シトロエンC5エアクロスにPHEV誕生。システム最高出力225馬力を誇る550万円のフレンチSUV

■環境性能、先進安全性能、そしてシトロエンらしい快適性を持つブランド初の電動車両

いま自動車業界は世界的に電動化へ向かっています。それは伝統的なブランドであっても避けられないトレンドで、ついにシトロエンからも同ブランド初となる電動車が登場しました。それが「C5エアクロスSUVプラグインハイブリッド」です。

外部充電に対応した13.2kWhのバッテリーを後席下に搭載、エンジンベイに1.6Lガソリン直噴ターボと駆動モーター、8速ATを詰め込んだ前輪駆動のプラグインハイブリッド車です。

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全長4500mm・全幅1850mm・全高1710mm・ホイールベース2730mmで、車両重量は1860kg

これまでC5エアクロスには、1.6Lガソリンターボと、2.0Lディーゼルターボ(いずれも前輪駆動)がラインナップされていました。今回、加わったプラグインハイブリッドは1.6Lガソリンターボにモーター内蔵8速ATを組み合わせた電動パワートレインに、13.2kWhの駆動用バッテリーを組み合わせたもので、やはり前輪駆動となっています。

じつは、C5エアクロスとプラットフォーム(EMP2)を使うプジョー・ブランドのプラグインハイブリッドSUVである「3008 HYBRID4」はエンジンをパワーアップすると同時に、リヤ駆動用モーターも加えたパフォーマンス重視のプラグインハイブリッドシステムを採用していますが、C5エアクロスについてはより電動化の肝である環境性能を目指した仕様とすることで、しっかりとキャラクターを差別化しているといえそうです。

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133kW(180PS)の1.6L 4気筒ターボと81kW(110PS)の交流同期電動機を内蔵した8速ATで構成されたFWD仕様で、システム最高出力は225PS、システム最大トルクは360Nm(メーカー公称値)

とはいっても、プラグインハイブリッドの採用によりシステム最高出力は225PS(メーカー公称値)となっていて、C5エアクロスの中ではもっともパワフルとなっているのです。

このあたり、1.6Lガソリンターボが420万円、2.0Lディーゼルターボが439万円という価格設定に対して、プラグインハイブリッドは550万円となりますから、価格差に応じた満足度を生み出すためには必要なパワーといえるのかもしれません。なお、プラグインハイブリッドが対象となるCEV補助金は最大20万円となります。

ハイブリッドシステムだけが価格差を生んでいるわけではありません。装備面においても、ナッパレザーのアドバンストコンフォートシートやマルチランバーサポート、パノラミックサンルーフ、ハンズフリー電動テールゲートなど、これまでオプション設定されていたアイテムが、プラグインハイブリッドには標準装備となっています。

さらにシャシー面では、バッテリーによる重量増に対応してリヤサスペンションがマルチリンクになるなど進化しています。シトロエンの伝統的な乗り心地を生み出す「PHC(Progressive Hydraulic Cushions™)」サスペンションを引き出すシャシーへと進化しているのです。

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外部充電は普通充電のみ対応。バッテリー総電力量は13.2kWhでEV航続距離は65km(WLTCモード)

さて、ハイブリッドシステムの特性は「エレクトリック」「ハイブリッド」「スポーツ」という3つのドライブモードに切り替えることが可能になっています。デフォルトであるエレクトリック・モードは可能な限りEV走行をしようとする環境指向の制御をします。

ハイブリッド・モードはモーター駆動を基本にエンジンを適切に利用するモード。前述した3008 HYBRID4で制御を参考にすれば、エンジンとモーターの切り替えはシームレスで気にならないレベルに仕上がっていることでしょう。

そしてスポーツ・モードはエンジン主体で走ろうとするモードです。モード切り替えによって、モーター主体の電動らしい走りを味わうこともできれば、昔ながらのエンジン主体の走りを楽しむこともできるのです。

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ボディカラーは4色を設定。ブラン パンキーズは受注生産となる

なお、バッテリー充電は200V普通充電のみに対応、エンプティ状態からの満充電にするまで3kWで約5時間、6kWで約2.5時間といいますから、自宅の駐車場でコンセントに刺せば、一晩で満充電となるわけです。バッテリーには6年10万kmの保証もついています。

先進安全・運転支援システムも充実しています。渋滞までカバーするハイウェイドライブアシストは、ACCとレーンポジショニングアシストを組み合わせたものです。

もちろん、衝突被害軽減ブレーキや後側方の接近車両を知らせるブランドスポットモニター、インテリジェントハイビームなど必要十分以上の機能を与えられています。

電動化だけでなく、自動運転につながるテクノロジーの面でも、次世代のシトロエンを示す一台に仕上がっているといえるのです。

山本晋也

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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