車リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rの日産勢が追うこととなります。
ところが5周目、日立Astemoシケイン進入でModulo NSX-GTがブレーキトラブルでウレタンバリアにクラッシュ。ドライブしていた伊沢選手は無事だったもののマシンはリタイヤとなります。
この事故対応でFCY(フルコースイエロー)となり、さらに一時はウレタンバリアに火が燃え移るという場面もあっためにセーフティカーが導入されることとなります。
そしてRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GTがトップにたって12周目にレースが再開されます。アクシデントの前はかなりのアドヴァンテージをとっていたはずのMOTUL AUTECH GT-Rが直後に迫り、なおかつそれだけにとどまらず、3号車 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rとリアライズコーポレーション ADVAN GT-Rの3台のNISSAN GT-R NISMO GT500が迫っていきます。
18周目には12号車 カルソニック IMPUL GT-Rや1号車 STANLEY NSX-GTのブリヂストン勢が、早めのピットへ向かいます。
14台全車がピットインを済ますと、トップに立っていたのはCRAFTSPORTS MOTUL GT-Rで、2番手はカルソニック IMPUL GT-R。3番手はRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GTでしたが、MOTUL AUTECH GT-Rがこれを抜いて、NISSAN GT-R NISMO GT500がトップ3を占めることになります。
■日産勢のトップバトル、勝ったのは?
終盤はNISSAN GT-R NISMO GT5004台によるトップをかけた争いとなります。
そのなかでもMOTUL AUTECH GT-Rが強さを見せます。31周目にカルソニック IMPUL GT-Rを抜き去ると、そこから4秒以上あったトップのCRAFTSPORTS MOTUL GT-Rとの差を毎周のように縮めていきます。
そして41周目のストレートではテール・トゥ・ノーズとなり、NISSINブレーキヘアピンでトップに立ちます。その後、カルソニック IMPUL GT-Rはペースが伸びず、3位をリアライズコーポレーション ADVAN GT-Rに明け渡すと、その背後にいた1号車 STANLEY NSX-GTと36号車 au TOM’S GR Supraにも抜かれ順位を徐々に下げていってしまいます。
トップのMOTUL AUTECH GT-Rはその後もペースを緩めずにCRAFTSPORTS MOTUL GT-Rとの差を広げ、危なげなく優勝のチェッカーをくぐり抜けました。
なんとMOTUL AUTECH GT-Rは鈴鹿3連勝!同一チームが同一コースで3連勝したこと自体がSUPER GT史上初のの快挙となります。そして鈴鹿はMOTUL AUTECH GT-Rのドライバーである松田次生選手の地元でもあり、地元での3連勝は喜びもひとしおであることでしょう。
松田選手はこの優勝によりSUPER GT通算勝利数を23勝として最多勝利記録を更新しています。
2位はCRAFTSPORTS MOTUL GT-R。
3位にはリアライズコーポレーション ADVAN GT-Rが入りました。
KONDO RACING TEAMにとってはGT500での表彰台は2016年のもてぎ戦「熊本地震復興支援大会」以来となります。
また2014年の第3戦オートポリス以来となるGT-Rによる表彰台独占となりました。
壮絶なレースとなった鈴鹿戦でやっと本領発揮となった日産勢。これで3メーカーがともに優勝を経験し、そのうえでポイントランキングのトップとなったのは4位に入ったSTANLEY NSX-GTの山本尚貴選手となります。
次戦のSUGOから後半戦に入るSUPER GT2021。コロナ禍の中ではありますが、順調に進んでくれることを願ってやみません。
(写真:吉見幸夫、松田和浩 文:松永和浩)