メルセデス・ベンツ EQAは、クラスを超えた静かな空間とスムーズなパワーフィールが魅力

■後席の居住性と荷室の床下スペースにEV化の影響があり

日本に上陸したメルセデス・ベンツ製EVの第2弾となるEQAは、GLAをベースに前席から後席床下にかけてバッテリーが搭載されています。居住性に影響を感じさせるのは後席で、前席はそれほど床面が持ち上がっている印象は受けませんが、後席は座面の位置が高く、フロアには「厚底感」があります。

メルセデス・ベンツEQA
メルセデス・ベンツEQAの走行シーン

また、荷室フロアボードを上げて荷室床下を見ると、荷室の手前側(開口部側)に少しスペースがある程度。それでも折りたたみ傘などの小物なら収まりそう。なお、荷室容量は340L〜1320Lで、GLAの425L〜1420Lと比べると、床面が持ち上がっている分だけ小さくなっています。

メルセデス・ベンツEQA
速度域を問わず静かな走りとスムーズなパワーフィールが魅力

こうしたEV化の影響はあるものの、大人4人が無理なく座れて、日常使いなら困らないラゲッジスペースを備え、後席背もたれを前倒しすれば多くの荷物も飲み込むため、ファミリーユースも含めて十分に実用になるはず。

メルセデス・ベンツEQA
EQAのフロントシート。「AMGライン」は、レザーDINAMICAシートになる

なお、身長171cmの筆者が運転姿勢を決めた後方には、膝前にこぶしが縦に2つ半、頭上にこぶし1つと手の平1枚程度の余裕があり、前席座面下にも一応足が入る余裕があります。後席の足元も頭上空間も広さは十分といえます。

また、全長4465×全幅1850×全高1625mmという全幅をのぞけば、比較的コンパクトなボディサイズに対して、総電力量66.5kWhの駆動用バッテリーは十分に大容量といえます。

最高出力は140kW(190PS)/3600-10300rpm、最大トルクは370Nm/1020rpmというスペック。車両重量は2030kgとさすがに重めです。

メルセデス・ベンツEQA
メルセデス・ベンツEQAのリヤシート。床面が持ち上がっているように感じられる

低速域から高速域まで、車速を問わず終始静かな空間は、クラスを超えた高級感にあふれています。低速域はもちろん、高速域のロードノイズや風切り音などの遮断も見事。EVらしくパワートレーンからの音や振動もほとんど察知できません。

また、走行モードが「エコ」や「コンフォート」モードだと、みなぎるような力感を堪能できるわけではないものの、「スポーツ」にすれば、十分に速いといえる加速感を享受できます。

しかし、「スポーツ」だと路面の凹凸や起伏を越えるために、突き上げとして伝わってくる硬めの乗り味になってしまうのは惜しいところ。「コンフォート」であっても路面が荒れていると、床下に重量物を搭載するEVならではの左右、上下に揺すぶられるような乗り心地ですから、このあたりが内燃機関仕様との大きな差といえそうです。

メルセデス・ベンツEQA
EQAのラゲッジスペースもGLAよりも容量は小さくなっている

試乗車には、「AMGライン」が装着されていて、タイヤは235/45R20のコンチネンタル「エココンタクト6」を装着。「AMGライン」には、スポーツサスペンションも備わり、シャープなハンドリングが楽しめる一方で、乗り味への影響もありそう。

細身のスポークが目を惹く「20インチAMGマルチスポークアルミホイール」は確かにカッコいいです!! しかし、乗り心地の面では、サスペンションも含めて、235/55R18の標準タイヤの方が角が取れたテイストを期待できそうです。

もちろん、「インテリジェントドライブ」と呼ばれる最新の「レーダーセーフティパッケージ」が標準装備され、安全やドライバーサポート機能の万全の構えとなっています。

メルセデス・ベンツEQA
20インチのAMGマルチスポークアルミホイール

(文:塚田 勝弘/写真:井上 誠)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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