オンロード、オフロード走行をより快適にする先進技術を満載した新型ランドクルーザーは何がスゴイ?

■高張力鋼板の採用拡大と、ボンネットやルーフ、全ドアパネルがアルミ化

2021年8月1日、生誕70周年を迎えたトヨタランドクルーザー。ついに、新型となる300系が発売されました。ランドクルーザー(ランクル)は、これまで累計約1,060万台、年間30万台以上(2021年6月末時点。累計販売台数、年間販売台数ともレクサスLX、GX を含む)が世界170の国と地域にデリバリーされているそう。

トヨタ・ランドクルーザー
「GX」のフロントビュー

新型ランドクルーザーは、フレーム構造を踏襲しながらも「TNGA」の考えに基づいた「GA-Fプラットフォーム」が採用されています。

走りや快適性、安全性にもつながる伝統のラダーフレームが刷新されています。キモは軽量化で、最新の溶接技術などを活用することで、従来型比+20%となる高剛性化を実現。軽量なフレームを実現し、衝突安全性能をはじめ、静粛性や走りの質を向上させたそう。

トヨタ・ランドクルーザー
進化したラダーフレームを採用

ボディにも最新技術が投入されています。高張力鋼板の採用拡大に加えて、ボンネットやルーフ、全ドアパネルがアルミニウム化されたのもトピックス。また、パワートレーンの搭載位置を車両後方に70mm、下方に28mm移動。

これらにより、車両としては、約200kgの大幅な軽量化、低重心化、前後重量配分の改善に寄与しています。さらに、ドライビングポジションの改善も果たしているそうで、ドライバーの意思に沿う走りを実現するそう。また、軽量化により、燃費(環境性能)の向上にも寄与。

●サスペンションも新開発

プラットフォームとボディの刷新に伴いサスペンションも新しくなっています。ハイマウント・ダブルウィッシュボーン式(フロント)とトレーリングリンク車軸式(リヤ)のサスペンションを新開発。

トヨタ・ランドクルーザー
軽量化されたボディ

とくにリヤサスペンションは、ダンパーの配置が最適化され、乗り心地と操縦安定性が向上したとしています。 また、サスペンションアームの配置変更により、ブレーキング時にも安定した車両姿勢を維持。さらに、悪路走破性の向上を図るべく、ホイールアーティキュレーション(タイヤの浮きづらさ)も高めたそうです。

トヨタ・ランドクルーザー
フロントサスペンションは、ハイマウント・ダブルウィッシュボーン式を採用

なお、路面状況や運転操作に応じてダンパーの減衰力を4輪独立で制御する「AVS(Adaptive Variable Suspension)」に、新たにリニアソレノイドタイプが使われていて、操縦安定性と乗り心地の両立が図られています(AVSは「ZX」「GR SPORT」に標準装備)。

悪路走破性を高める最新技術・装備は、ほかにも数多く用意されています。操舵アクチュエーター付のパワーステアリングもそのひとつ。過酷な環境下での使用に耐える油圧式パワーステアリングに、電動式の操舵アクチュエーターが組み合わされています。

トヨタ・ランドクルーザー
リヤサスペンションは、ダンパーの配置を最適化

これにより、「レーントレーシングアシスト」などの操舵支援機能を追加することが可能になり、低速時の優れた取り回しや悪路走行時のキックバックを低減も実現。よりすっきりしたステアリングフィールも得られるそう (ZX、GR SPORT、VXに標準装備)。

「止まる」では、電子制御ブレーキシステムの採用が注目で、ブレーキペダルの操作量をセンサーで検出し、最適な制動力を油圧ブレーキで創出することで、よりリニアな制動特性を得られるそう。「ZX」「GR SPORT」「VX」に標準装備されます。

トヨタ・ランドクルーザー
オフロード走行時のサポート機能として「マルチテレインセレクト」を装備する

ほかにも、リヤタイヤのトラクション性能を確保するトルセンLSDも採用されています。旋回加速時に後左右輪の荷重に応じて駆動力を最適に配分することで、高いコントロール性能を実現。直進では路面状況の変化にレスポンスよく反応し、走行安定性の確保に貢献。「ZX」に標準装備されます。

さらに、オフロード走行時のサポート機能として「マルチテレインセレクト」を装備。6つのモード(AUTO/DIRT/SAND/ MUD/DEEP SNOW/ROCK)から選択できる走行システムで、選択したモードごとに 駆動力、サスペンション、ブレーキ油圧を自動で統合制御し、走破性が確保されます。また、動作範囲がハイレンジ(H4)にも拡大され、より広い範囲のオフロード走行に使用できる機能になっています。

各種センサーの情報から走行中の路面状況を推定し、駆動力を最適化するAUTOモードでは、ドライバーがモード切替えをすることなく、走りに応じた走破性能を引き出すことが可能になっています。

「マルチテレインモニター」も採用されています。車両周囲の状況確認を4つのカメラでサポートするシステム。フロント、サイド左右、リヤに搭載されたカメラでとらえた映像をカメラスイッチで切り替えることで、ドライバーの死角になりやすい車両周辺の路面状況を確認できる機能。

加えて、フロント画面表示中に車両を停止させ、画面内のスイッチを押すと、アンダーフロアビューに切り替えることができます。手前で撮影された過去の映像を床下透過映像として映し出されます。その映像に、現在の車両やタイヤ位置を示す線を合成することで、車両下の状態や前輪の位置が確認できます。

さらに、車両を透過し、後輪周辺をクローズアップして大きく表示する新ビューも追加。タイヤ付近の状況や障害物との距離感が把握しやすく、スタックや行き止まりからの脱出に力を発揮します。こちらは、「GX」を除く全車に「T-Connect SDナビゲーションシステム」とセットでオプション設定されます。

塚田 勝弘

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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